最近の機械貿易動向(5 月)~機械輸出額7 ヶ月連続減少~

2019/07/1815:54配信

日本機械輸出組合 2019.7.18


2019 年5 月の機械輸出額は3 兆6,899 億円、対前年同月比7.1%減と、7 ヶ月連続で前年同月比減少した。これは、① 北米向け以外の5 地域向けで減少したこと、② 21 業種中 船舶を除いた20 業種が減少したことなどによる。為替・営業日要因が9.0%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は2.2%増となった。2019 年6 月の為替・営業日要因は5.5%の減少寄与要因となっているが、7 月18日発表の貿易統計速報による簡易計算では、6 月の機械輸出は8.1%減であった。


Ⅰ 要約

1. 全商品貿易動向(図表1)

① 全商品輸出額:5 兆8,353 億円(前年同月比 [以下同じ] 7.8%減、6 ヶ月連続減少)
② 全商品輸入額:6 兆8,036 億円(1.5%減、3 ヶ月ぶり減少)
③ 貿易収支:9,683 億円の赤字



2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)

① 機械輸出額:3 兆6,899 億円(7.1%減、7 ヶ月連続減少)
為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:2.2%増 (7 ヶ月ぶり増加)
② 機械輸入額:2 兆2,394 億円(4.1%増、3 ヶ月連続増加)

(2) 為替・営業日動向

2019年5月に9.0%の減少要因、6 月に5.5%の減少要因、7 月に3.2%の増加要因となる。

(3) 地域別動向

① 北米向け以外の5 地域向けが前年同月比減少(図表4、5)
② 北米向け:1.7%増、3 ヶ月連続増加(図表4、5)
③ 中国向け:10.0%減、3 ヶ月連続減少(図表4、5)
④ ASEAN・南アジア向け:17.2%減、5 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9)
⑤ EU 向け:5.1%減、2 ヶ月連続減少(図表4、5)
⑥ 韓国・台湾向け:17.5%減、16 ヶ月連続減少(図表4、5、6、7)
⑦ その他地域向:0.5%減、6 ヶ月連続減少(図表4、5、10)

(4) 業種別動向(図表11)
 上位21 業種中船舶1 業種のみ増加(39.4%増加)。
(5) 機種別動向(図表12、13)

① 船舶(その他地域向け中心)が大きく増加
② 鉄道車両、通信機械部分品、産業用ロボット等が大きく減少

(6) 機械輸入動向(図表14)

① 機械輸入額上位12 機種のうち、9 機種が増加
② そのうち5 機種が二桁の増加



Ⅱ トピックス

1.【台湾】ホンハイの業績が悪化。米中貿易摩擦を受け生産拠点シフトを加速
 電子機器受託製造サービスで世界最大手の台湾・ホンハイ(鴻海)精密工業は、2019年第1四半期(1-3月期)において、純利益が前年同期比18%減の198億台湾(NT)ドルと低迷した。売上高は3%増の1兆543億台湾ドルだった。主要顧客である米アップルの不振が響いた。さらに6月以降は、米トランプ政権によるファーウェイに対する規制の悪影響が広がるとの見方が出ている。すでに、鴻海はいくつかの生産ラインを停止したと報じられている。
 ホンハイは米中貿易摩擦を受けて、サプライチェーンの見直しを加速させている。同社は、これまで中国を主な生産拠点としてきたが、2020年末までに米国で電子部品、液晶パネルなどの量産を開始する。投資総額は14億~15億ドルになる。また、子会社のシャープもノートパソコンなどについて、中国から生産を移すことを検討する。
 アップルはiPhone などの生産体制を見直し、中国以外に移転することを促進する構えである。アップルの主要サプライヤーである台湾のペガトロン、クワンタ、コンパルなどは東南アジアへの生産移管を進める。

2.【トルコ】経済が大幅に低迷。イスタンブール市長選敗北で大統領の求心力が低下
 トルコの2019 年第1 四半期(1-3 月期)の経済成長率は前年同期比2.6%減だった。二期連続のマイナス成長となった(前期比では1.3%増でリセッション入りを免れた)。個人消費や住宅投資など経済のけん引役が落ち込んだ(個人消費はマイナス4.7%、建設業はマイナス10.9%)。通貨リラの急落でインフレ率が上昇し、国民生活に大きな打撃となった(米国との対立により、2018 年夏以降、大幅なリラ安が続いている)。インフレは若干緩和したものの、トルコ中央銀行は政策金利を24%で据え置いている。外貨建て債務の返済が困難となり、政府は大規模なインフラ計画を凍結している。
 自動車販売も低迷している。2019 年5月の新車販売台数は、前年同月比54.7%減の3 万3,980 台となった。1-5 月の販売累計でも前年比50%減となっている。
 エルドアン大統領の強権的な政治運営に批判が集まるなか、イスタンブール市長選の再選挙が行われ、大統領派候補が大差で敗北した。今回の敗北でエルドアン大統領の求心力が、さらに低下する恐れもある。またミサイル問題で再度、対米関係が悪化する可能性もある。6 月に入り、ムーディーズが外貨準備高の急減からトルコの信用格付けを引き下げるなど、デフォルトリスクも高まっている。



Ⅲ 個別動向

1. 全商品貿易動向~輸出は6ヶ月連続で減少、輸入は3ヶ月ぶりに減少~

1) 2019 年5 月の全商品輸出額は5 兆8,353 億円、前年同月比(以下同じ)7.8%減と6 ヶ月連続で減少した(4 月2.4%減)。これは、約23%を占める輸送用機器(1.2%増)が増加したものの、約20%を占める一般機械(13.1%減)をはじめ、約17%の電気機器(9.9%減)、鉄鋼・非鉄金属等原料別製品(10.1%減)等が減少したためである。
2) 輸入額は6 兆8,036 億円、1.5%減と3 ヶ月ぶりに減少した(4 月6.5%増)。これは、全輸入額の約15%を占める電気機器(3.3%増)等が増加したものの、約21%を占める原粗油等鉱物性燃料(1.6%減)や、医薬品等化学製品(10.5%減)等が減少したことによる。
3) この結果、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、約9,683 億円と4 ヶ月ぶりの赤字(4 月は568億円の黒字)となった。



機械貿易動向


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最終更新:2019/11/2018:09

日本機械輸出組合

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