日本をデジタルツイン化!国交省が“バーチャル・ジャパン”を構築へ

2019/05/3114:45配信

国土全体を3Dモデル化し、その中にリアルタイムな「属性情報」を入れ込むことで、巨大な「デジタルツイン」(電子の双子)として様々なシミュレーションやビジネスに生かす取り組みが各国で進んでいます。

例えば、シンガポール全土を3Dモデル化した「バーチャル・シンガポール」などが知られていますね。(詳しくは、イエイリラボブログ2016年1月29日付けの記事を参照

バーチャル・シンガポールのイメージ(資料:NRF)

令和の時代を迎えた日本も、遅まきながらこれに似たプロジェクトが始まりました。国土交通省は2019年5月30日、「国土交通データプラットフォーム(仮称)」の整備計画を策定したことを発表しました。

その内容はまさに、

 

“バーチャル・ジャパン”

 

といっても過言ではないものなのです。(国土交通省のプレスリリースはこちら


国土交通データプラットフォームの利活用イメージの一つ、「スマートシティ」(以下の資料:国土交通省のプレスリリースより)

その目的は、国交省が保有するデータと民間のデータを連係させ、現実空間としての日本をサイバー空間に再現した「デジタル・ツイン」を構築することです。

その成果を、業務の効率化やスマートシティなど国交省施策の高度化に生かすとともに、産学官連携によるイノベーションの創出を目指します。

例えば、都市の3次元データに道路交通や公共交通、人流などのデータを組み合わせることで、MaaS(モビリディー・アズ・ア・サービス)など新たな交通サービスを導入したり、スマートシティーの実現を図ったりします。

また、ドローンによる荷物配送や、VR(バーチャル・リアリティー)・AR(拡張現実)を利用して観光を疑似体験できるようにすることも想定しています。

ドローンによる荷物配送のイメージ

VR・ARによる観光振興のイメージ

このほか、SIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)と連携して、災害発生時はインフラの被害状況や通行止め情報などを提供するなど、防災関連での活用も想定しています。

データのセキュリティーについては、誰もが自由にアクセスできる「レベル0」から、省内関係者や受注者などに限定して公開される「レベル3」まで分類する方針です。

国交省の計画によると

 

2020年までに3D地図表示

 

を行えるようにするとともに、3D地図にひも付ける国土、産業活動、自然現象に関するデータ基盤を構築します。

そして2022年度末には、これらのデータ基盤を3Dモデルと連携させてデータの吸い上げや提供を行えるようにします。


データプラットフォームの整備スケジュール

これまで縦割りだった行政も、このデータプラットフォームを軸に新しい連携が始まるかもしれませんね。そして日本の国土を「IoT」(モノのインターネット)やAI(人工知能)によって、少ない人数でより効果的に運用していくための第一歩としても期待したいです。

最終更新:2019/11/2718:12

株式会社イエイリ・ラボ