2021年度 産業機械の受注見通し
2021年3月
一般社団法人日本産業機械工業会
2020年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益が大きく落ち込むなど、依然として厳しい状況が続いている。
そのような情勢の下、2020年度と2021年度の産業機械(当工業会取扱い) の受注見通しを以下の通り策定した。
2020年度
内需は、官公需が増加するものの、民需の減少により、対前年度比95.7%の 3兆2,112億円と見込んだ。
民需のうち製造業については、自動車や半導体関連からの需要が年度後半から回復に向かった他、コロナワクチン国産化等による化学工業からの需要が増加したものの、コロナ下で設備投資が延期・中止になった業種が多く見られ需要が大きく減少したことから、前年度実績を下回るものと見込んだ。
非製造業については、運輸業や卸売・小売業の物流設備の自動化・省力化投資が年度後半から持ち直してきたものの、電力業からの火力発電設備の需要減により、前年度実績を下回るものと見込んだ。
官公需については、国土強靱化に向けた洪水対策等の需要増や、廃棄物発電等の清掃工場の発注量の増加により、前年度実績を大きく上回るものと見込んだ。
外需は、コロナ下において厳しいビジネス環境が続いたものの、天然ガスの大型プロジェクトの受注により、対前年度比126.1%の1兆8,055億円と見込んだ。地域別では、中東がコロナ前に計画されていた天然ガスの大型プロジェクトや製油所設備の受注で大幅に増加した他、中国の需要回復が下支えする形でアジアが増加した。機種別では、オイル&ガス関連で大幅増した化学機械の他、自動車関連や機械向けが中国を中心に年度後半から需要が回復したプラスチック加工機械が増加した。
この結果、内外総合では、対前年度比104.8%の5兆167億円と見込んだ。
2021年度
内需は、経済活動の再開により民需が緩やかに回復していくものの、前年度の内需を下支えした官公需のうち、都市ごみ処理装置の大型案件が見込めず、対前年度比 98.3%の3兆1,557億円と見込んだ。
民需については、コロナ下において先送りされていた工場等の自動化・省力化投資、省エネ化・再エネ導入の投資の緩やかな回復の他、医薬品、自動車、半導体関連 の設備投資が引き続き増加していくものと見込んだ。また、インターネット販売等のニーズ拡大を背景にした物流倉庫向けの搬送システムの需要が堅調に推移するものと見込んだ。
なお、電力向けの火力発電設備については、設備の維持・更新や高効率化等の投資が緩やかに持ち直していくものと見込んだ。
外需は、コロナワクチンの普及や各国の経済対策の効果により、世界経済が徐々に押し上げられていくことに伴って、産業機械の受注も緩やかに回復していくと見込むものの、前年度に天然ガス関連の大型プロジェクトを受注した反動減によって、全体としては前年度を若干下回り、対前年度比93.9%の 1 兆6,949億円と見込んだ。
自動車や電子・デバイス関連、その上流となる素材産業からの需要は、中国を中心 に回復が続くとみて、機種によって濃淡があるものの、緩やかな回復軌道を描いていくものと見込んだ。
また、脱炭素社会や循環経済の実現に向け、発電所の高効率化や工場の省エネ化、廃棄物処理等の環境インフラの高度化等のニーズは世界レベルで拡大しており、我々産業機械業界の優れた環境対応技術の需要は拡大していくものと見込んだ。
なお、天然ガスや石油関連については、新規の大型プロジェクトの具体化が今年度は見込みがたく、更にエネルギー市場の産業構造の変化に伴い、需要減を見込んだ。
この結果、内外総合では、対前年度比96.7%の4兆8,506億円と減少するものの、2019年度の受注金額(4兆7,879億円)を若干上回るもの (2019年度比101.3%)と見込んだ。
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最終更新:2021/03/2617:41