ヒューマンタッチ総研が独自分析 建設技術者の「2030 年 未来予測(2021 年版)」を公表 ~新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた試算~

2021/01/2112:54配信

■2030 年における建設技術者の需要数は成長実現シナリオで 55 万人、ベースラインシナリオで 51 万 9 千人、ゼロ成長シナリオで 49 万人 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける 2020 年度の建設投資額は、国土交通省の「建設投資見通し」において 55 兆 1千億円(前年度比▲3.8%)の見通しとなっていますので、その数値をベースに必要な建設技術者の需要数を試算しました。 

 2021 年についてはリーマンショック時のデータおよび内閣府の「長期の経済財政に関する試算」(2020 年 7 月 31 日)による 2020 年度の GDP 成長率予測値をベースに試算しました。リーマンショック時には実質 GDP 成長率が▲3.6%で民間非住宅・土木建設投資額は▲15.6%となっています。また、2020 年度の実質 GDP 成長率は▲4.5%と予測されています。これらのデータと緊急事態宣言が再発出されるなど新型コロナウイルス感染症の収束が遅れている状況を踏まえて、2021 年度の民間非住宅・土木の建設投資額は▲20%減少すると仮定して必要な建設技術者数を試算しました。 

 その結果、各シナリオ共通で建設技術者の需要数は 2019 年の 54 万 3 千人から 2020 年には 52 万 3 千人、2021 年には 50 万 5 千人に減少すると試算されました。2022 年以降は成長実現シナリオでは増加傾向が続き 2030 年には需要数は 55 万人となり、ベースラインシナリオでは横ばいで 2030 年には 51 万 9 千人、ゼロ成長シナリオでは減少傾向が続き 2030 年には 49 万人になると試算されました(図表④)。

出典:下記資料を参考にヒューマンタッチ総研にて試算  総務省「国勢調査」「労働力調査」、文部科学省「学校基本調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」「雇用動向調査」「高年齢者の雇用状況」 、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」、国土交通省「令和 2 年度 建設投資見通し」、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」、野村総研「2040 年の住宅市場と課題」


<3つのシナリオにおける建設技術者の需給ギャップの推移>

 建設技術者数と建設技術者の需要数の試算結果から需給ギャップの推移をみると各シナリオにおいて次のようになります。 


【A.ベースライン成長シナリオ】

■2030 年の不足数は 2 万人

 3 つのシナリオともに、建設技術者の不足数は 2019 年に最大の 60,613 人の不足となり、その後 2020 年には 37,193 人、 2021 年には 15,310 人と不足数は大幅に減少します。それ以降については、ベースラインシナリオでは 2022 年の不足数は 27,040 人に増加しますが、その後、不足数は徐々に減少して 2030 年には 20,160 人の不足になると試算されました(図表⑤)。

【B.成長実現シナリオ】 

■2030 年の不足数は 5 万 1 千人に拡大 

 成長実現シナリオでは 2022 年に不足数は 27,002 人に増加し、その後は急速に増加して 2030 年には 51,394 人の不足になると試算されました(図表⑥)。

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最終更新:2021/04/2013:33

ヒューマンタッチ総研