最近の機械貿易動向(8 月)~機械輸出額 10 ヶ月連続減少~

2019/10/1814:28配信

日本機械輸出組合 2019.10.17



2019 年 8 月の機械輸出額は 3 兆 8,847 億円、対前年同月比 9.4%減と、10 ヶ月連続で前年同月比減少した。これは、① 6 地域向けすべてで前年同月比減少したこと、② 21 業種中 17 業種が減少したことなどによる。為替・営業日要因が 10.9%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は 1.7%増となった。2019 年 9 月の為替・営業日要因は 2.8%の増加寄与要因となっているが、10 月 7 日発表の貿易統計速報によれば 9 月上中旬の全商品輸出は 2.7%減であった。


Ⅰ 要約

1. 全商品貿易動向(図表1)

① 全商品輸出額:6 兆 1,412 億円(前年同月比 [以下同じ] 8.2%減、9 ヶ月連続減少)
② 全商品輸入額:6 兆 2,848 億円(11.9%減、4 ヶ月連続減少)
③ 貿易収支:1,435 億円の赤字


2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)

① 機械輸出額:3 兆 8,847 億円(9.4%減、10 ヶ月連続減少)
 為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:1.7%増 (3 ヶ月ぶり増加)
② 機械輸入額:1 兆 9,283 億円(8.3%減、再び減少)


(2) 為替・営業日動向
 2019 年 8 月に 10.9%の減少要因、9 月に 2.8%の増加要因、10 月に 6.9%の減少要因となる。

(3) 地域別動向

① 6 地域向けすべてで前年同月比減少(図表4、5)
② 北米向け:6.6%減、6 ヶ月ぶり減少(図表4、5)
③ 中国向け:14.6%減、6 ヶ月連続減少(図表4、5)
④ ASEAN・南アジア向け:10.2%減、8 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9)
⑤ EU 向け:4.3%減、2 ヶ月ぶり減少(図表4、5)
⑥ 韓国・台湾向け:9.3%減、19 ヶ月連続減少(図表4、5、6、7)
⑦ その他地域向: 8.5%減、2 ヶ月ぶり減少(図表4、5、10)


(4) 業種別動向(図表11)
 上位 21 業種中 4 業種が増加。そのうち農業機械が二桁の伸び

(5) 機種別動向(図表12、13)

① 農業機械(米国向け中心)が大きく増加
② 鉄道車両、携帯電話等が大きく減少


(6) 機械輸入動向(図表14)

① 機械輸入額上位 12 機種のうち、3 機種が増加
② そのうち 2 機種が二桁の増加



Ⅱ トピックス

1.【中国】レノボが業績を回復。米中貿易紛争がリスクに
 中国の最大手 PC メーカー・レノボの 2019 年第 2 四半期(4-6 月期)における売上高は前年同期比 5%増の 125 億 1,200 万ドル、純利益は約 2 倍の 1 億 6,200 万ドルと好調だった。
部門別では、「パソコン」部門の売上は前年同期比 11.7%増の 96 億ドルに達した。同社の PCの世界市場でのシェアは 24.9%となり、米国 HP を抜き一位に返り咲いた。今後は、成長が期待されるスマートディスプレー、スマートカメラなどにも注力する。また、来年発売予定の折り畳み式 PC も注目される。スマホなどの「モバイル」部門の売上はやや減少したが、構造改革が進み利益率が改善した。特に北米、南米でのスマホ販売が好調だった。「データセンター」部門も赤字幅がやや縮小した。
 レノボは今後、米中貿易紛争の影響を受ける可能性がある。同社は、中国から他地域への生産移転を検討している。他の中国企業も生産移管を加速させている。2018 年 6 月以降、約 30 社が海外移転や海外拠点への追加投資を表明した。TCL 集団はメキシコ、ベトナムでテレビを増産、電子部品の国光電機はベトナムでの生産を決定している。

2.【台湾】TSMC の業績が低迷。下半期は回復の予想
 半導体生産の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の 2019 年第 2 四半期(4-6 月期)における営業利益は、前年同期比 10%減の 763 億台湾(NT)ドルと低迷した(4 四半期連続の減益)。スマートフォンの販売低迷などが要因となった。売上高は 3%増の 2,410 億 NT ドルとなった。
 一方、下半期には、高価格帯スマホ、サーバー、IoT などの需要が伸びると予想されることから、第 3 四半期の売上高は前年同期比 7%程度増加する見通し。同社の 8 月の売上高は、前年同期比 16.5%増の 1,061 億 NT ドルと好調だった。同社の半導体受託生産における市場シェアは 50%を超えており、その業績は業界の先行指標となる(市場シェア 2 位のサムスンは 18.5%)。
 TSMC は AI・5G 向け半導体需要の開拓に向け、従来の計画より上乗せして投資を行う(台湾のメディテックも 5G 向け投資を増加させると表明)。また、先端技術開発の手も緩めない。同社は4 月に 5 ナノ品の試験生産を開始、さらに年末には台湾新竹で 3 ナノ品生産の新工場建設に着手する。

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最終更新:2019/11/2018:07

日本機械輸出組合