東亜建設工業が2台のバックホーを1人で運転! 遠隔操作で“建設界の二刀流”を実現

2023/04/1116:59配信

港湾工事や海岸工事では、構造物の基礎や人工海浜を造るため、海底に所定の厚さで砂を投入する「砂まき船」という作業船が活躍しています。

その中には、ホッパーという投下装置に、2台のバックホーを使って砂を供給するタイプのものがあります。

砂まき船のイメージ図。2台のバックホーが交互に砂をホッパーに投入する(以下の資料、写真:東亜建設工業)

この作業は2人のオペレーターが呼吸を合わせて、互いにバックホー同士が接触しないようにタイミングよく砂を投入する必要があり、熟練が必要でした。しかし、少子高齢化時代には、熟練オペレーターは減少の一途です。

そこで東亜建設工業は、この作業の生産性向上に乗り出しました。

遠隔操作システムを使って、

ナ、ナ、ナ、ナント、

1人で2台のバックホー

を同時に運転するという挑戦なのです。(東亜建設工業のプレスリリースはこちら

砂まき船のオペレーター室で、2台のバックホーを1人で遠隔操作するイメージ

まさに、建設界の“二刀流”、“二丁拳銃”という感じですね。当然、労働生産性も2倍になります。

このシステムを実現するため、同社はARAV(本社:東京都文京区)が開発した遠隔・自動操作システムを使い、千葉県袖ケ浦市のヤードで実証実験を行いました。

遠隔操作システムを搭載した2台のバックホーを使って砂まき線の作業現場を再現し、1人のオペレーターが土砂の掘削から旋回、ホッパーへの投入までを自動運転で行いました。

遠隔操作による自動運転で交互に土砂をホッパーに投入するバックホー

砂まき船の土砂投入作業を模した遠隔操作装置

バックホーに取り付けられた遠隔操作用の装置

運転席には遠隔操作室に現場の風景を送るカメラや、操作指示をバックホーのレバーに伝えるアクチュエーターが装備されている

その結果、2台のバックホーが接触することなく、一連の作業を交互に行えることが確認できました。

作業スピードは、2人のオペレーターがバックホーの運転席で操作する時と、

同等のサイクルタイム

だったのです。

1人で2台のバックホーを操ることができれば、お互いの投入タイミングも調整しやすいですね。また、自動運転も使っているので、オペレーターの習熟度に関係なく、効率的な運転ができます。

東亜建設工業では今後、砂まき船のバックホーにこのシステムを導入し、実施工を行いながら掘削制御や、障害物やトラブルを判断する技術を磨き、完全自動化を目指します。

遠隔操作は建機の運転席に座るまでの“移動のムダ”を省くだけでなく、さらに複数の建機を1人で操作する“生産性倍増”を実現するツールとしても活用が始まったようです。

最終更新:2023/04/1117:12

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