西松建設が3Dスキャナー付き遠隔操作ショベルを開発!空調完備の部屋で山岳トンネルを掘る
この作業を遠隔化したことにより、作業が安全になるのはもちろんのこと、オペレーターは空調完備の快適な室内で同じ作業を行えるようになったのです。
切羽から約100m離れたところに設けた遠隔操作室
「Tunnel RemOS-Excavator」のシステム構成例
油圧ショベルには、遠隔操作室からの操作信号によって機体を制御する機体制御盤や、ショベルの周囲や切羽を映すための複数のフルHD カメラを搭載しています。
遠隔操作室には、走行や打撃のためのペダルや油圧ブレーカーのブーム、アームの動作、機体の旋回等を行うためのレバーを備えたコクピットがあります。
各種映像を映すためのモニターが設置されており、切羽近くの映像や音、振動を体感しながら実機に近い感覚で油圧ブレーカーを遠隔操作できます。
もう一つ、コソク作業を行う上で、重要なのは掘削した断面が設計断面をクリアしているかを判定することです。万一、地山が設計断面より内側に出ていると、後々、手戻りにつながりますからね。
そこで、この油圧ショベルには
高速3Dスキャナー
が搭載されており、掘削形状の点群データと設計断面を比較して、設計断面より内側にある部分をリアルタイムで「ヒートマップ表示」する「切羽掘削形状モニタリングシステム」が搭載されているのです。
以前、両社が開発した切羽の遠隔監視システム「Tunnel RemOS-Meas.(トンネルリモスメジャー)」を小型化して、油圧ショベルに搭載できるようにしたわけですね。きっと、使い勝手も格段に向上したでしょう。
掘削した断面と設計断面を比較して、リアルタイムでヒートマップ表示できるので、遠隔操作でも掘削もれがない
この遠隔操作システムは、重機メーカーを問わず、後付けが可能です。
西松建設は鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局発注の「北海道新幹線、磐石トンネル(北)他工事」の現場で実証試験を行った結果、施工に影響を及ぼす通信上の不具合は生じず、油圧ブレーカーによる一連の作業を無線で遠隔操作可能であることを確認しました。
西松建設では「Tunnel RemOS」を構成する各技術の実証試験を、2023年度までに完了する予定で、2027年度までの実用化を目指しています。
「経験工学の代表的工種だった山岳トンネル工事ですが、“無人化施工元年”の到来が日に日に近づいているようです。
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