あのJAXAがNETISに登録!「だいち2号」で草に隠れたインフラまで監視
先日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のアポロ11号による人類初の月面着陸から50周年を迎えたことが話題になりましたが、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も、小惑星探査探査機「はやぶさ2」が月よりはるか離れたリュウグウにタッチダウンし、試料収集を試みるなど、シブい成果を挙げています。
そのJAXAは、人工衛星「だいち2号」が地球を観測したデータと、地球の表面を高精度に解析できる「合成開口レーダー(SAR)」技術を組み合わせた「ANATISアナティス」によって、社会インフラの維持管理にも貢献しています。
衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール(ANATIS)の概要(以下の資料:特記以外はJAXA)
このANATISが2019年7月8日、「衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール」(登録No.:KT-190029-A)として、
ナ、ナ、ナ、ナント、
国土交通省のNETIS
に登録されたのです。(JAXAのプレスリリースはこちら)
国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)に登録された「衛星SARデータによるインフラ変位監視ツール」(資料:NETISより)
NETISとは国土交通省が新技術の活用を促進するために設けた「新技術情報提供システム」というデータベースで、インターネットで誰でも見られます。
合成開口レーダーとは、人工衛星の周回移動の動きを利用して、高解像度のレーダー画像を得られるものです。
NETISに登録されているデータによると、河川の定期横断測量にこのツールを使った場合、現地計測の手間や測量士の資格が不要といった手軽さのほか、従来は5年に1回だった定期観測が、年に4回、データ取得と解析が行えるというメリットもあります。
また、従来の方法では4平方キロメートルの計測に従来は61日の期間と720万円の費用がかかっていたのに対し、このツールだと期間が10日に短縮(83.61%減)で、費用は249万1950円(65.39%減)というかなりの効果があるされています。
従来手法に比較した効果(資料:NETISより)
しかし、人工衛星からの観測だと、樹木の下の地盤まではわからないだろうと思われる方もいらっしゃるでしょう。
その点については、Xバンド(波長:24~37.5mm)に比べて波長が長いLバンド(波長:150~300)を使って観測することにより、
芝生に隠れた滑走路
なども発見できる性能を持っているのです。
LバンドとXバンドによるSAR画像の比較。Lバンドは電波の透過性に優れているため、芝生に隠れた滑走路(赤丸内)も発見できる
しかし、あのJAXAがNETISに登場するとは、これまではあまり考えられませんでしたね。建設界にオープンイノベーションが起こりつつあるのを感じました。
最終更新:2019/11/2018:08