「株式会社イエイリ・ラボ」のニュース一覧 (184件中1~20件を表示)

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東亜建設工業が2台のバックホーを1人で運転! 遠隔操作で“建設界の二刀流”を実現
港湾工事や海岸工事では、構造物の基礎や人工海浜を造るため、海底に所定の厚さで砂を投入する「砂まき船」という作業船が活躍しています。その中には、ホッパーという投下装置に、2台のバックホーを使って砂を供給するタイプのものがあります。 砂まき船のイメージ図。2台のバックホーが交互に砂をホッパーに投入する(以下の資料、写真:東亜建設工業) この作業は2人のオペレーターが呼吸を合わせて、互いにバックホー同士が接触しないようにタイミングよく砂を投入する必要があり、熟練が必要でした。しかし、少子高齢化時代には、熟練オペレーターは減少の一途です。そこで東亜建設工業は、この作業の生産性向上に乗り出しました。遠隔操作システムを使って、ナ、ナ、ナ、ナント、1人で2台のバックホーを同時に運転するという挑戦なのです。(東亜建設工業のプレスリリースはこちら) 砂まき船のオペレーター室で、2台のバックホーを1人で遠隔操作するイメージ まさに、建設界の“二刀流”、“二丁拳銃”という感じですね。当然、労働生産性も2倍になります。このシステムを実現するため、同社はARAV(本社:東京都文京区)が開発した遠隔・自動操作システムを使い、千葉県袖ケ浦市のヤードで実証実験を行いました。遠隔操作システムを搭載した2台のバックホーを使って砂まき線の作業現場を再現し、1人のオペレーターが土砂の掘削から旋回、ホッパーへの投入までを自動運転で行いました。 遠隔操作による自動運転で交互に土砂をホッパーに投入するバックホー 砂まき船の土砂投入作業を模した遠隔操作装置 バックホーに取り付けられた遠隔操作用の装置 運転席には遠隔操作室に現場の風景を送るカメラや、操作指示をバックホーのレバーに伝えるアクチュエーターが装備されている その結果、2台のバックホーが接触することなく、一連の作業を交互に行えることが確認できました。作業スピードは、2人のオペレーターがバックホーの運転席で操作する時と、同等のサイクルタイムだったのです。1人で2台のバックホーを操ることができれば、お互いの投入タイミングも調整しやすいですね。また、自動運転も使っているので、オペレーターの習熟度に関係なく、効率的な運転ができます。東亜建設工業では今後、砂まき船のバックホーにこのシステムを導入し、実施工を行いながら掘削制御や、障害物やトラブルを判断する技術を磨き、完全自動化を目指します。遠隔操作は建機の運転席に座るまでの“移動のムダ”を省くだけでなく、さらに複数の建機を1人で操作する“生産性倍増”を実現するツールとしても活用が始まったようです。
2023/04/11 16:59 株式会社イエイリ・ラボ
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アクティオがガラス工事用機械「グラスワーカー」をレンタル開始! 吸盤で「吸い付ける」新方式
建機レンタルの大手、アクティオ(本社:東京都中央区)は、建築現場でガラスや建材パネルを設置するための自走しアーム型機械、「グラスワーカ―」のレンタルを、2023年1月11日にスタートしました。 2023年1月11日からレンタルを開始した「グラスワーカ―」(特記以外の写真、資料:アクティオ) 上の写真を見ると、多数の「赤い丸」が配置されています。これは何かというと、ナ、ナ、ナ、ナント、ガラスを吸い付ける吸盤なのです。(アクティオのプレスリリースはこちら) ガラスや建材パネルを吸盤で吸い付け、そのまま窓枠や壁面にはめ込むことができる クレーンのような吊り具が不要で、しっかりと把持できるので効率的な作業が可能に 「グラスワーカー」 は、建物のガラスや建材パネルを吸盤で吸着し、そのまま窓枠や壁面にはめ込むことができる、遠隔作業用機械です。GW625/GW1125は自走式で、ブームの上げ下げ、伸縮、首振り(縦横左右)、旋回ができます。また、UPG1200は、クレーンなどでガラスなどを吊り上げ、はめ込む作業が可能です。
2023/01/18 12:08 株式会社イエイリ・ラボ
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西松建設が3Dスキャナー付き遠隔操作ショベルを開発!空調完備の部屋で山岳トンネルを掘る
西松建設は、山岳トンネル工事で落石や落盤などで、最も危険な切羽(きりは:掘削最前面)での作業を無人化するため、遠隔操作や自動化の技術を組み合わせた山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」の開発を進めています。イエイリラボのブログで紹介しただけでも、「切羽の遠隔監視」、「ホイールローダーの遠隔操作」、「掘削した地山性状の3Dモデル化」、「自由断面掘削機の遠隔操作」などがあり、同社の無人化に対する意気込みがひしひしと感じられます。 山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の全体構想(以下の資料、写真:西松建設) そして同社はこのほど、ジオマシンエンジニアリング(本社:東京都荒川区)と共同で、ナ、ナ、ナ、ナント、油圧ショベルを遠隔操作し、切羽付近の作業を無人化できる「Tunnel RemOS-Excavator(トンネルリモスエクスカベーター)」を開発したのです。(西松建設のプレスリリースはこちら) 切羽の発破後、浮き出ている岩片や浮き石を落下させる「コソク作業」などを遠隔操作によって行う油圧ショベル 空調完備の遠隔操作室内のコックピットとモニター 山岳トンネル工事では、切羽を発破した後に、浮き出ている岩片や浮き石を、ブレーカーで落下させる「コソク作業」が行われます。これまではオペレーターが乗った油圧ショベルが切羽に接近し、この作業を行っていました。しかし飛び石や切羽の崩落などの危険や、振動、騒音、粉じんなどがあり、苦渋環境での作業でした。
2023/01/16 16:53 株式会社イエイリ・ラボ
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かにクレーンが建設用3Dプリンターに変身! 仏Constructions 3D社が開発した「MaxiPrinter」
フランス北東部のブリュエ・シュル・レスコーにあるConstructions 3D社は最近。動画配信サイト「YouTube」で、ある動画を公開しました。20フィートコンテナで、クローラー付きの小型建機が現場に運ばれると、建機に取り付けられた巨大なアウトリガーで、高々と建機を持ち上げて施工の準備を行います。 20フィートコンテナで運ばれてきた建機(特記以外の写真、資料:Courtesy of Constructions 3D) コンテナからおろされたクローラー付き建機 アウトリガーを広げて空中に固定された建機 建設関係者の多くは、「ああ、前田製作所のかにクレーンじゃないか。日本ではよく見かけるよ」と、思われるかもしれません。しかし、この建機はかにクレーンではなく、ナ、ナ、ナ、ナント、建設用3Dプリンターだったのです。 建物の中央部に陣取り、ブーム先端のノズルからコンクリート状の材料を積層して壁を作る「MaxiPrinter」
2023/01/12 11:45 株式会社イエイリ・ラボ
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後付けAIカメラで人物を検知、警告! アクティオが「ドボレコJK」をレンタル開始
様々な現場で使われている建機、バックホーは大きな“お尻”部分があり、運転席からの死角が多いため、作業時には入念に周囲の安全確保に努める必要があります。そこで、建機への接近検知を行う安全システムが開発されてきましたが、作業員にセンサーなどを付けるなどの手間ひまがかかっていました。建機レンタルのアクティオ(本社:東京都中央区)は、こうした課題を解決しようと、重機への後付け型セーフティカメラシステム「ドボレコJK」を製品化し、2022年12月8日から本格レンタルを開始しました。 後付け型カメラ「ドボレコJK」の外観(左)とバックホーへの取り付け例(右)(以下の写真、資料:アクティオ) このカメラには独自のAI(人工知能)画像解析技術が導入されており、ナ、ナ、ナ、ナント、人物を高精度に自動検出する機能がついているのです。(アクティオのプレスリリースはこちら) 運転席のモニター画面。人物が自動検出され、平面図上に位置が表示される。映像上の人物には距離によって色が変わる枠が表示される 人物が建機に近づくと、AIが自動検知してアラート音や回転灯で知らせます。そのため、作業員にセンサーなどを携帯させる面倒はありません。運転席のモニター画面には、人物の位置を平面図上で表示するとともに、映像上の人物には、色の付いた枠を表示します。枠の色などは、距離によって変わり、赤色は3m以内、黄色は5m以内、緑色は8m以内です。撮影された映像は、本体に記録されるほか、クラウドで遠隔確認することも可能です。安全管理のテレワーク化にも役立ちそうですね。 クラウド経由でドボレコJKの映像を遠隔確認することもできる ドボレコJKの専用カメラマウントは、マグネットや粘着テープで簡単に建機に取り付けられ、カメラの自動姿勢補正機能によって建機の様々な場所に設置できます。また、国土交通省の「新技術情報提供システム(NETIS)」データベースにも登録されています。 登録番号 KK-210060-AAIは工事現場の安全管理にも、少しずつ、普及し始めてきたようです。 「ドボレコJK」のシステム・製品構成
2022/12/13 17:00 株式会社イエイリ・ラボ
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東洋建設がAIで船の”進路予報円”! AIステレオカメラでクレーン作業の安全システムも開発
建設業の生産性向上のため、「頭脳労働はAI(人工知能)に」という動きが活発化しています。そんな中、海洋工事に強い東洋建設は、AIを活用した現場の安全管理システムを続々と開発しています。その1つが、工事海域を航行するタンカーや貨物船など、一般船舶の将来の進路を予測する「AI長期進路予測システム」です。 中部国際空港周辺には、多数の船が航行している(写真:家入龍太) 富士通が開発した船舶位置予測のAI技術に、港ごとに船の動きを記録した過去のAIS(船舶自動情報識別装置)データを「教師データ」として機械学習させたシステムです。これを使うと、船舶の進路をナ、ナ、ナ、ナント、台風進路の予報円のように、60分後まで予測できるのです。(東洋建設のプレスリリースはこちら) 台風進路の予報円のように、60分後の船の進路を予測できる(特記以外の資料:東洋建設) これまで同社には、「みはりちゃん」というシステムがあり、AISや船舶レーダー、GNSS(全地球測位システム)のデータなどから、工事海域周辺にいる一般船舶をリアルタイムに把握していました。そして船舶の進行方向と速度から、将来の進路を予測していましたが、10分後までの進路を直線ベクトルで表示するにとどまっていました。 「みはりちゃん」による船舶の進路予測。直線コースを進むものとして、10分後までの位置予測にとどまっていた 今回、開発されたAI長期針路予測システムによって、船の進行方向や速度だけでなく、地形や航路などの港湾形状も加味して、曲線的な進路予測も可能になりました。そのため、工事の作業船が、カーブしながら接近してくる一般船舶などをより早く予測できるので、安全に航行できます。 AI長期進路予測システムで、カーブしながら接近してくる船舶の動きを60分後まで予測できるようなった 今後、主要港でのAISデータを学習させてこのシステムを全国的に展開を図ります。また、AISを搭載していない船舶の動きも、レーダー情報を学習させることで、すべての船舶の針路予測ができるよう開発を進めていきます。東洋建設はこのほか、AIを使った「クレーン作業安全支援システム」を、リコーインダストリアルソリューション(本社:東京都大田区。以下、RINS)と共同開発しました。
2022/11/01 11:09 株式会社イエイリ・ラボ
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1人で3台の重機を遠隔操作! 大林組が“超長距離テレワーク”やトンネル遠隔監視を実現
大林組は建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)の一環として、建設機械の自動運転や遠隔操作の技術開発を行っています。その一つは、2021年10月から2022年6月まで、福島県飯舘村で行った盛り土工事です。 福島県飯舘村で行った盛り土工事の現場(以下の写真、資料:大林組) 現場を監視するモニターや遠隔操作用のコントローラーが並んだ統合管理室 この現場では、自律運転が可能なバックホー、キャリアダンプ、ブルドーザーを連携させる「建機フリートマネジメントシステム(建機FMS)」を導入しました。キャリアダンプへの土砂積み込みや場内運搬・荷下ろし、そして敷きならしや転圧といった一連の作業を、現場から約450m離れたところにある現場統合管理室から、たった1人のシステム管理者によって行ったのです。 自動・自律運転や遠隔操作が可能な、3台の建機の連携による施工イメージ さらに、驚くべきことに、同様の遠隔操作をナ、ナ、ナ、ナント、約550km離れた大阪府枚方市にある「西日本ロボティクスセンター」からも、超長距離の遠隔指示や遠隔操作を行うことに成功したのです。(大林組のプレスリリースはこちら)こうなると、1人のオペレーターが超長距離のテレワークによって、現場の建機を動かして施工する、といったことも現実味を帯びてきますね。大林組では建機の遠隔操作や自動・自律化など「ロボティクスコンストラクション構想」を実現する技術を、実際のフィールドでさらに磨きをかけるため、西日本ロボティクスセンターに「インキュベーションスタジアム」という施設を建設しました。このスタジアムでは建機の遠隔操作や自動・自律運転による現場の無人化に向けた実証実験を行っていきます。 西日本ロボティクスセンターに設けられた「インキュベーションスタジアム」
2022/10/25 11:51 株式会社イエイリ・ラボ
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神戸清光が中国から日本の建機を遠隔操作! Builder Xのシステムで価格は500万円以下に
測量機器販売会社の神戸清光システムインスツルメント(本社:神戸市中央区)は、兵庫県小野市に広大なドローン(無人機)講習用の練習場を持っています。2022年3月、この練習場でバックホーの遠隔操作実験が行われました。 神戸清光システムインスツルメントの小野ドローン練習場で行われたバックホーの遠隔操作実験(特記以外の写真、資料:神戸清光システムインスツルメント) 練習場をスイスイと動き回る建機は、ナ、ナ、ナ、ナント、1700km離れた中国・北京のオペレーターが運転していたのです。 小野市のバックホー(右)は、1700km離れた中国のオペレーター(左)が遠隔操作を行っていた 遠隔操作に使われたシステムは、中国企業「builder X」が開発したものです。同社は米国スタンフォード大学でロボット工学を専攻した卒業生や、テスラモーターズ、アップル出身のエンジニアによって設立されました。神戸清光インスツルメントは、このシステムを日本仕様に合わせた改良や開発を行っています。 建機の遠隔操作システムの構成 遠隔操作用のコントローラー このシステムの特長は、既存の建機に約1.5日という短期間で後付けできることです。建機の油圧システムを直接制御するので、建機の運転室にじゃまな機器は取り付けません。遠隔操作とマニュアル操作は、エンジンルーム内のスイッチを切り替えるだけです。通信には4G回線を使用します。オペレーターは建機搭載のカメラや外部カメラから送られてくる映像を見ながら遠隔操作を行います。また、危険が生じたときは、現場にいる人が非常停止リモコンでストップさせることもできます。 既存の建機に油圧バルブ制御装置などを後付けしているところ 建機の動作を外部から撮影し、オペレーターに映像を送るカメラ 現場の作業員が持つ非常停止リモコン
2022/10/05 11:42 株式会社イエイリ・ラボ
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レンタル建機界の“価格ドットコム”、Archが登場! スマホの一括見積もりでコストを34%減
建設現場で使われるレンタル建機の料金は、レンタル会社によってかなり異なります。こまめに探せば、かなりのコストダウンが期待できそうです。しかし、日々の施工管理業務に追われる現場担当者には、いろいろなレンタル会社に電話をかけたり、FAXを送ったりして安い建機を探す余裕はありません。こんな現場担当者のお困りごとを解決するサービス「Arch」を、2022年9月14日、その名も同じArch(本社:大阪市北区)が正式にリリースしました。 建設現場と建機レンタル会社をクラウドでつなぐアプリ「Arch」の画面イメージ(以下の資料:Arch) 建設現場と建機レンタル会社をクラウドでつなぐアプリのサービスで、スマートフォンやパソコンから、複数のレンタル会社にナ、ナ、ナ、ナント、一括見積もりを取り、最安値のレンタル会社を選び、建機などをオンラインで発注できるのです。(Archのプレスリリースはこちら) 建設現場と建機レンタル会社をつなぎ、一括見積もりやオンライン発注などが行える「Arch」の機能 「Arch」のサービスは、着工前から竣工後までの建機レンタル品に関する業務を、トータルでサポートします。まず、最安値を探すためには「一括見積もりサービス」があります。スマホなどで見積もりを行うレンタル会社とレンタル品を選ぶだけで、複数の会社に相見積もりを依頼できます。各社から見積もりが返ってきて、レンタル建機などを発注する際も、アプリの画面から簡単に行えるので、電話やFAXといって面倒なものは使わずに済みます。 一括見積もりサービスの画面 レンタル建機の受発注サービス画面
2022/09/21 16:18 株式会社イエイリ・ラボ
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AIでクレーンの荷振れを自動抑制! タダノとDeepXが熟練オペレーターの技を再現
クレーンは工事現場や工場、港湾施設などで幅広く使われていますが、その運転には熟練オペレーターの技が求められます。特に難しいのは、荷物を吊り上げ、移動させたときに「ブラブラ」と揺れてしまうのを、静止させる操作です。オペレーターは自分の目で吊り荷の位置を確認しながら、複数のレバーを操作して、経験と勘によって吊り荷を静止させるのです。 クレーンで荷物を吊ったときの揺れを静止させるのは、ベテランの技が求められる(以下の写真、資料:DeepX) この操作を簡単にしようと、クレーンメーカーのタダノ(本社:香川県高松市)と、東大発のスタートアップ企業 DeepX(本社:東京都文京区)は、画期的な技術開発に成功しました。移動式クレーンのと制御アルゴリズムをナ、ナ、ナ、ナント、AIで学習・最適化することで、吊り荷の振れを抑制しながら、任意の位置に正確に移動できるようにしたのです。(DeepXのプレスリリースはこちら) 自動化の検証を行った移動式クレーン クレーンの運転は無人で行われた クレーンには、旋回・ブームの起伏・ウインチ操作という「3連操作」があり、吊り荷の荷振れには、振り子のような揺れのほか、ブームのたわみや風も影響してきます。これらをコンピューター上で再現するため、両社はクレーンシミュレーターとAI(人工知能)制御器を組み合わせて、制御アルゴリズムに最も効果的な操作方法を学習させました。 クレーンシミュレーター。荷振れに影響する、振り子のような揺れ(左)、ブームのたわみ(中央)、風(右)といった要素を再現した
2022/09/07 13:40 株式会社イエイリ・ラボ
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五洋建設がBIMモデル上で多数の重機を追跡! RTK-GNSS仕様の高精度で
杭打ち現場では、1本の杭を打つために、杭打ち機やクローラークレーン、バックホーなど数台の重機が一組になって、穴の掘削や既製杭の吊り下ろし、周辺の土砂搬出などを連携して行います。そのため、数十台の重機が稼働する現場では、どの重機が今、どこにいて、どんな作業をしているのかを把握するだけでも手間ひまがかかります。そこで五洋建設は、応用技術、ソフトバンクと共同で、現場のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル上に重機の位置と杭の施工状況をリアルタイムに投影する技術を開発しました。 重機位置と杭工事の進捗状況をBIMモデルで表示した例(緑:先行掘削完了 赤:打設完了)(資料:五洋建設) 「いまどきそんなの、簡単じゃない」とお思いの方もおられるでしょうが、各重機の位置は、ナ、ナ、ナ、ナント、RTK-GNSSで高精度で表示されているのです。(五洋建設のプレスリリースはこちら)RTK-GNSSというと、GNSS(全地球測位システム)衛星から送られてくる電波を、基準局と呼ばれる別の場所で受信した電波で補正し、位置精度をセンチメートル単位まで高める測位技術です。その証拠に、冒頭の図をよくみると、打設を完了した杭の高さが、杭によって微妙に違っているのがわかります。 上記の図を拡大したところ。打設完了の杭(赤色)の高さの微妙な違いがわかる RTK-GNSSのシステムには、価格に定評のあるソフトバンク「ichimill」(2020年8月17日付けのイエイリラボブログ参照)を使用しました。五洋建設は、この技術を「五洋建設統合施工管理システム PiCOMS」(ピーコムス)に実装し、大型物流施設現場で実証を行いました。BIMモデル上に表示した各重機の位置は、現場事務所や作業員休憩所の大型モニター、各種タブレット端末に表示することができます。このほか重機の稼働時間の算出や、工事期間中の重機の位置と稼働時間のデータを収集することも可能です。 PiCOMSによるBIMモデルとRTK測位情報連携のシステム図 このシステムによって、最大20台の重機が稼働する杭工事現場では、情報収集が自動化され、工事関係者間でリアルタイムな情報に基づいた打ち合わせが可能になったため、現場負担が5分の1に軽減できることが確認できました。 PiCOMSによる建築現場での情報一元化と情報共有のイメージ 今後、五洋建設では、データを蓄積・分析することで、重機の配置計画や稼働状況を考慮した、効率的な施工計画の立案や生産性向上を目指し、各現場に展開していく予定です。また、重機の実稼働時間からCO2排出量を自動算定し、「現場CO2排出量の見える化」にも取り組んでいくとのことです。
2022/09/02 12:15 株式会社イエイリ・ラボ
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大成建設と西尾レントオールが安全管理をテレワーク化!建機と人の接近もすぐわかる
年々、厳しくなる一方の人手不足を解決する手段として、現場業務のテレワーク化があります。その第一歩は、現場を写真や点群データなどで「デジタルツイン(デジタルの双子)」化してクラウドで共有し、現場にいなくても現場の状況がわかるようにする態勢を作ることです。大成建設は、この考え方を進化させて、現場にカメラやセンサー、作業者が装着するウエアラブルデバイスなどから、人や建機の動きなどのデジタルデータを収集し、リアルタイムにデジタルツイン化する「T-iDigitalField」を開発し、機能拡張を続けてきました。そして同社と西尾レントオールは、「T-iDigital Field」に、安全に関する情報を集約・一元管理して、現場の安全管理をテレワーク化できるアプリケーション「KIZUKIAI」を開発しました。現場にいなくても、ナ、ナ、ナ、ナント、建機と人の接近やクレーン過負荷などがリアルタイムにわかり、警報を出すことができるのです。(大成建設のプレスリリースはこちら) 安全管理をテレワーク化できるアプリ「KIZUKIAI」の概念図(以下の資料:大成建設) 建機と人の接近やクレーンの吊り荷状況、立ち入り禁止エリアへの侵入、仮設備の異常など、現場で発生したあらゆる警報を、現場はもちろん、外出先や遠隔地から、いつでもリアルタイムに確認でき、工事関係者間で情報共有が行えます。いわゆる「ヒヤリハット」の情報を、現場以外の人も含めて共有することで、「あの現場、今日はアラームが多いな」「なにかテンパってるんじゃないの」といった感じで、様々な工事関係者が安全について「気づき」合うことができるのです。こうしたシステムがあると「何か手伝おうか」といった気づかいの電話を現場担当者にかけたりするきっかけにもなりそうですね。ちょっとおかしいなと気づいた外部の人が、サポートの手をさしのべることで、現場でも安全第一で頑張ろうという気持ちになりそうです。 現場をリアルタイムにデジタルツイン化する「T-iDigital Field」の概念図 このほか、「KIZUKIAI」は警報などの安全情報を記録、分析する機能も持っています。警報の発生時刻や現場状況を分析して、作業手順や設備の見直しなど、適切な改善策を立案することができるのです。これは現場の動きをまるごとデータ化する、リアルタイムのデジタルツインならではの機能ですね。両社は今後、土木・建築現場を問わず、「KIZUKIAI」を様々な現場に導入し、機能の改良や新規開発を行っていく方針です。なお、「KIZUKIAI」や「T-iDigital Field」は、現実空間のデータをセンサーやネットワークを通じて仮想空間に収集し、データの分析や解析を行って、その結果を現実空間にフィードバックする「CPS(Cyber-PhysicalSystems)」という考え方に基づいています。現場をデジタルツイン化したデータは、安全管理だけでなく施工管理の「QCDSE」のすべてをテレワーク化し、AIやロボットの力を借りて働き方改革を実現するためのプラットフォームになりそうですね。 CPSの概念図
2022/07/06 10:38 株式会社イエイリ・ラボ
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スマホを高所作業車のカギにして“移動のムダ”削減! 鹿島、レンタルのニッケンらが後付けシステムを開発
建築工事の現場で欠かせないのが高所作業車です。大きな現場では、一つの現場内で100台以上も同時に稼働することがあるそうです。一方、高所作業車のカギは、毎日、元請け会社から協力会社に貸し出し、返却することが行われているため、現場で働く人はそのための移動や管理に多大な労力を費やしてきました。そこで鹿島、レンタルのニッケン、MIYOSHI(本社:埼玉県三芳町)の3社は、この不便を解消するため、既存の高所作業車に後付けできる「QRKAZAS」(キューアールカザス)を開発しました。ナ、ナ、ナ、ナント、スマートフォンにQRコードを表示し、カギとして使えるのです。(鹿島、レンタルのニッケン、MIYOSHIのプレスリリースはこちら) 高所作業車に搭載されたQRKAZASのQRコードリーダー部(以下の写真、資料:鹿島、レンタルのニッケン、MIYOSHI) 空港で飛行機に乗るときのように、リーダーにQRコードをかざせば、高所作業車が使える 従来のカギの代わりに、スマートフォンの専用アプリを使ってQRコードを表示し、それを高所作業車に搭載されたQRコードリーダーに読み込ませると高所作業車が使えるというものです。ちょうど、空港で飛行機に乗るときの要領で高所作業車が使えるというわけですね。利用者はスマホのアプリを起動させると、始業前点検のチェックリスト画面が現れます。各項目を点検し、チェック印を入れて「QRコード発行」ボタンを押すと、画面にカギとなるQRコードが表示されるというわけです。 アプリを起動させると始業前点検の画面が現れる(左)。各項目を点検した後、カギとなるQRコードが発行される(右) 鹿島らはこのほど、このQRコードリーダーを搭載した高所作業車100台を実際の現場に導入したところ、カギの貸し出しや返却などの作業が大幅に軽減できることを確認しました。スマホをカギにすれば、これまでのように物理的なカギの貸し出しや返却に伴う“移動のムダ”や管理の手間が一気に解消されるというわけですね。しかし、スマホを高所作業車のカギとして使うだけではもったいないです。鹿島は施工管理や朝礼、危険予知など、現場で使う様々なアプリを集めた「K-Mobile」というパッケージの導入を進めており、QRKAZASは「資機材管理」用アプリの一つという位置づけになります。 鹿島が導入を進める現場管理用パッケージ「K-Mobile」に含まれるアプリ 今後、3社は「QRKAZAS」に対応した高所作業車を、メーカーやリース会社を問わず、幅広く普及・展開することで建設業界全体の生産性向上を実現することを目指しています。
2022/05/31 13:37 株式会社イエイリ・ラボ
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コマツ系のEARTHBRAINがスマホ用3D計測アプリを開発!令和4年度のi-Construction基準でも“お墨付き”
スマートフォンを使った3D計測が、土木現場での施工管理で急速に普及しつつあります。そんな中、EARTHBRAIN(本社:東京都港区)は、初心者でも簡単に使えて、小規模現場にも手軽に導入できる高精度や3次元計測アプリ「Smart Construction Quick3D」を開発しました。 EARTHBRAINが開発した3次元計測アプリ「Smart Construction Quick3D」の使用状況(特記以外の写真、資料:EARTHBRAIN)● LiDARスキャナーと呼ばれる3D計測機能を内蔵したiPhoneやiPadの上位機種用に使えるもので、土工などの3D点群を、ナ、ナ、ナ、ナント、楽に・安く・早くできるのです。 「Smart Construction Quick3D」で作成した土工現場の点群データ 使い方は、このアプリのライセンスを「Smart Construction DX Gateway」(2022年5月下旬からの予定)で購入し、LiDARスキャナー搭載のiPhoneやiPadにインストールします。後は測定範囲を撮影するだけで、LiDARスキャナーや撮影した写真から高精度や点群データを作成できるのです。点群データは「LAS形式」で出力されます。 アプリの使い方手順 測定範囲に標定点や検証点を配置し、ランドログ(本社: 東京都港区)のGNSS測量器「Smart Construction Rover」で座標を取得すると、その座標を自動的にインポートできます。 現場に設置された標定点(黄色の矢印)(左)とGNSS測量器による座標計測(右) 標定点を使うことで、精度が±5cm以内の点群を作成できるので、2022年4月に国土交通省が発表した令和4年度の地上写真を用いた出来形管理要領に対応したアプリとして使用できます。また、「小規模土工」でこのアプリを利用すると、加点対象となります。 国土交通省が発表した令和4年度の地上写真測量(動画撮影型)を用いた出来形管理のイメージ(資料:国土交通省) EARTHBRAINは、コマツ、NTTドコモ、ソニーセミコンダクタソリューションズ、野村総合研究所の4社が出資して2021年に設立されました。コマツ系のEARTHBRAINが開発したこのアプリは、国土交通省のi-Constructionの出来形管理基準への対応や、令和4年度の小規模土工加点対象を打ち出していることもあり、スマホによる3D計測の普及を後押しするものと言えそうです。
2022/04/06 12:09 株式会社イエイリ・ラボ
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雪道走行の視界をリアルタイムに“除雪”! 岩崎が「Clear Drive」を開発
雪国に行くと「今年は雪の“当たり年”みたいだね」という話を聞くほど、各地で多くの積雪があります。吹雪の中、除雪や凍結防止剤の散布などを行うドライバーの皆さんは、雪道での視界の悪さに悩まされることも多いでしょう。 雪道を走行中の運転席からの視界(以下の写真、資料:岩崎) 雪道を走るドライバーに、安全運転できる環境を提供しようと、岩崎(本社:札幌市中央区)は物体検知型映像鮮明化システム「Clear Drive」という画期的な製品を開発しました。 「Clear Drive」を搭載した凍結防止剤散布車 その名の通り、吹雪でよく見えない雪道でも、ナ、ナ、ナ、ナント、視界から雪粒を除去したクリアな映像を運転席のモニターに表示してくれるのです。(Clear DriveのYouTube動画はこちら) 吹雪でよく見えない運転席からの視界 「Clear Drive」で鮮明化された視界 これだと、前方がよく見えない時にも安心して走行できますね。
2022/02/07 18:11 株式会社イエイリ・ラボ
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金杉建設が江戸川に巨大彫刻を完成! 全国に広がる「2022 POWER」運動
「社会インフラを活用し、建設技術で社会を明るくしよう」と、国土交通省が河川敷などの敷地を提供し、ICT建機を使って「2022 POWER」などの巨大彫刻を掘る建設会社の“課外活動”が、広がりを見せています。 2021年12月には、湯澤工業が山梨県南アルプス市内の釜無川河川敷に(メーキング動画はこちら)、熊野組が熊本県内の迫間川河川敷で(メーキング動画はこちら)、それぞれ巨大彫刻を完成させました。 山梨県内の釜無川、熊本県内の迫間川に掘られた巨大彫刻(左写真:湯澤工業、右写真:熊野組) そしてこのほど、筆者が確認している3つめの巨大彫刻が施工されました。 チルトローター付きバケットで文字のテーパー部を施工中のICT建機(特記以外の写真、資料:金杉建設) その現場とは、ナ、ナ、ナ、ナント、江戸川の河川敷なのです。(施工場所の地図はこちら) 埼玉県内の江戸川で巨大文字を彫刻中のICT建機 ICT建機のコックピットには「2022 POWER」の3Dモデルが 施工場所は埼玉県三郷市にある三郷排水機場前で、施工したのは金杉建設(本社:埼玉県春日部市)です。バケットが360度旋回する「チルトローター」という機構を備えたバックホーで、文字のテーパー部分を掘削しました。ベテランのオペレーターさんは、ICT建機に乗るのは初めてでしたが、2日目には自分の手先のように使いこなしていたそうです。
2022/01/21 13:13 株式会社イエイリ・ラボ
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遠隔操作で河川敷に巨大彫刻! “Google Mapsに残る仕事”に国交省も全面協力
昨日(2021年12月20日)の12時半から、YouTubeで山梨県の河川敷から30分ほどの実況中継が行われました。番組のタイトルは「建設機械×Digital 建設機械が動かすのは土だけじゃない、人の心だって動かす」という熱いものです(現在は録画が見られます)。現場リポーターを務める湯澤工業(山梨県南アルプス市)の常務取締役、湯沢信氏らは、1年前も同様に「2021 SMILE」という巨大メッセージを、南アルプス市内の釜無川河川敷に彫刻しました。(詳しくは、2021年1月4日付のイエイリラボ記事を参照) 2021年12月20日の12時半から始まった実況中継(以下の資料:湯澤工業、多数の協力者) 現場リポーターを務める湯澤工業の常務取締役、湯沢信氏 現場では数台のICT建機が稼働していた(左)。巨大な「2」の彫刻が見える 「2022 POWER」の完成予想図 この番組の企画は、2022年の新年を迎えるにあたり、河川敷に「2022POWER」という巨大なメッセージを、ICT建機で彫刻しようというものです。しかし、今回は前回よりもかなりチャレンジングな企画になっていました。ナ、ナ、ナ、ナント、無人建機を遠隔操作して、この彫刻を施工しようというのです。 現場からやや離れた場所に設置されたバックホーの遠隔操作システム 遠隔操作システムの座席には、現場の建機からの振動がフィードバックされる振動台が付いている(左)。遠隔操作システムはハイエースの中に設置され、どこでも移動できる
2021/12/21 16:23 株式会社イエイリ・ラボ
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竹中、鹿島がタワークレーンの全作業を遠隔操作化! オペレーターはオフィス勤務の時代
建築現場に欠かせないタワークレーンのオペレーターは毎日の朝夕、高所にある運転席まではしごを使って“垂直通勤”を約30分かけて行っています。この状況は肉体的にも、生産性向上の点でも改善の余地があると考えた竹中工務店、鹿島、アクティオ、カナモトの4社は、「TawaRemo」というタワークレーン用の遠隔操作システムを開発しました。これまで、大阪に設置した専用コックピットタイプで名古屋の現場のクレーンを遠隔操作する実証実験(2020年6月17日付のイエイリラボブログ参照) や、簡易コックピットタイプのシステムを東京都内の建築現場で本格運用(2021年4月14日付のイエイリラボブログ参照)するなど、着々と実用化に向けて開発を続けてきました。 専用コックピットタイプの構成(以下の資料:竹中工務店、鹿島) 簡易コックピットタイプの構成 都内のある建築現場で稼働するタワークレーン(左)と無人の運転席(右) この取り組みによって、オぺレーターの作業環境は大幅に改善し、運転席への昇降という移動のムダも削減されたため、生産性向上にもつながりました。そして4社はこのほど、専用コックピットタイプを大阪市内の解体現場に本格導入し、ナ、ナ、ナ、ナント、 日中の全作業を遠隔操作化 することを実現したのです。これは日本で初めての快挙です。(竹中工務店のプレスリリースはこちら) 専用コックピットでタワークレーンを遠隔操作するオペレーター 専用コックピットが置かれた地上の建屋 専用タイプのコックピットは重量約300kgで、従来のクレーン運転席と同様に、複数台のカメラから映像や荷重などの動作信号や異常信号を表示する各種モニターが装備されているほか、クレーン操作用のレバーやフットスイッチが設置されています。クレーンの目視による始業前点検などの操作も、コックピットから行えるようになっています。驚くべきことに、吊り荷によるクレーンの振動や傾きを「フォースフィードバック」によって再現する振動台まで付いており、オペレーターはまるで実際の運転席に座っているような感覚でクレーンを操作できます。今後、2022年初旬には、カナモトが専用コックピットタイプのTawaRemoを 5~10台増産 し、アクティオがこれに合わせて同社保有のタワークレーンを順次、改造します。そして竹中工務店や鹿島は、TawaRemoを運用する現場を順次、増やしていく計画です。また、技術連携を行っている清水建設(2020年10月21日付のイエイリラボブログ参照)や、建設RXコンソーシアム(2021年9月24日付のイエイリラボブログ参照)の参加企業とも連携し、TawaRemoの実工事への普及・展開を加速していきます。このほか、異なる現場で稼働する複数のタワークレーンを、まとめて遠隔操作する拠点の構築を目指して、関係省庁などとの協議も、引き続き進めていきます。これまで運転士の中で最も過酷だったタワークレーンのオペレーターは、近い将来、快適なオフィス勤務の仕事へと大きく変わりそうですね。
2021/12/16 13:12 株式会社イエイリ・ラボ
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三井住友建設がARで転圧回数を見える化! 振動ローラー運転席に透過型ディスプレー
土工事で盛り土を振動ローラーで締め固める作業では、ローラーがその場所を通過した回数で品質管理を行う「工法規定」がよく用いられます。これまではGNSS(全地球測位システム)を活用して振動ローラーの位置を計測し、運転席に搭載したタブレット端末のモニターに締め固め回数を色分け表示するシステムがよく使われてきました。しかし、振動ローラーの運転中に、(1)モニターに目線を動かすために安全性に問題がある、(2)画面が小さいので細かな部分の踏み残しが見えづらい、などの課題もありました。 振動ローラーによる締め固め作業(以下の写真:三井住友建設) そこで三井住友建設は、これら2つの課題を同時に解決する「AR転圧管理システム」を開発しました。AR(拡張現実)の技術を使って、盛り土の転圧回数の色別画像を、ナ、ナ、ナ、ナント、実際の盛り土に重ねて表示できるのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら) 「AR転圧管理システム」を導入した振動ローラーの運転席。各種カメラや加速度センサーなどが取り付けられている AR画像と運転手の視点を合わせる補正は、次の3つの方法で行います。運転席に設置した2台のアイトラッキング(視点計測)カメラが運転手の目の動きを認識し、目線に合わせてAR画像の表示範囲や角度を補正します。また、加速度センサーで車体の前後左右の傾きを自動認識し、AR画像の表示を補正します。さらにGNSSの位置情報に加えて、車両前面に設置した360°カメラで車体の方位を自動認識し、AR画像の表示を補正します。AR画像を現場で見るデバイスとしては、HoloLensのようなMR(複合現実)ゴーグルや、メガネ部分に小型スクリーンを仕込んだスマートグラス、タブレット端末などが使われていますが、このAR転圧管理システムでは、フロントガラスに大型の透過型ディスプレーを搭載しています。 運転席に取り付けられた大型の透過型ディスプレー 透過型ディスプレーとは、映像を表示しつつ、向こう側が透けて見えるディスプレーのことで、最近では透過率80%以上と、ガラスに近い透過度を備えた製品もあるようです。MRゴーグルなどは視界が狭くなることから、工事現場では安全管理上、使いにくい場合もありますが、透過型ディスプレーならそんな心配もいりません。現場や建設機械でMRやARを使うときの新しいツールとして、今後、使われそうですね。
2021/11/30 17:40 株式会社イエイリ・ラボ
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鹿島が成瀬ダムの“土木未来館”をデジタルツイン化! 建設DXの聖地を24時間見学可能に
鹿島が秋田県東成瀬村で施工中の成瀬ダム堤体打設工事は、同社の次世代建設システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」が本格的に導入され、20台以上の自動化重機が稼働する「建設DX(デジタル・フォーメーション)」の“聖地”です。 多数の自動化重機で施工中の成瀬ダム堤体工事の現場(以下の写真、資料:鹿島) この現場では、鹿島が考える土木の未来を体感できるミュージアム「KAJIMA DX LABO」が2020年10月14日に開設されました。成瀬ダムの機能やICT施工技術などがパネルやシアター、AR(拡張現実)と連動したジオラマなどで紹介されており、冬季の閉鎖期間を除く約9カ月間で2600人以上の見学者が訪れるほどの人気ぶりです。 成瀬ダムの現場に開設されたミュージアム「KAJIMA DX LABO」 ジオラマでAR体験もできる 一度、見学してみたいけど、現場まで行くのは大変だな、とお思いの皆さま、朗報です。鹿島はこのほど、このミュージアムをナ、ナ、ナ、ナント、“デジタルツイン化”し、ウェブ上でいつでもどこでも見学できるようにしたのです。(鹿島のプレスリリースはこちら) ウェブ上に公開された「KAJIMA DX LABO オンラインミュージアム」 その名も「KAJIMA DX LABO オンラインミュージアム」というもので、「Matterport」という3Dスキャンシステムで館内をくまなく映像データ化し、館内を再現しました。展示パネルには青や赤の円が付けられ、クリックすると日本語や英語のコンテンツが表示され、拡大してじっくりと読めるようになっています。 デジタルツイン化された館内。床面に表示された円をクリックするとそこに移動できる 日本語のパネル資料 英語版の資料もある
2021/11/26 18:08 株式会社イエイリ・ラボ
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2020/08/1718:27 株式会社イエイリ・ラボ
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2022/10/1812:46 日立建機日本株式会社
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日本建設機械工業会 需要予測まとまる(建設機械需要予測(2022年8月))
2022/08/2914:45 一般社団法人 日本建設機械工業会