2023年度 産業機械の受注見通し

2023/04/0317:00配信

2023年3月30日公表

一般社団法人日本産業機械工業会


 わが国経済は緩やかな回復が続いているものの、2022年の実質GDPの水準は消費増税のあった2019年に届いておらず、成長が続いた欧米等に比べて回復テンポは大きく遅れている。なお、先行きについては、ウクライナ危機の深刻化や中国の需要回復の遅れ、エネルギー・原材料の供給不足・価格高騰等の影響が懸念される。

 そのような情勢の下、2022年度と2023年度の産業機械(当工業会取扱い)の受注見通しを以下の通り策定した。


2022年度

内需は、民需・官公需共に増加し、前年度比2.7%増の3兆4,248億円と見込んだ。

内需のうち製造業については、半導体関連の需要が減速したものの、素材産業から組立産業まで幅広い業種で需要回復が続き、前年度を上回るものと見込んだ。

非製造業については、通販・流通系の倉庫設備の需要が高水準で推移したものの、電力各社の火力発電の維持・更新やバイオマス発電設備の新規案件が減少したことから、前年度を下回るものと見込んだ。

官公需については、防災・減災・国土強靱化に向けた洪水対策や、下水・汚泥処理、清掃工場の発注量の増加により、前年度を上回るものと見込んだ。

外需は、中国とアジア地域が大幅に増加した他、コロナ禍以前の経済水準に回復した欧米など、ロシア地域を除くほとんどの地域が増加し、前年度比11.7%増の 1兆8,054億円と見込んだ。主な需要先としては、EVバッテリー等の電気自動車 関連、半導体、石化・LNGプラントの他、水インフラ分野も増加した。機種別では、化学機械やプラスチック加工機械、ポンプ、圧縮機、送風機、運搬機械、減速機等が増加した。

この結果、内外総合では、前年度比5.7%増の5兆2,302億円と見込んだ。


2023年度

内需は、民間設備投資の持ち直しの動きが続く中で、産業機械の多くの機種の需要が増加していくものの、石炭火力の休止・廃止によるリプレース縮小や、清掃工場の改良工事の発注量の減少により、前年度比2.2%減の3兆3,503億円と見込んだ。

内需のうち製造業向けは、生産設備の自動化・省人化や、低・脱炭素化、デジタル対応等の需要が続き、前年度を上回るものと見込んだ。なお、半導体分野は短期的な調整局面となるものの、大幅な落ち込みは回避されるものと見込んだ。

非製造業向けは、運輸や卸売・小売の倉庫設備の自動化・デジタル化に向けた投資が高水準を維持するものの、厳しい事業環境にある電力業における火力発電の更新需要の落ち込みが続くことから、前年度を下回るものと見込んだ。

官公需については、洪水対策等の国土強靱化に向けた投資が続くものの、前年度に比べて清掃工場の大型案件が減少することから、前年度を下回るものと見込んだ。

外需は、前年度比14.4%増の2兆646億円と見込んだ。半導体や電気自動車関連の需要については、工場を誘致する動きが各国で続いており、新規投資案件が多く存在していることから、堅調に推移するものと見込んだ。また、工場・倉庫の自動化や脱炭素化ニーズの拡大の他、LNGプロジェクトの進展、水インフラ整備の増加、水素・ アンモニア関連への投資拡大等を背景に、各種プラント及び関連設備の増加を見込んだ。

この結果、内外総合では、前年度比3.5%増の5兆4,149億円と見込んだ。

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最終更新:2023/04/0317:23

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