「株式会社イエイリ・ラボ」のニュース一覧 (191件中121~140件を表示)
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エムティシーと川田テクノが提携!伝統の国産ベンダーが道路分野のCIMを革新
エムティシー(本社:東京都豊島区)と言えば、1984年に設立され、道路や鉄道に関する線形計画や平面図、断面図の作成を行う様々なソフト開発・販売を長年、手がけてきた企業として知られています。 一方、川田テクノシステム(本社:東京都北区)と言えば、1970年に設立され、土木用CADソフト「V-nas」や3次元版の「V-nasClair」などの開発・販売を続け、日本の土木業界には欠かせない存在です。 この伝統ある国産CADベンダー2社が、このほどコラボレーションすることになりました。 ナ、ナ、ナ、ナント、 道路分野のCIM 推進のために、今後、包括的な事業協力を行っていくことになったのです。(エムティシーのプレスリリースはこちら) その目的は、道路設計分野で高いシェアを誇るエムティシーと、国産3次元CADを展開する川田テクノシステムが、それぞれ持つコア技術を融合させ、3次元道路設計システムを共創することにあります。 その第一弾として、エムティシーは「交差点設計システムfor V-nasClair」という製品を開発します。このソフトは川田テクノシステムの「V-nasClair ROAD_Kit」上で動作するもので、これまでにない操作性や効率性、機能性を実現します。 「V-nasClair」上で道路交差点のCIMモデルを効率よく作成する「交差点設計 for V-nasClair」の概念図(以下の資料:エムティシー、川田テクノシステム) これまでのCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデル作成は、2次元の平面図や断面図をもとに3次元データを作成するのが一般的でした。 その理由は、道路構造物はクロソイド曲線や曲線部の「カント」と呼ばれる横断勾配が連続的に変化するなど、平面線形や縦断・横断勾配の変化が複雑なため、まずは2次元で形を決めてから3次元化するというプロセスが必要だったからです。 このプロセスを、両社のコラボレーションにより、設計段階から一気に3次元データを自動作成し、施工段階にも生かせるように革新しようというわけです。 両社は今後、 インターチェンジやトンネル の設計を効率化する新製品を順次、投入していく予定です。 インターチェンジやジャンクション、山岳トンネルなどに対応した新製品も投入する計画だ 国土交通省が推進するi-Constructionも、2019年度で4年目に入り、「貫徹の年」と位置づけられています。道路や橋梁、トンネルなどあらゆる土木構造物の設計・施工の3次元化は、もはや後戻りしない状況です。 伝統ある国産ベンダーがコラボすることで、日本の道路構造令などに即したCIMモデル作成が簡単に行えるようになると、i-Constructionの一般化、大衆化が促進されそうですね。
2019/08/21 10:55 株式会社イエイリ・ラボ
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ドローンで風速・風向も計測!ストラトブルーが風力タービンの点検事業を開始
風力発電所は高所での点検作業が多いため、ドローン(無人機)による点検に注目が集まっていますが、調査自体は比較的簡単なため参入しやすく、価格競争に陥りがちです。 そこで、このほどドローンによる風力タービンの点検サービスに乗り出したストラトブルーテクノロジー(本社:福島県南相馬市)は、画期的な技術で差別化を図ることにしました。 風力タービンを点検するドローン(以下の写真、資料:ストラトブルーテクノロジー) ナ、ナ、ナ、ナント、 ドローンで風速・風向 を計測する技術なのです。(ストラトブルーテクノロジーのプレスリリースはこちら) ドローンで計測した風速と風速計のデータ比較。ほぼ相関は取れている ドローンで計測した風向と風向計とのデータ比較。こちらもよく相関が取れている 風速や風向の計測には、人工衛星からの電波を使って自動飛行を行うためのGNSS(全地球測位衛星システム)を使っています。 GNSSを使って、ドローンを特定の位置や高度に“固定”したホバリングを行わせると、風に流されるのを打ち消すように機体の位置を制御します。 このときの機体制御のデータなどをもとに、風速や風向を逆算して求めるという仕組みです。 上記のデータ比較は、DJIの「PHANTOM 4 PRO」型ドローンを使って行ったものですが、風速・風向計のデータとよく相関が取れていることがわかります。 そして同社では、この技術について 特許も取得 しています。(特許6371895号) このほか、同社では風力発電のタワーやタービンを点検するためのカメラも充実させており、1億画素の超高精細さを誇る「PhaseOne IXM100」型カメラや、ISO100万を誇る超高感度ズームと赤外線撮影ができるD-eyes製の「WCAM001」型カメラのほか、空中動画測量用デュアルカム「SCAM00X-RS」、ドローン用赤外線カメラ「DJI XT2」など、も用意しています。 1億画素の超高精細さを誇る「PhaseOne IXM100」型カメラ ISO100万を誇る超高感度ズームと赤外線撮影ができるD-eyes製の「WCAM001」型カメラ 赤外線カメラによる異常の発見例 環境エネルギー政策研究所の調べによると、太陽光発電と風力発電を合わせた発電量の占める割合は、2018年度に7.2%となり、水力発電の7.8%に迫る勢いになっています。 そして、今後は大規模な洋上風力発電所も、ますます増えてきそうです。ドローンによる点検ニーズは、これからも増える一方に違いありません。
2019/08/20 10:42 株式会社イエイリ・ラボ
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「攻めのGIS」でまちづくり計画!東北大と日本工営が防災ツールを開発
津波や地震などの災害に強いまちづくりを行うとき、「最適なプラン」は何なのかを答えられる人は皆無でしょう。 例えば、津波対策のとき、数万~数十万もの人が暮らしているまちで、どこにどんな高さの堤防を作れば、最も効果的なのかという問題を解決するためには、数多くの計画とシミュレーションを行って比較検討する必要があるからです。 こうした検討を行うためには、膨大な作業と時間が必要なので、現実的には2~3案の中からベターなものを選ぶくらいでした。 そこで東北大学災害科学国際研究所と日本工営中央研究所は、災害に強い地域や都市の計画づくりを支援するデザインツール「X-GIS(eXtended GIS)」を開発中です。 GIS(地理空間情報システム)に地形や地下構造、構造物などの防災に関する様々な情報を入れておき、 ナ、ナ、ナ、ナント、 数値シミュレーション システムと融合させることにより、地震動や津波による被害予測を行えるのです。(東北大学のプレスリリースはこちら X-GISで地震リスクを評価した例(以下の資料:東北大学災害科学国際研究所、日本工営中央研究所) このシステムを使うと「地域や都市内で地震時のリスクが最も高い部分はどこか」「防波堤の建設で、どの程度、被害が軽減できるのか」「被災したときよりも、災害に強くするためにどんな街並みにすればよいか」といったシミュレーションが、簡単にできるようになります。 そして、シミュレーション結果は、GIS上でわかりやすく可視化して表示されます。 単に、入力した情報を検索したり、見える化したりするだけのGISとは異なり、シミュレーションによって新しい情報を作り出す「攻めのGIS」といった感じでしょうか。 X-GISで津波リスクを評価した例 具体的には、GISから各種シミュレーションソフトに必要な入力データを自動作成し、数値解析を行います。そして得られた結果を、GIS上に読み込んで表示する、という流れです。 言い換えれば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)のソフトで作成したBIM/CIMモデルの「属性情報」を利用して、様々なシミュレーションソフトで解析を行いながら、 設計の最適化 を行うのと同じ流れと言ってもよいでしょう。 ただし、まちレベルになると、人や建物の数は数万~数百万にも上り、地形や地盤などの情報も膨大なものになるので、GISベースのシステムで情報を一元化するわけですね。 東北大学と日本工営は現在、一部地域を対象に、地震動と津波の数値シミュレーションに必要な入力データの作成やシミュレーションの実行、結果の表示が行えるプロトタイプを構築しました。 今後は避難シミュレーション機能の実装を進めるほか、様々な災害のリスク評価や情報分析を統一された環境が行えるようにすることを目指しています。
2019/08/19 10:14 株式会社イエイリ・ラボ
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26カ所目は津和野城!凸版印刷のVR観光アプリ「ストリートミュージアム」が充実
お盆休みを迎えて、夏の観光シーズンもいよいよ佳境に入ろうとしています。城跡などの史跡めぐりを計画している人におすすめなのが、凸版印刷が無料公開している体験型VR観光アプリ「ストリートミュージアム」(【iOS版】、【Android版】)です。 スマートフォンにインストールして、城跡などを訪れると、石垣しか残っていない場所でも、 ナ、ナ、ナ、ナント、 在りし日の天守閣 VR(バーチャルリアリティー)を再現して見ることができるのです。(凸版印刷のプレスリリースはこちら) 「ストリートミュージアム」の画面。VRで再現した往時の津和野城天守(以下の資料:凸版印刷) VRで再現した津和野城の三の丸から見た人質櫓(やぐら) 文化財などの説明が簡潔に紹介されている(左)。 地図上のマークをタップするとその場所の景色や距離などがわかる(右) 今回、2019年7月26日には、津和野城(島根県鹿足郡津和野町)のコンテンツ追加され、公開されています。 現在は石垣しか残っていませんが、津和野城が最も栄えた江戸時代初期の姿をVRで見ることができます。 津和野城内の天守や人質櫓など6カ所と、津和野藩庁を津和野川の対岸から眺める1カ所のVRが含まれています。 さらに約7分間で津和野城について学べる「津和野城の歴史」という動画や、江戸時代の津和野を描いた「日本遺産・津和野百景図」、江戸時代の街並みを描いた古地図も見ることができます。 7分ほどで見られる動画、「津和野城の歴史」 ガイドブックなど紙の資料はかさばるので持ち歩くのが大変ですが、スマホで見られる「ストリートミュージアム」なら気になったときにポケットから取り出して見られるので便利ですね。 このアプリは以前からあり、既に松本城(長野県)や福岡城(福岡県)などのコンテンツがありましたが、今回、追加された津和野城は、 26カ所目のコンテンツ となります。 今回の津和野城を含めると既に26カ所のコンテンツが用意されている iOS版の「ストリートミュージアム」について紹介しているApp Storeレビューのサイト これだけコンテンツが充実してくると、スマホに入れて、旅行や出張などのときに使ってみるのも面白そうですね。
2019/08/09 10:56 株式会社イエイリ・ラボ
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BIMが20回も登場!「鹿島統合報告書2019」に見る近未来の建設業
鹿島は昨日(2019年8月7日)、恒例の「鹿島統合報告書2019」を発行し、無料で一般公開を始めました。 昨年まで毎年発行されてきた「コーポレートレポート」に含まれていた経営戦略や財務情報などに加え、今回は「マテリアリティ」とよばれる7つの重要課題を特定し、開示するなどさらなる充実を図ったものです。 「鹿島統合報告書2019」の表紙(以下の資料:鹿島) 無料ダウンロードサイト 7つのマテリアリティ(重要課題) イエイリラボとしては、この報告書の中でICT(情報通信技術)がいったい、どの程度の重要性で扱われているのかを確かめるため、建設ICTの象徴的なワードである「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」という言葉が何回に登場するのかを確かめてみました。 その結果、 ナ、ナ、ナ、ナント、 20回も「BIM」が登場 していることが明らかになったのです。 PDF編集ソフト「いきなりPDF」で「BIM」という言葉を検索した結果 いったい、どんなところに「BIM」が登場していたのかをまとめてみました。 まずは「社長メッセージ」のコーナーにある押味至一代表取締役社長の「中核事業の更なる強化とグループ収益力の拡大」という部分に登場するのは「BIM・CIMの技術を基軸に建設事業と開発事業、国内関係会社、海外関係会社が連携」(12ページ)という部分です。 BIMを様々な事業をとりまとめる機能として活用するという考え方は、経営者らしいですね。 また、押味社長は社外取締役である古川洽次氏との対談でも、工事の受注段階で行う「フロントローディング」を行ううえで「BIM化・CIM化を推進していきます」(22ページ)と語っています。 「社長メッセージ」のコーナー 社外取締役の古川古川洽次氏との対談コーナー 一番、BIMという言葉が集中して登場するのは、やはり代表取締役 副社長執行役員 建築管理本部長の小泉博義氏による事業戦略の「ICT活用による生産性向上」(39ページ)の部分です。 ここでは「BIMデータとAIの融合」、「資機材管理へのBIM活用」、「施工段階によるBIM活用強化」、「BIM技能の認定制度」など9行中に6回も「BIM」が登場します。 代表取締役 副社長執行役員 建築管理本部長の小泉博義氏による「ICTによる生産性向上」● このほか、「中期経営計画におけるR&Dの戦略」(50ページ)では、「生産性の飛躍的向上 人と機械の協働」の部分では、「機械・ロボット・ICT活用による省人化・自動化」とともに「BIM・CIM活用による技術開発推進」が上げられています。 「中期経営計画におけるR&Dの戦略」の筆頭に登場するBIM
2019/08/08 10:02 株式会社イエイリ・ラボ
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下水道にイノベーションを!国交省が「下水道開拓者」を大々的に募集中
1884年、東京・神田に日本初の下水道が造られて以来、下水道は暮らしに欠かせないインフラとして着々と拡大してきました。 “道路下の力持ち”といった地味なインフラというイメージもありますが、「下水道にオムツを流したい」、「バイオガス発電をしたい」、「清掃を自動化したい」といった新たなニーズも生まれています。 そこで国土交通省 水管理・国土保全局下水道部は、これまで下水道に関係がなかった異業種企業の技術を生かしてイノベーションを起こそうと、マッチングイベント「下水道スタートアップチャレンジ」を2019年9月9日に開催することになりました。 そして、7月31日に発表されたプレス発表資料では、 ナ、ナ、ナ、ナント、 求む 下水道市場開拓者! と、いうチャレンジ精神を刺激する呼びかけを行ったのです。(国土交通省のプレスリリースはこちら) 昨今の少子高齢化による労働力不足を反映してか、下水道が抱える“お困りごと”には、「維持管理を効率化したい」、「下水処理場の運転を自動化したい」といった日常的な運営に関するものがあります。 また、「浸水情報を迅速に国民に伝えたい」、「大地震でも壊れない下水道にしたい」といった災害時への備えもあります。 さらに、「下水道資源を活用して新たなビジネスを創出したい」といった、攻めの発想も生まれています。 マッチングイベントでは、これらのニーズに対して、様々な分野から解決策(ソリューション)を募集します。参加者には、そこから下水道を活用した新たなビジネスチャンスを感じてもらおうというわけです。 下水道のニーズとソリューション例 下水道管理の完全自動化のイメージ 下水処理場から出る汚泥を発電に使う新たなビジネスのイメージ 国土交通省では以前から、下水道関連の新技術を開発・実用化するため B-DASHプロジェクト (下水道革新的技術実証研究)を実施しており、新技術に対する交付金も出しています。 B-DASHプロジェクトによる技術開発と、交付金による新技術の導入ワークフロー これまで下水道は、目立たない存在だっただけに、イノベーションやビジネスチャンスの宝庫なのかもしれません。 国交省の会議などは冒頭のみ報道陣の写真撮影が行われるのが普通でしたが、9月9日のイベントでは進行の妨げにならない範囲で取材やカメラ撮りが終始、OKとなっていることも注目です。 こうしたオープンな姿勢からも、イノベーションに対する本気度が伝わってきますね。
2019/08/07 10:37 株式会社イエイリ・ラボ
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迫力ある鉄骨を超リアルに再現!AR版「都城市民会館」が絶賛配布中
メタボリズム建築の代表作として1966年、建築家・菊竹清訓氏の設計により1966年に完成した旧都城市民会館は、名建築と惜しまれながら今年(2019年)の夏から解体工事が始まっています。 その姿、形だけでもデジタル化して残そうというクラウドファンディングプロジェクト「メタボリズムの名建築『旧都城市民会館』を3 次元スキャンで記録に残したい。」には、当初の目標50万円を大幅に超えて2019年8月6日の朝現在で、217人の支援者から135万円を超える寄付が集まっています。(詳しくは、イエイリラボのブログ2019年6月3日付けの記事を参照) 当初の目標を大幅に超える寄付が集まったクラウドファンディングプロジェクト(資料:CAMPFIREサイトより) このプロジェクトに寄付した人に、寄付金額にかかわらず、うれしいおまけが配られているのが話題になっています。 ナ、ナ、ナ、ナント、 AR版「都城市民会館」 なのです。 寄付金額に関係なく配布されているAR版「都城市民会館」のイメージ(特記以外の資料:藤原龍氏) ARで駐車場に置いてみた都城市民会館 手のひらに載せてみることもできる 小動物たちの「ハウス」として見たイメージ このARデータを作成したのは、ARデバイス「HoloLens」関連のシステム開発を手がけるホロラボ所属の藤原龍さん(@lileaLab)です。 ドローンを使って上空から撮影した写真1900枚を使って、i-ConstructionのICT土工でも使われている「フォトグラメトリー」という技術により点群データ化し、それをWebAR化しました。 ドローンによる空撮は大隣昭作さん(m.facebook.com/ohtonari)が行い、フォトグラメトリー処理とWebAR化は藤原さんが担当しました。 FacebookやTwitterでは、このARデータをもらった人たちが、肩の上などいろいろな場所にAR版「都城市民会館」を置いて楽しんでいる画像がアップされています。 しかし、拡大して見ると、特徴的な鉄骨構造がリアルに再現されており、大変な迫力です。 屋根部分を拡大したところ 鉄骨の1本1本が超リアルに再現されている 実物では決して見られないアングルも しかし、これはまだまだ序の口です。今日(2019年8月6日)現在、配布されているデータは「β(ベータ)版」であり、今後は 地上撮影した1800枚 の写真からフォトグラメトリーで生成した3Dモデルと合体し、さらに点群データとの合成による精度アップやホール内部の3Dモデルも合体させた「正式版」のリリースも目指しているとのことです。
2019/08/06 10:15 株式会社イエイリ・ラボ
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学校、スポーツ施設にも外販へ!大林組が開発した熱中症管理システム
屋外で作業することがほとんどの建設業では、暑さの中、安全に労働するためのノウハウがいろいろと蓄積されてきています。 例えば、塩分補給するあめや、冷却ファン付きの作業着、さらには冷凍ペットボトルの水を作業服内に循環させるものまであります。 大林組は、現場の安全管理の一環として、熱中症の危険がある場所を見える化する 暑さ指数ウォッチャー というシステムを開発。2019年度は同社が施工中の約300カ所の建築現場に導入しています。(大林組のプレスリリースはこちら) 暑さ指数ウォッチャーの外観。左側は子機で放射熱を計測する黒球温度センサーや温湿度センサーが搭載されている。右側は親機で子機からのデータを集約し、クラウドに送信する(以下の写真、資料:大林組) システム構成イメージ このシステムは、熱中症を予防するために、(1)湿度、(2)日射・放射などの熱環境、(3)気温の3つの指標から、「暑さ指数(WBGT)」を測定し、現場のいろいろな場所の熱中症リスクを見える化するものです。 現場の機器は親機と子機で構成されており、温度や湿度などを計測するセンサーを搭載した子機を配置し、そこから送られてくるデータを親機が集約してクラウドに送信する仕組みです。 クラウドのWBGTデータを、現場の安全管理者が監視するとともに、基準値を超えた場合は現場最前線で働く職長や作業員自身のスマートフォンにもアラートメールを送信することで、熱中症を予防することができます。 暑さ指数ウォッチャーの管理画面。熱中症のリスクを色分け表示し、危険な場合はアラートを送信する 建設業界の熱中症対策ノウハウや技術は、他の業界に比べても一歩、先を行っているのではないでしょうか。 そこで大林組は、この暑さ指数ウォッチャーを ナ、ナ、ナ、ナント、 学校やスポーツ施設 向けにも外販することになりました。 熱中症の基準値は「作業者」、「日常生活」、「運動」によって異なるため、外販に向けて労働環境以外の各指針に対応するメニューを搭載しました。 外販に向けて、基準値設定メニューに「日常生活に関する指針」、「運動に関する指針」を追加した ここ数年、作業着などの現場用品を販売する「ワークマン」が、アウトドアスポーツや一般ユーザー向けの製品を発売してヒットしているそうです。 それ以外にも、熱中症対策グッズや安全用品、頑丈なカメラ、スマホ関連グッズなど、タフな環境で鍛えられた“現場ソリューション”を、一般向けに販売する新規顧客開拓戦略もありそうですね。
2019/08/05 10:23 株式会社イエイリ・ラボ
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穴ぼこ直前予知や一般車活用も!ニチレキ、リコーがAIによる道路管理を提供
舗装道路の維持修繕にかかわる予算が大幅に減少する一方、地方公共団体が管理する道路は膨大なため、もはやすべてをオーバーレイ(既設舗装上にアスファルト混合物の層を重ねる工法)などの修繕工事で対応することが難しくなっています。 舗装面の一部がはがれて、「ポットホール」のような穴ぼこができたら、後で補修するという事後対策に頼らざるを得なくなりつつあるのです。 こうした現状を踏まえて、ニチレキはNTT東日本、NTTコムウェアと共同で、AI(人工知能)による「局部損傷」診断技術を開発し、2019年度中にサービス提供を目指しています。 舗装道路の点検時に撮影した路面の写真画像をAIが解析することで、 ナ、ナ、ナ、ナント、 穴ぼこ発生直前 の「緊急性の高い要修繕箇所」を自動的に発見することができるのです。(ニチレキのプレスリリースはこちら) AIによって抽出された「局部損傷」のイメージ。ポットホールが発生する前に修繕を行える(資料:ニチレキ) 従来の道路診断AIは、路面の50cm角メッシュに含まれるひび割れの本数をカウントして「ひび割れ率」を求めるものがほとんどでした。しかし、穴ぼこが発生しそうな箇所を見つけるという目的には適していません。 そこでNTTコムウェアの画像認識AI「Deeptector」を使って、メッシュ内に含まれるひび割れの交点(結節点)の個数を数え、ランク分け評価する方法を採用しました。 ひび割れの交点である「結節点」の個数から局部損傷を見つけることができる(資料:ニチレキ) 穴ぼこが発生して補修する方法だと、路面はますます傷んでしまい、補修費用も急上昇しそうです。また、自転車やバイクなどは穴ぼこによって転倒するなどの危険もありますね。 このシステムによって、穴ぼこ発生前に路面補修ができれば、修理コストも安く、通行の危険もありません。 ニチレキでは、局部損傷向けに開発した「常温表面処理工法」を積極活用することで、補修工事の低コスト化も追求しています。 従来の加熱アスファルト混合物を使った補修(左)に比べて、常温のアスファルト乳剤を使った補修(右)は長持ちし、CO2の発生量が少なく、コストダウンできる(資料:ニチレキ) このほか、リコーは複数台のステレオカメラを搭載した車両を使って、道路の「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」を自動算出する「リコー 路面モニタリングサービス」を昨日(2019年8月1日)、提供開始しました。 一般車両をベース にしているため、計測装置の製作や維持管理の費用が安く、測定結果の算出や報告書の作成も自動化できるので、点検コストを大幅にコストダウンすることができます。(リコーのプレスリリースはこちら) 路面性状モニタリングシステムを搭載した一般車両(写真:リコー) 50cm角のメッシュごとに、AIがひび割れの本数を自動カウントして分類する(資料:リコー) また、取得した「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」から維持修繕の判断指標である「MCI(Maintenance Control Index)値」を算出し、地図上にマッピングすることで道路の劣化状態を見える化することもできます。 地図上にマッピングされたMCI値。舗装の劣化状態が一目でわかる(資料:リコー) アスファルト舗装やコンクリートなどの表面にできたひび割れの発見や処理は、もはや人間よりもAIの方が得意になったと言えそうです。 調査はAIに任せて、人間はそのデータやドライバー・地域住民の声などをもとに、道路の補修計画を練るという本質的な業務に集中するというのが、予算減、人手不足時代の道路管理のスタンダードになりそうです。
2019/08/02 11:00 株式会社イエイリ・ラボ
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労働生産性がナント、4倍に!トプコンが路面切削に3D-MCを導入
アスファルト舗装道路の修繕工事に欠かせないのが、表面の痛んだ部分を切削する作業です。 この作業には路面切削機を使い、路面に書かれた切削厚の数値を見ながら、オペレーターが切削ドラムを手動で操作するという昔ながらの方法で行われてきました。 そこでトプコンは、この作業のワークフロー見直し、大幅な省人化と工期短縮を実現するシステム「RD-MC」を開発し、このほど発売しました。 これまで手動で操作していた切削ドラムを ナ、ナ、ナ、ナント、 3Dマシンコントロール で自動制御するものなのです。(トプコンのプレスリリースはこちら) 3D-MC路面切削システム「RD-MC」を搭載した路面切削機。屋根の上にGNSSアンテナが見える(以下の写真、資料:トプコン) 切削の原理。路面の凹凸にかかわらず常に設計面を狙って切削できる 「RD-MC」のシステム構成 舗装を切削する「設計面」をシステムにインプットしておくと、切削機に搭載されたセンサーが「現況面」の高さを測定し、切削厚をはじき出して切削ドラムの高さを自動制御する仕組みです。 そのため、路面にマーキングしなくても設計に合わせた切削を安定した精度で、効率的に行えます。 現況面と設計面の高低差を比較して切削ドラムを自動制御する 従来は人間が行っていた切削に先立って行う路面の切削厚マーキングや、切削ドラムの操作などが不要になったため、大幅な生産性の向上が実現しました。 例えば、600m2の切削作業を行う場合、人工(にんく)ベースで従来は148分・人かかっていたのが、RD-MCを使うことで36分・人と76%も省人化されるのです。 つまり、 労働生産性が4倍 になるというわけですね。作業時間ベースでは、従来56分かかっていたのが36分で完了します。 また、トータルステーションを使った従来のマシンコントロールシステムに比べても、トータルステーションの設置や移動などが必要なくなる分、生産性が上がります。 RD-MCによる省人化や作業時間の短縮効果 作業時間が減ることで、交通規制時間も短くなりますから、渋滞の緩和にもなりますね。 今後、NTTドコモやソフトバンクなどが、自社の携帯電話用鉄塔をGNSSの基準局とするサービスを開始(詳しくは2019年6月5日付けのイエイリ・ラボ ブログ記事を参照)すると、さらに手軽に使えるようになりそうです。
2019/08/01 10:38 株式会社イエイリ・ラボ
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内径20cmのダクト内を飛行!超小型ドローンを使った驚異のインフラ点検技術
国土交通省が推進する「i-Construction」の主役であるICT土工では、かなり大型のドローン(無人機)が空撮や測量に使われます。 その反対側に位置するのが、レース用の超小型ドローンです。機体の直径は8~19cm、重量は70~170gと小さく、パイロットはVRゴーグルを着けて操縦します。価格もドローン、コントローラー、VRゴーグルを含めて20万円程度とのことです。(内訳=ドローン 5万円、プロポ 2万円、ヘッドマウントディスプレイ 8万円、備品 2万から3万円) レース用の超小型ドローンとVRゴーグル(以下の写真:家入龍太) VRゴーグルを着けて操縦するパイロット アイ・ロボティクス(本社:東京都新宿区)は、リックス(本社:福岡市博多区)、日本ドローンレース協会(JDRA)、EUREKAの増田勝彦氏と共同で、人が立ち入れない煙突や管路などの狭隘(きょうあい)部を点検するサービスを開始しました。(詳しくはイエイリラボのブログ2019年6月27日付けの記事を参照) 先日、その実力をまざまざと見せつけるデモンストレーション飛行が、東京・大手町で行われました。 ナ、ナ、ナ、ナント、 内径20cmのダクト内 を、この超小型ドローンで飛行しながら点検することに成功したのです。 内径20cmのダクトと超小型ドローン ドローンがダクトに入る瞬間。右端はVRゴーグルを着けた操縦者 この日、ドローンの操縦を担当したのは、EUREKAの増田勝彦氏と、日本ドローンレース協会の横田淳さんです。 会場をぎっしりとうめた報道陣らの頭上をひと回りした後、慎重に狙いを定めて内径20cmのダクト内に突入。その数秒後にダクトから出てきました。 狭いところで機体を正確にコントロールする技術はもとより、ドローンのプロペラからの空気流が複雑に渦巻く悪条件の中でもダクトにぶつからず、安定した飛行をさせたプロの操縦テクニックには、驚かされました。 EUREKAの増田勝彦氏(左)と日本ドローンレース協会の横田淳氏(右) ドローン搭載カメラからの映像
2019/07/31 10:28 株式会社イエイリ・ラボ
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ICTから働き方改革まで!建設システムがポータルサイト「KentemLINK」を開設
建設システム(本社:静岡県富士市)と言えば、3万5000社の導入実績を誇る施工管理システム「デキスパート」シリーズをはじめとし、日本の土木現場のICTに欠かせないソフトベンダーです。 同社のウェブサイトはカラフルで、デザインもスマートです。さらに企業のホームページ制作までも請け負っています。それもそのはず、専門スタッフが多数いる広報・WEBデザイン部が、日々の更新を担っています。 建設システムのウェブサイト(以下の資料:建設システム) 日々の更新を担う広報・WEBデザイン部の皆さん(以下の写真:家入龍太) 同社は2019年7月26日、新たなサイトをオープンさせました。 ナ、ナ、ナ、ナント、 建設業向けポータルサイト で、その名も「KentemLINK」というのです。(建設システムのプレスリリースはこちら) 2019年7月26日にオープンした建設業向けポータルサイト「KentemLINK」 編集長を務める経営企画室・新ビジネス推進部次長の日向亮介さん 編集長を務めるのは、長年、同社の広報部門を担当してきた経営企画室・新ビジネス推進部次長の日向亮介さんです。 ポータルサイトと位置づけているように「KentemLINK」には広告的な色彩はなく、建設業で働く実務者向けのコンテンツで埋め尽くされています。 それもそのはず、インターネット上に散らばった様々な情報の中から、建設業界向けの情報を収集し、提供することを目的としているからです。 閲覧は無料で、ユーザー登録すると、記事を後で読み返すための「お気に入り登録」や記事へのコメント投稿、SNSでのシェアなどが行えます。 また、スマートフォンにも対応し、全国各地の天気予報を確認できる機能もあります。 このほか、同サイト独自コンテンツとして、元労働基準監督署長の村木宏吉氏による「安全+(プラス)抜粋コラム」や、土木施工管理技士や技術士の受験対策指導を行う床並英亮氏によるコラム「技術力向上への道」があるほか、私、イエイリによる やさしい建設ICT動向解説 の連載などもあります。 独自コンテンツには安全対策や技術力向上、建設ICT動向などがある 建設システムの製品ユーザーだけでも3万人以上いますので、有力な建設業界向けサイトに成長することが期待されますね。 先日、数万人のユーザーを対象にした電話によるサポートや製品開発の社内各部署を見学させてもらいました。その時の写真も紹介しておきますね。
2019/07/30 08:34 株式会社イエイリ・ラボ
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HoloLensでお宝探し!徳山商工高校の女子生徒らがi-Construction技術を体験
多くの学校が夏休みを迎えた2019年7月27日の土曜日、山口県周南市のあるホテルの一室に、約60人の高校生が集まっていました。彼らは山口県立徳山商工高校の環境システム科環境土木コースで学ぶ1年生から3年生までの生徒さんです。 山口県周南市のあるホテルの一室で行われた課外授業(以下の写真:家入龍太) この日、行われた“課外授業”は、V-COMON(本社:横浜市中区)が主催し、テクノプロ・コンストラクション(本社:東京都港区)が協賛して行った「最先端建設技術 未来の働き方セミナー」です。 授業の中で最も盛り上がったのは、国土交通省が推進する「i-Construction」関連技術を体験する実習でした。 その題材に選ばれたのは、 ナ、ナ、ナ、ナント、 MRゴーグル「HoloLens」 という、i-Construction界でも最新の機器だったのです。 HoloLensを着けて、目の前に広がる橋桁内部のリアルな空間に思わず驚く男子生徒 5分の1スケールの橋桁内を見ながら歩く女子生徒 橋桁内に隠されている宝箱 この体験を企画したのは、橋梁分野で3Dモデリングソフトの開発やVR(バーチャルリアリティー)コンテンツの作成などを手がけるオフィスケイワン(本社:大阪市西区)です。 同社のスタッフにHoloLensを着けてもらった生徒は、会場の前に設けられたスペースをあちこち眺めながら歩き回ります。 HoloLensには、5分の1スケールで作られた鋼橋の橋桁がインプットされています。その中には3個の“宝箱”が隠されており、それを見つけるのです。 まずはスタート地点に1個、プロジェクターが置かれた場所の近くにもう1個、その近くにまた1個と、1人2分の制限時間内に次々と見つけていきました。 さすがに、子どものころから3DやVRのゲームに慣れ親しんだ徳山商工の生徒さんは、飲み込みが早いですね。 HoloLensを着けてもらう女子生徒 順番を待つ生徒たち。女子比率は4割と高いです 実習を行ったオフィスケイワンの保田敬一代表取締役(左)と臼井政人氏(右) この日のミッションは、3個の宝箱の底に書かれた言葉を報告するというものでした。その答えは 徳・山・商工 というものでした。もちろん、全員が正解です。 宝箱の底をのぞき込む生徒(左)。宝箱の底には「山」と書かれていた 全部で3時間半にわたる長丁場の授業でしたが、“放課後”も熱心な生徒さんが何人も残り、空中で2本の指を閉じるHoloLens独特のクリック操作をマスターするなど、さらに実習を深めていました。 HoloLens独特のクリック操作をマスターする熱心な女子生徒
2019/07/29 10:33 株式会社イエイリ・ラボ
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あのJAXAがNETISに登録!「だいち2号」で草に隠れたインフラまで監視
先日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のアポロ11号による人類初の月面着陸から50周年を迎えたことが話題になりましたが、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も、小惑星探査探査機「はやぶさ2」が月よりはるか離れたリュウグウにタッチダウンし、試料収集を試みるなど、シブい成果を挙げています。 そのJAXAは、人工衛星「だいち2号」が地球を観測したデータと、地球の表面を高精度に解析できる「合成開口レーダー(SAR)」技術を組み合わせた「ANATISアナティス」によって、社会インフラの維持管理にも貢献しています。 衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール(ANATIS)の概要(以下の資料:特記以外はJAXA) このANATISが2019年7月8日、「衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール」(登録No.:KT-190029-A)として、 ナ、ナ、ナ、ナント、 国土交通省のNETIS に登録されたのです。(JAXAのプレスリリースはこちら) 国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)に登録された「衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール」(資料:NETISより) NETISとは国土交通省が新技術の活用を促進するために設けた「新技術情報提供システム」というデータベースで、インターネットで誰でも見られます。 合成開口レーダーとは、人工衛星の周回移動の動きを利用して、高解像度のレーダー画像を得られるものです。 NETISに登録されているデータによると、河川の定期横断測量にこのツールを使った場合、現地計測の手間や測量士の資格が不要といった手軽さのほか、従来は5年に1回だった定期観測が、年に4回、データ取得と解析が行えるというメリットもあります。 また、従来の方法では4平方キロメートルの計測に従来は61日の期間と720万円の費用がかかっていたのに対し、このツールだと期間が10日に短縮(83.61%減)で、費用は249万1950円(65.39%減)というかなりの効果があるされています。 従来手法に比較した効果(資料:NETISより) しかし、人工衛星からの観測だと、樹木の下の地盤まではわからないだろうと思われる方もいらっしゃるでしょう。 その点については、Xバンド(波長:24~37.5mm)に比べて波長が長いLバンド(波長:150~300)を使って観測することにより、 芝生に隠れた滑走路 なども発見できる性能を持っているのです。 LバンドとXバンドによるSAR画像の比較。Lバンドは電波の透過性に優れているため、芝生に隠れた滑走路(赤丸内)も発見できる しかし、あのJAXAがNETISに登場するとは、これまではあまり考えられませんでしたね。建設界にオープンイノベーションが起こりつつあるのを感じました。
2019/07/26 09:59 株式会社イエイリ・ラボ
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ゴンドラ墜落をリアル体験!積木製作の安全体感VRシリーズが拡大中
建設現場で発生する死亡事故原因のトップは、高所からの墜落です。続いて建機との接触や交通事故、落ちてくるモノにぶつかる飛来落下などもあります。 こうした事故を防ぐために、安全帯を着用する、手すりを設けるなど、気をつけるべき点を聞かれれば、もちろん答えられる人が多いでしょう。しかし、作業に熱中してしまうと、つい油断してこれらの「原理原則」を忘れてしまい、事故につながるのです。 そこで積木製作(本社:東京都墨田区)は、バーチャルリアリティー(VR。仮想現実)の技術を使って、作業中の事故をリアルに体験できる「安全体感VRトレーニング」を2017年4月に第一弾をリリースしました。 今では、 ナ、ナ、ナ、ナント、 100社に及ぶ導入実績 を上げているのです。 「安全体感VRトレーニング」の使用風景。安全な室内空間で、死亡や重大災害につながる危険をリアルに体験できる(以下の写真、画像:積木製作) 枠組み足場を持って、下の階にいる作業員に渡そうとしているところ。作業しやすいように手すりは撤去してある するとバランスを崩して墜落! 例えば、手すりは重要ということをわかっていても、枠組み足場の部材を下の階にいる作業員に手渡そうとすると、外してしまいたくなることがあります。 上のVRはまさにそんなシーンを再現したもので、不安全な状態で何度も作業を繰り返しているうちに、ついにバランスを崩して墜落する、といった体験ができます。 VRなので実寸大、立体視で下界を見られるうえ、バーチャルな墜落までいってしまうと、その恐怖は体の中にしみつき、現場でも“二度と”同じミスは繰り返すまいと思い出すことでしょう。 このほかの事故としては、電車基地の踏切上に何気なく置かれたバケツを取ろうと近づいたときです。バケツをもってさあ戻ろうと思った瞬間、目の前に低速運転で静かに近づいていた電車があったというものです。 さらにベルトコンベアについた汚れを拭き取るとき、急に動き出して手がはさまれる、配電盤の工事で主電源を切らないでレンチを使ったため感電した、などのよくある事故が建設会社などのアドバイスを受けながら再現されています。 電車基地の踏切上に何気なく置かれたバケツを取ろうと近づく すると目の前に電車が迫っていた 安全体感VRトレーニングでは、こうしたシナリオに基づいて何かの作業を行うとき、危険な点をちゃんと被験者が確認したかを採点できるようになっています。 作業台への昇降方法、足場の壁つなぎがあるかの確認など、危険な点をちゃんと確認したかをチェックする 採点結果の例
2019/07/25 10:13 株式会社イエイリ・ラボ
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1992年のAutoCADでもOK!CAD図面をPDF、画像などに一括変換する「Dコンバータ」
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3D設計ソフトが普及してきた今でも、2D図面に頼る場面はまだまだあります。 そのとき、古いバージョンのCADファイルを最近のバージョンに変換したり、PDFや画像ファイルなどに変換したりする必要があります。 こんなとき、CADファイル変換作業の生産性を大幅に高めてくれるアプリ「Dコンバータ」をシステムメトリックス(本社:名古屋市中区)が開発しました。 変換したいCAD図面をまとめて選び、変換したいフォーマットを指定するだけで、 ナ、ナ、ナ、ナント、 一度に99個のCAD図面 を一括変換してくれるのです。 「Dコンバータ」の画面。変換したいCADファイルは一度に99個まで選べる(以下の資料:システムメトリックス) 出力先のファイル形式は、PDFや画像、WMF、DWFなども含まれており、ワープロや表計算ソフトでCAD図面を使いたいときにも便利だ 入出力フォーマットのまとめ(表をクリックすると拡大表示されます) システムメトリックスは、DWG互換CAD「IJCAD」の開発・販売元として知られており、クラウド上でCADファイルの無料変換サービス「DARE」を提供しています。 ただ、「DARE」は使用できる回数が1日10回で、1回あたり1枚しか変換できないので、作業効率の点で限界がありました。その点、Dコンバータは無制限で使用できるというメリットがあります。 無料サービス「DARE」と「Dコンバータ」の機能比較 また、古いCAD図面を引っ張り出してきたけど、最新のCADでは開けない場合も、Dコンバータで復活できる可能性があります。例えばAutoCADの場合、 1992年にリリース されたAutoCAD R12版のDWG、DXFまで読み込み、最近のAutoCAD 2018版などに“復活”させることができるのです。 古くはAutoCAD R12時代のDWG、DXFまでさかのぼって最近のバージョンに復活させることができる また、Jw_cadのJWW形式や、国土交通省の電子納品などで使われたSXF形式の入出力機能は、今後のバージョンアップで対応するそうです。 気になるお値段ですが、使用期間に応じて料金を払う「サブスクリプションライセンス」形態になっており、1カ月契約が980円、1年間契約で9800円となっています。 当面の間、体験版を期間制限なしで使えるそうですので、CADファイルの活用に困っている方は、試してみてはいかがでしょうか。
2019/07/24 10:28 株式会社イエイリ・ラボ
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3DスキャナーでPDCAを回す!清水建設が開発したトンネル発破システムの節約効果
爆薬によって発破しながら掘っていく山岳トンネル工事では、計画断面より小さくなるマイナス誤差は許されません。かといって、計画断面より外側に「余掘り」を大きくして掘ればいいかというと、今度はコスト面の理由で許されません。 発破後の「ずり」と呼ばれる岩石の搬出や処理、計画に合わせるためのコンクリート打設、そして発破に使う爆薬など、すべてのコストが余掘りの分だけ大きくなってしまうからです。 そのため、トンネル工事を手がける建設会社は、いかに「余掘り」を小さくするかにしのぎを削っています。 そこで清水建設は、サンドビック株式会社SMRTカンパニー(本社:横浜市港北区)と、余掘り量低減システム「ブラストマスタ」を共同開発し、実用化しました。 ブラストマスタを導入した新東名高速道路「高取山トンネル西工事」の現場(以下の写真、資料:清水建設) 余掘りを少なくするために重要なのは、「発破パターン」と呼ばれる爆薬を装填(そうてん)する穴の位置と角度の調整です。 ブラストマスタは、ある発破パターンで発破した後、切り羽(掘削最前面)の空間形状を、 ナ、ナ、ナ、ナント、 3Dスキャナー搭載車両 で計測するのです。(清水建設のプレスリリースはこちら) こうして発破後の余掘り量を精密に把握した後、余掘りに最も影響を与える切り羽外周部の穴の位置と角度の最適値を求め、掘削機に入力している発破パターンを自動更新します。この過程で所要時間はわずか3分しかかかりません。 手前のタブレットの画面には発破パターンが表示されている 画面の拡大図。掘削位置や角度が設定データと離れている場合は青色で表示され、精度よくセットされた場合は緑色で表示される これまでも3Dスキャナーで余掘りを計測する試みは行われてきましたが、システマチックではなく、発破パターンの更新にも時間がかかったので発破のたびにパターンを修正することはできませんでした。 その点、ブラストマスタは、発破パターンの作成→削孔→3Dスキャナーによる計測→削孔位置・角度の調整されたデータの削孔機への転送という一連の作業が自動化されており、 発破のPDCA が、発破のたびに回る仕組みになっているのです。 システム概要図。発破パターンの自動作成(Plan)→削孔(Do)→余掘り計測(Check)→削孔位置と角度の自動調整(Action)がシステム化されている 上の図の左上にある図を見ても、PDCAが回るたびに余掘りが小さくなっている様子がうかがえますね。 このシステムが初導入された新東名高速道路高取山トンネル西工事では、余掘り量を既存システム比で40%も減らすことができました。PDCAによる節約効果はあなどれませんね。 一般にP(Plan)やC(Check)はデータの世界、D(Do)とA(Action)はリアルな世界で行われることが多いですので、リアルとデータが測量機器や自動化機器などで自動的につながるようになれば、PDCAによる施工の改善は、ますますスムーズに行えるようになりそうです。
2019/07/23 10:41 株式会社イエイリ・ラボ
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バックホーの掘削、積み込み作業を無人化!大林組らが自律化システム第1弾を開発
バックホーで土砂をすくい、ダンプトラックに積み込む作業は、トンネルや道路、建築基礎など土を扱う工事にはつきものです。 土をすくってからこぼさずにダンプの荷台に積み込むまでには、バックホーのアームやブーム、バケットを巧みに操る必要があり、熟練技能を要します。 しかし、人手不足が深刻化している今、このような単純作業はできれば自動化し、貴重な熟練オペレーターはもっと専門的な作業を行ってもらいたいですね。 そこで大林組、日本電気(以下、NEC)、大裕(本社:大阪府寝屋川市)は、「バックホー自律運転システム」を開発しました。 バックホーで土砂の山から土をすくい取り、旋回してダンプの荷台に載せるまでを、 ナ、ナ、ナ、ナント、 完全自動化 してしまったのです。(大林組のプレスリリースはこちら) 土砂の山から土をすくい取るバックホー(以下の写真、資料:大林組) バックホーの運転席には、大林組と大裕が共同開発した汎用遠隔操縦装置「サロゲート」が取り付けられています。これまでは、別の場所にいるオペレーターがバックホーを遠隔操作するという方法で使われていました。 そのサロゲートを、バックホーの動特性や応答遅延を考慮して制御を行うNECの「適応予測制御技術」や、ベテランオペレーターの操縦ノウハウをAI(人工知能)に学習させたシステムが自動運転するようにしたのです。 土をすくう作業を効率化するため、山の状況を3Dスキャナーで計測し、1回にバケットにすくえる土砂の量が最大になる掘削位置を判断。そこを狙ってバケットを突っ込みます。 実際の土砂の山 3Dスキャナーで計測 1回にバケットにすくえる土砂の量が最大になる掘削位置を決める YouTubeに公開されている動画「バックホウ自律運転システム」を見ると、土をバケットですくった後、こぼれないようにバケットを小刻みに ブルブルと振動 振動させて、旋回時などに土がこぼれないようにする細かい動作も行っていました。 そして、積み込んだ土砂がダンプの規定重量に達したときは、自動的に停止し、次のダンプが入ってくるまで待機します。 「バックホー自律運転システム」を使った現場の全景 大林組らは今回、開発したシステムを建設機械の「自律化第1弾」と位置づけており、2019年12月に大林組の土木工事現場に導入する予定です。 動画を見ると、ベテランオペレーターが掘削、積み込み作業を行う場合に比べて、動作はかなりゆっくりした感じです。しかし、今後、次世代通信技術「5G」を使えるようになると、見違えるようにスピードアップするに違いありませんね。
2019/07/22 10:17 株式会社イエイリ・ラボ
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“KKD”からAIへ!鹿島らがニューマチックケーソンの掘削管理をデジタル化
河底や海底などを掘り下げ、橋脚などを作る工事ではニューマチックケーソン工法が使われます。 下端(刃口)を尖らせたコンクリート製の円筒や四角筒(ケーソン)の先端に「作業室」という空間を設け、ここに高圧の空気で満たすことにより地下水の流入を抑え、ドライな環境で掘削を進めていくことができるものです。 そして、羽口の下を少しずつ掘り進めながら、ケーソン全体を沈めていきます。 ニューマチックケーソン工法の概念図(以下の資料:鹿島) 従来は作業室の中に人が入って作業することが一般的でしたが、2~3気圧という高圧下での苛酷な作業のため、最近は自動化が進みつつあります。 そこで問題なのが、作業室内の地盤をどこまで掘ったのか、掘っていない部分はどこなのかを正確に見分けることです。これまでははっきりしないとき、潜函作業員が作業室内に入って確認していましたが、加圧と減圧に数時間かかることもあり、安全性と作業効率の面で問題がありました。 ニューマチックケーソンの内部から見た土砂境界部付近の様子 そこで鹿島は、三菱電機、三菱電機エンジニアリングと共同で、ケーソン刃口部の位置や土砂の境界線を正確に把握できる「ケーソン掘り残し幅計測システム」を開発しました。 作業室内に3Dレーザースキャナーと刃口全周を撮影できる複数のネットワークカメラを設置し、点群データと写真データを組み合わせて、 ナ、ナ、ナ、ナント、 AIで土砂境界線を判断 することができるのです。(鹿島のプレスリリースはこちら) 点群データと写真データを組み合わせてAI(人工知能)で分析し、刃口の先端と土砂の境界線を検出する 刃口先端と土砂境界線を平面図的に表示したもの 「ケーソン掘り残し幅計測システム」の全体イメージ図 点群データ上に表示された刃口先端と土砂の境界線を見ると、両者がどれだけ近づいているのかが一目瞭然ですね。内部の状況を見ただけでは、これだけはっきりと全体の状況を把握するのは、ベテラン作業員でもなかなか難しいのではないでしょうか。 作業室の中央に据え付けた3Dレーザースキャナーは、天井レールに沿って走行する掘削機械と干渉しないように、高さ20cmの小型の機器を新たに開発しました。 また、ネットワークカメラには超広角カメラを採用し、設置台数を減らすことに成功しました。 点群データが取得できた部分については、「最も外周」に位置する点群を検出したうえで、ノイズ処理などの補正を行って土砂の境界線を出しています。 しかし、掘削機械の死角になって点群データがとれなかった場合は、カメラ映像からAI(人工知能)が得意とする 機械学習で土砂境界を推定 します。 その方法は、収集した画像を短冊状に切り分け、刃口と土砂の境界を指定した教師データを作ります。それを何枚も学習させることで、人間が目視で判断したのに近い識別精度を実現しています。 超広角カメラで撮影した画像を短冊状に切り分け、AIで土砂境界を推定している 毎日の作業の中で得られる土砂境界線のデータを、教師データとして再学習させることで、このAIはどんどん賢くなっていきます。そのため、新しい土質の現場でも、高精度の境界判断が行えるようになります。 鹿島はこのシステムで得られた掘削データと実際のケーソン沈下データを組み合わせて分析することで、掘削と沈下の関係を明確にし、精度の高い沈下予測や最適な掘削制御に活用できると考えています。 土木工事はベテランが長年、つちかってきた経験(K)と勘(K)、そして度胸(D)の「KKD」が求められる分野が多数、あります。その一角がついにデジタル化やAI化によって定量的な管理へと移行しつつあるのは、時代の進化を感じますね。
2019/07/19 10:47 株式会社イエイリ・ラボ
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VR化で座って作業も!大成建設がトンネルのコンクリ吹き付け作業を革新
山岳トンネルの掘削最前線(切り羽)では、掘りたての山肌が崩れてこないようにするため、コンクリートを吹き付けて固める作業が行われています。 これまでは、コンクリート吹き付け機のリモコンを持った作業者が切り羽近くに立ち、山肌への吹き付け状況を目で確認しながら、吹き付け機を操作していました。 しかし、作業者にとってこの作業は、切り羽からの土砂崩落や吹き付け材の跳ね返り、発生する粉じんなどに見舞われる危険で過酷なものでした。 そこで大成建設は、コンクリート吹き付け作業の安全性向上と環境改善を実現するため、コンクリート吹き付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO Remote Shotcreting(ティーアイロボ・リモート・ショットクリーティング)」を開発しました。 このシステムを使うと、作業者は切り羽から離れた場所で ナ、ナ、ナ、ナント、 イスに座ったまま 超ラクにコンクリート作業が行えるのです。(大成建設のプレスリリースはこちら) 切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる 切り羽でのコンクリート吹き付け状況を確かめるのは、作業者が着けたヘッドマウントディスプレー(HMD)に送られてくるステレオ映像です。 切り羽付近には魚眼レンズ付きカメラを2台収めたカメラボックスやLED投光器が配置されており、そこで撮影された超リアルな切り羽の映像がHMDに送られてくるのです。これは同社が2016年に開発した「T-iROBO Remote Viewer」というシステムを活用しています。 作業者はこの立体映像を見ながら、吹き付け作業を行います。首を上下左右に振ると、映像の方向もそれに同期して上下左右に変化するため、切り羽近くにいるような遠近感や臨場感をもって作業が行えます。 切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる 切り羽に吹き付け中の作業を撮影するカメラやLED投光器 吹き付け作業が切り羽の左右に移動すると、カメラボックスとLED投光器はレール上を移動し、常に吹き付け作業が行われている方向をとらえます。 また、魚眼レンズは超広角の映像を撮影できるため、カメラの方向を頻繁に切り替える必要はありません。カメラの移動は、吹き付けホース介添え者が補助します。 大成建設はこのシステムを実際の山岳トンネ工事(南山造成 読売ランド線トンネル築造工事)で使用し、HMDを使って安全かつ効率的に吹き付け作業が行えることを確認しました。 今後は全国の山岳トンネル工事に展開しながら改良を進め、 切り羽での無人化施工 の実現を目指すとのことです。 カメラで撮影した離れたところの映像を、あたか目の前にあるように見るという点では、VR(バーチャルリアリティー)の一種と言ってもよさそうですね。 大成建設ではソフトバンクと組んで、第5世代移動通信システム「5G」を活用した建設機械の制御などにも取り組んでいます。5G時代になるとカメラで撮影したリアルな映像を、さらに離れた場所で見たり建機の操作に使ったりと“遠隔型VR”の用途はさらに広がってきそうです。
2019/07/18 09:12 株式会社イエイリ・ラボ
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