最近の機械貿易動向(6 月)~機械輸出額8 ヶ月連続減少~

2019/09/0211:47配信

日本機械輸出組合 2019.8.30


2019 年6 月の機械輸出額は4 兆1,993 億円、対前年同月比8.0%減と、8 ヶ月連続で前年同月比減少した。これは、① 北米向け以外の5 地域向けで減少したこと、② 21 業種中19 業種が減少したことなどによる。為替・営業日要因が5.4%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は2.7%減となった。2019 年7 月の為替・営業日要因は3.1%の増加寄与要因となっているが、8 月19 日発表の貿易統計速報による簡易計算では、7 月の機械輸出は2.1%減であった。


Ⅰ 要約

1. 全商品貿易動向(図表1)

① 全商品輸出額:6 兆5,858 億円(前年同月比 [以下同じ] 6.6%減、7 ヶ月連続減少)
② 全商品輸入額:5 兆9,962 億円(5.2%減、2 ヶ月連続減少)
③ 貿易収支:5,896 億円の黒字



2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)

① 機械輸出額:4 兆1,993 億円(8.0%減、8 ヶ月連続減少)
為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:2.7%減 (再び減少)
② 機械輸入額:1 兆9,292 億円(4.0%減、4 ヶ月ぶり減少)

(2) 為替・営業日動向

2019 年6 月に5.4%の減少要因、7 月に3.1%の増加要因、8 月に11.6%の減少要因となる。

(3) 地域別動向

① 北米向け以外の5 地域向けが前年同月比減少(図表4、5)
② 北米向け:4.5%増、4 ヶ月連続増加(図表4、5)
③ 中国向け:10.2%減、4 ヶ月連続減少(図表4、5)
④ ASEAN・南アジア向け:6.8%減、6 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9)
⑤ EU 向け:10.3%減、3 ヶ月連続減少(図表4、5)
⑥ 韓国・台湾向け:10.9%減、17 ヶ月連続減少(図表4、5、6、7)
⑦ その他地域向:20.4%減、7 ヶ月連続減少(図表4、5、10)

(4) 業種別動向(図表11)
 上位21 業種船航空機部品と繊維機械の2 業種が増加。
(5) 機種別動向(図表12、13)

①時計(香港向け中心)が大きく増加
② 鉄道車両、デジカメ・ビデオ等が大きく減少

(6) 機械輸入動向(図表14)

① 機械輸入額上位12 機種のうち、8 機種が減少
② そのうち3 機種が二桁の増加



Ⅱ トピックス

1.【ベトナム】好調な経済成長。米中貿易紛争による生産移転が相次ぐ
 ベトナムの2019年第2四半期(4-6月期)の経済成長率は、前年同期比で6.71%だった(第1四半期は6.82%)。輸出が好調で個人消費も拡大している。IMF は、2019年の経済成長率は6.5%になると予想している。
 現在のところ、米中貿易紛争はベトナム経済にとって追い風となっている。2019年上半期の対米輸出の伸びは27%に達している。中国から生産拠点を移す動きも目立ってきた。米アマゾンは、kindleの生産をベトナムに移すことを表明している。中国勢の動きも加速している。中国からベトナムへの投資認可額は、年初からの5カ月間で15億6,000万ドルに達し、前年同期比で5.6倍に増えた。アジア開発銀行(ADB)は、これら生産移転の動きは今後3年間でベトナムのGDP を合計2%押し上げる効果があると予測している。
 しかしリスクもある。米国政府は中国製品のベトナムからの「迂回輸出」の監視を強化しており、制裁関税を課す可能性を示唆した。

2.【韓国】サムスンの営業利益が半減。半導体市場の低迷が続く
 韓国サムスン電子の2019 年第2 四半期(4-6 月期)の営業利益は、前年同期比56.3%減の6 兆5千億ウォンと大幅減となった。売上高も4.2%減の56 兆ウォンと低迷した。主力のDRAM、NAND の価格の大幅な下落や、米中貿易摩擦の激化による需要減が業績不振の要因となった。
 利益の約5 割を占める半導体部門の短期的な回復は難しい。DRAM の第2 四半期の単価は前年同期の約50%に落ち込んでおり、価格の下落は2019 年後半まで続くとみられる。NAND の価格も低迷している。
 サムスンは、主力のメモリ事業の不振を受けて「半導体ビジョン2030」を策定、システムLSI の開発・生産に133 兆ウォンもの巨額資金を投じる計画である(台湾のTSMC と直接競合する)。スマホ部門では、旗艦機「ギャラクシーS10」の販売低迷が響いた。サムスンは発売延期となった折畳み式スマホ「ギャラクシー・フォールド」を年末商戦にあわせて発売し、巻き返しを図る。折畳み式はスマホ市場の起爆剤として期待されているが、価格をどこまで低くできるかが普及の鍵となる。



Ⅲ 個別動向

1. 全商品貿易動向~輸出は7 ヶ月連続で減少、輸入も2 ヶ月連続減少~

1) 2019 年6 月の全商品輸出額は6 兆5,858 億円、前年同月比(以下同じ)6.6%減と7 ヶ月連続で減少した(5 月7.8%減)。これは、約11%を占めるプラスチック等化学製品(1.5%増)が増加したものの、約23%を占める輸送用機器(7.6%減)をはじめ、約20%を占める一般機械(8.0%減)、約17%の電気機器(9.2%減)、鉄鋼・非鉄金属等原料別製品(8.6%減)等が減少したためである。
2) 輸入額は5 兆9,962 億円、5.2%減と2 ヶ月連続で減少した(5 月1.5%減)。これは、全輸入額の約20%を占める原粗油等鉱物性燃料(4.1%減)、約15%の電気機器(3.3%減)、一般機械(6.0%減)、鉄鋼・非鉄金属等原料別製品(10.9%減)等が減少したことによる。
3) この結果、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、約5,896 億円と再び黒字(5 月は9,683 億円の赤字)となった。



機械貿易動向


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最終更新:2019/11/2018:09

日本機械輸出組合

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