最近の機械貿易動向(1月)〜機械輸出伸び率3ヶ月連続マイナス〜

2019/03/1415:25配信

日本機械輸出組合 2019.3.14

平成 31 年 1 月の機械輸出額は 3 兆 5,476 億円、対前年同月比 8.5%減と、3 ヶ月連続でマイナスとなった。これは、① 北米向け以外の 5 地域すべてでマイナスだったこと、② 自動車、産業機械をはじめ 19 輸出業種がマイナスとなったことなどによる。為替・営業日要因が1.9%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は 6.6%減となった。平成 31 年 2 月の為替・営業日要因は 0.2%の減少寄与要因となっているが、3 月 7 日発表の貿易統計速報によれば 2 月上中旬の全商品輸出は 1.2%増であった。


Ⅰ 要 約
1. 全商品貿易動向(図表1)
 ① 全商品輸出額:5 兆 5,747 億円(前年同月比 [以下同じ] 8.4%減、2 ヶ月連続マイナス)
 ② 全商品輸入額:6 兆 9,903 億円(0.6%減、10 ヶ月ぶりマイナス)
 ③ 貿易収支:1 兆 4,156 億円の赤字
2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)
 ① 機械輸出額:3 兆 5,476 億円(8.5%減、3 ヶ月連続マイナス)
  為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:6.6%減 (3 ヶ月連続マイナス)
 ② 機械輸入額:2 兆 2,222 億円(0.3%減、2 ヶ月連続マイナス)
(2) 為替・営業日動向
  2019 年 1 月に 1.9%の減少要因、2 月に 0.2%の減少要因、3 月に3.0%の減少要因
  となる。
(3) 地域別動向
 ① 北米向け以外の 5 地域向けがマイナス(図表4、5)
 ② 北米向け:5.8%増、3 ヶ月ぶりプラス(図表4、5)
 ③ 中国向け:19.0%減、3 ヶ月連続マイナス(図表4、5)
 ④ ASEAN・南アジア向け:3.9%減、26 ヶ月ぶりマイナス(図表4、5、6、8、9)
 ⑤ EU 向け:3.7%減、4 ヶ月ぶりマイナス(図表4、5)
 ⑥ 韓国・台湾向け:16.7%減、12 ヶ月連続マイナス(図表4、5、6、7)
 ⑦ その他地域向:16.6%減、2 ヶ月連続マイナス(図表4、5、10)
(4) 業種別動向(図表11)
 上位 21 業種中 2 業種がプラス。そのうち航空機部品のみが二桁の伸び
(5) 機種別動向(図表12、13)
 ① TV(北米、EU 向け中心、4 ヶ月連続上位)、航空機部品(北米向け中心)等が大きくプラス
 ② 鉄道車両、通信機械部分品等が大きくマイナス
(6) 機械輸入動向(図表14)
 ① 機械輸入額上位 12 機種のうち、8 機種がプラス
 ② そのうち 4 機種が二桁以上のプラス

Ⅱ トピックス

1.【インドネシア】好調な経済成長を維持。今後のデジタル経済の進展に注目
インドネシアの2018年の経済成長率は、前年比5.17%増となった。個人消費が成長をけん引している。政府は、2019年の経済成長を5.3%程度になると予想している。一方、海外からの直接投資額は2017 年比で8.8%減の392兆ルピアとなった。
インドネシアでは、スマホの普及や中間層の成長を背景にデジタル経済が急速に進展している。政府は、2020年までに東南アジア地域の「デジタル先進国」となる目標を掲げており、現在では電子決済システムが浸透し、EC も急成長している。大手財閥リッポー・グループは、デジタル経済への関与を強めている。リッポーは、電子マネー最大手の「オボ(ovo)」を運営しており、さらに中国ネットサービス大手のテンセントに出資した。EC では、地場企業トコペディアをはじめ、ブカラパック、JD などが主要企業である。米アマゾンもインドネシアへの進出を計画している。EC 市場は、2022年には4,250億ドルにまで成長するとの予測もある。配車サービス分野では、地場最大手のゴジェックがシンガポールのグラブと熾烈なシェア争いを繰り広げている。
しかし、懸念される点は、規制緩和の進展が鈍化していることである。2018年末、政府はデジタル分野における規制緩和政策を発表したが、国内からの反発で撤回に追い込まれている。

2. 【ブラジル】国内経済に回復の兆し。自動車セクターに注目が集まる
ブラジルの 2018 年第 3 四半期(7-9 月期)の経済成長率は、前年同期比で 1.3%となった。トラック業界のストの影響も消え、民間消費が力を取り戻しつつある。2019 年は、経済成長が緩やかに加速すると見られている。国際通貨基金(IMF)は、2018 年の成長率を 1.4%、2019 年を 2.4%と予測している。
ボルソナロ新政権の発足後、主要株価指数ボベスパは約 10%上昇し、為替相場もレアル高が続く。インフレ率も安定している。2019 年 2 月に入り、ブラジル中央銀行は政策金利を過去最低の年 6.50% に据え置いた。ボルソナロ政権は経済の構造改革を打ち出しており、世銀のビジネス環境調査で 50 位以内に入るという目標を打ち出した。パウロ・ゲジス経済相の手腕に期待がかかる。
今後注目されるのは、自動車産業である。ブラジルは中南米の生産・輸出基地となりつつある。2018 年の自動車生産台数は、前年比 6.7%増の 288 万 724 台だった。また、国内販売台数は 14.6%増の 256万 6,433 台だった。2019 年 1 月の生産台数は、前年同月比 24.6%増の 21 万 6,834 台と好調を維持している。新たな自動車産業政策である「Rota2030」が、2018 年 12 月に施行された。燃費・安全性基準を満たした自動車には、工業製品税を減免する措置などを導入し、産業の競争力強化や投資促進を図る。

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最終更新:2019/11/2018:09

日本機械輸出組合

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