ドローンとAIで建機をデジタルツイン管理! 鹿島とAI insideが資機材管理の生産性を4倍に
工事現場に点在する建設機械や機械などの資機材が今、どこにあるのかを把握するのは、施工の安全管理や効率化の上で大変、重要な作業です。
担当者は現場を巡回し、時には高所や狭い場所に入って、「どこに何が、何台あるのか」を調べ、レンタル品で余ったものがないか、点検期限切れのものがないかといった管理を行います。
この膨大な手間ひまがかかる資機材管理を効率化しようと、鹿島建設とAI inside(本社:東京都渋谷区)は画期的なシステムを開発しました。
現場に点在する建機などを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンとAI
によって発見し、その位置をデジタルツイン(デジタルの双子)で管理しようというのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
ドローンで撮影した映像から、AIが建機などの資機材を検出したイメージ(資料:AI inside)
建機などの位置は、現場のデジタルツイン上に自動的に反映される(資料:鹿島)●建機などの位置は、現場のデジタルツイン上に自動的に反映される(資料:鹿島)
このシステムは、AI insideのAI統合基盤「AnyData」に、ドローンで撮影した建機などの写真を使い、名称と形を学習させて開発しました。
その結果。ドローンで現場を撮影した動画から、AIが資機材の名称や位置を自動的に検出できるようになりした。現在は、人の大きさ程度の資機材であればほぼ検出でき、検出可能な資機材は25種類に上っています。
その資機材の位置を、ドローンの飛行記録から割り出して、現場のデジタルツイン上に表示します。建機の存在や位置を可視化することで、広い現場でも資機材の管理を効率的に行えます。
システムの概要とフロー(資料:鹿島)
活用していない資機材も判別わかるので、そのような資機材があれば返却するなど、無駄をなくすことにもつながります。
また、個別の管理を行いたい資機材については、プラカードを使用した識別によって法定点検日等を管理することも可能です。
個別に管理したい資機材に張り付けられたプラカード(資料:鹿島)
鹿島はこのシステムを自社が施工する「大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事」(発注者:国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所)の現場で導入しました。
その結果、資機材管理にかかっていた時間が、1回当たり
2時間から30分に短縮
されたのです。生産性で言うと4倍になったというわけですね。
今後、鹿島は資機材の検出精度を上げるとともに、手で持てる程度の小さな資機材も検出できるように開発を進める計画です。
この工事で構築した資機材管理用のAIモデルは、他の現場でも活用できるので、全社への展開も検討しています。
また、同社が多くの土木現場で活用している、現場見える化統合管理システム「Field Browser」と連携させることで、現場業務の効率化も目指していきます。
こうしたシステムの活用により、現場内の情報を把握するため「移動のムダ」も、劇的に減っていきそうですね。