最近の機械貿易動向(2 月)~機械輸出伸び率 4 ヶ月連続マイナス~

2019/04/1816:31配信

日本機械輸出組合 2019.4.18

2019 年 2 月の機械輸出額は 4 兆 964 億円、対前年同月比 2.3%減と、4 ヶ月連続でマイナスとなった。これは、① 中国向け以外の 5 地域すべてでマイナスだったこと、② 産業機械、船舶をはじめ 14 輸出業種がマイナスとなったことなどによる。為替・営業日要因が 0.3%の減少寄与要因だったことを考慮すると、 実質的な伸び率は 2.0%減となった。2019 年 3 月の為替・営業日要因は 2.9%の減少寄与要因となっているが、4 月 17 日発表の貿易統計速報による簡易計算では、3 月の機械輸出は 2.9%減であった。




Ⅰ 要 約

1. 全商品貿易動向(図表1)
① 全商品輸出額:6 兆 3,849 億円(前年同月比 [以下同じ] 1.2%減、3 ヶ月連続マイナス)
② 全商品輸入額:6 兆 501 億円(6.6%減、2 ヶ月連続マイナス)
③ 貿易収支:3,349 億円の黒字
2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)
① 機械輸出額:4 兆 964 億円(2.3%減、4 ヶ月連続マイナス)
為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:2.0%減 (4 ヶ月連続マイナス)
② 機械輸入額:1 兆 8,513 億円(4.7%減、3 ヶ月連続マイナス)
(2) 為替・営業日動向
2019 年 2 月に 0.3%の減少要因、3 月に 2.9%の減少要因、4 月に2.5%の増加要因となる。
(3) 地域別動向
① 中国向け以外の 5 地域向けがマイナス(図表4、5)
② 北米向け:0.5%減、2 ヶ月ぶりマイナス(図表4、5)
③ 中国向け:1.8%増、4 ヶ月ぶりプラス(図表4、5)
④ ASEAN・南アジア向け:4.3%減、2 ヶ月連続マイナス(図表4、5、6、8、9)
⑤ EU 向け:0.8%減、2 ヶ月連続マイナス(図表4、5)
⑥ 韓国・台湾向け:11.3%減、13 ヶ月連続マイナス(図表4、5、6、7)
⑦ その他地域向:3.8%減、3 ヶ月連続マイナス(図表4、5、10)
(4) 業種別動向(図表11)
上位 21 業種中 7 業種がプラス。そのうち船舶、陸用内燃機関の 2 業種が二桁の伸び
(5) 機種別動向(図表12、13)
① 船舶(その他地域、ASEAN・南アジア向け中心)、TV(北米、EU、中国向け中心、5 ヶ月連続上位)等が大きくプラス
② 鉄道車両、通信機械部分品等が大きくマイナス
(6) 機械輸入動向(図表14)
① 機械輸入額上位 12 機種のうち、6 機種がプラス
② そのうち 2 機種が二桁以上のプラス


Ⅱ トピックス

1.【中国】中国経済が減速、半導体需要が減少し日本企業に影響
中国の景気減速、米中貿易紛争が半導体需要に大きな逆風となっている。
中国は世界の半導体市場の3~4割を占めるが、家電、自動車、工作機械向けの需要が減少している。世界半導体市場統計(WSTS)によると、2019年1月の中国半導体市場は、前月比マイナス8.5%の120 億ドルとなった(米州でも落ち込みが大きい)。WSTS は、2019年の中国を含むアジア・太平洋地域の半導体市場は前年比マイナス3%になるとしている。
中国の2018年の経済成長率は、前年比6.6%増にとどまった(第4四半期は6.4%増)。米中貿易紛争の影響がさらに広がり、IMF は、2019年の成長率は6.2%にまで落ち込むと予測している。さらに、2019 年1~2月の工業生産は前年同期比5.3%増にとどまり、10年ぶりの低水準となった。中国企業は軒並み業績が悪化しており、自動車、電機企業においては設備投資を手控える動きが広がっている。
このような状況を受けて、今年3月に開催された全国人民代表大会では減税やインフラ投資などの景気対策が打ち出されたが、その効果が出るまでには、しばらく時間がかかるとの見方が大勢を占める。
半導体需要の減少による、日本企業への影響も顕著になってきている。
ルネサスエレクトロニクスは、国内外の13工場で生産停止に踏み切る。半導体製造装置メーカーでは、2018年第4四半期に東京エレクトロン、日立ハイテクノロジーズ、SCREEN ホールディングスが減益となった。電子部品メーカーでは、日本電産、TDK などが中国の需要減を理由に業績予想を下方修正している。ただし、中期的には AI、IoT、5G などの需要により、半導体市場は再び成長軌道に戻るとの見方が強い。他方、パワー半導体は需要の落ち込みが緩やかで、富士電機、三菱電機は設備投資の強化に踏み切る。
半導体の需要回復の時期を見極めるには、今後の米中貿易紛争の展開についても注視していく必要があるだろう。


2. 【トルコ】経済成長が大幅に鈍化。インフラ計画も凍結
トルコの 2018 年第 4 四半期(10-12 月期)の GDP 成長率は前年同期比 3%減となり、9 四半期ぶりのマイナス成長となった。2018 年通年の実質成長率は 2.6%で、前年度(7.4%)から大きく減速した。消費の落ち込みは激しく、2018 年の自動車販売は前年比 35%減となった。
依然として、2018 年夏の通貨危機(トルコショック)の余波から抜け出せていない。IMF は、2019 年の経済成長率は 0.3%にまで落ち込むと予測している。また、20%前後の高インフレが続いており、トルコ中央銀行は主要な政策金利を年 24%に据え置いた(一方、景気の悪化で輸入額が減少し、経常赤字額は前年比 41%減の 276 億ドルにまで縮小した)。海外からの借り入れに依存した投資主導の経済モデルは終焉を迎えつつある。
エルドアン大統領は「イスタンブール運河」など大規模なインフラ整備を目玉政策に掲げてきたが、政府は財政難から新規の大型インフラ開発を事実上凍結している。2018 年 12 月に策定された予算では、インフラ関連の予算は半減した。頼みの綱は中国である。トルコは「一帯一路」政策の重要国であり、中国は空港・通信インフラの整備を予定している(昨年、中国は総額 36 億ドルのインフラ融資を行っている)。しかし、トルコと中国はウィグル問題で対立を深めており、今後の協力はやや不透明となっている。
欧米では、トルコの投資環境に対する懸念が広がっている。一方、日本企業にとってトルコは、依然として重要な拠点・市場である。ジェトロの最新の調査では、通貨下落にもかかわらず、6 割の企業が黒字と回答している(撤退する企業はゼロ)。
また、日本政府はトルコと経済連携協定(EPA)を交渉中であり、2019 年 6 月の大枠合意を目指している。投資ルールの明確化やサービスの自由化によって、日系企業が進出しやすくなる利点がある。トルコはインフラ市場としての潜在性も高く、政治・経済の早期安定が望まれる。

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最終更新:2019/11/2018:09

日本機械輸出組合

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