日立建機 エンジンレス・フル電動リジッドダンプトラックの共同開発を開始

2021/06/2317:10配信

トロリー充電式により低コスト・積載量の最大化・高稼働率を実現へ

2021 年 6 月 23 日 

日立建機株式会社 

ABB Ltd.

日立建機のトロリー受電式リジッドダンプトラック EH4000AC-3

 日立建機株式会社(本社:東京都台東区、執行役社長:平野 耕太郎/以下、日立建機)と、ABB Ltd.(本社:スイス連邦チューリッヒ、CEO:ビョルン・ローゼングレン/以下、ABB 社)は、このたび、 エンジンを搭載しないエンジンレス・フル電動リジッドダンプトラック(以下、フル電動ダンプトラック)の共同開発契約を締結しました。フル電動化を実現するにあたり、稼働に必要な電力を架線から取り込むと同時に、バッテリーへも充電する「トロリー充電式」を採用することで、バッテリーの搭載量を抑え、バッテリーの負荷を低減し長寿命化を図ることにより、初期費用・ライフサイクルコストを抑制します。また、バッテリー搭載量を抑えることは、車体に占めるバッテリー重量を軽くして積載量の最大化にも寄与し、充電のために停車する必要がなく高い稼働率を実現できることから、鉱山現場における生産性の向上をめざします。


 両社は、鉱山機械からの温室効果ガス排出量の実質ゼロに貢献する「ネット・ゼロ・エミッション・ マイニング」の実現に向けて、協力関係を構築するための覚書を 2021 年 3 月に締結しました。今回の共同開発は両社による協業の第一弾という位置づけです。今回は、ABB 社が既存の製品を カスタマイズして充放電システムを開発、日立建機がトロリー受電式リジッドダンプトラック技術をベースに、フル電動ダンプトラックの全体設計、開発を担当します。両社の知見・ノウハウを活用することで、開発スピードを加速させます。


 鉱山業界では、環境意識の高まりを背景に温室効果ガスの排出を削減する取り組みのひとつとして、鉱山機械の電動化に関心が高まっています。しかしながら、ダンプトラックの電動化は、バッテリーの価格や、航続距離*1を伸ばすためにバッテリー搭載量を増加させると、車体重量が増えて積載量が少なくなったり、充電のための停車により稼働率が低下するといった課題があります。鉱山現場では採掘コストの低減と生産性の向上が求められるため、これらの課題の解決と温室効果ガス排出量の削減を両立する技術開発が求められています。


 これまでの日立建機のトロリー受電式リジッドダンプトラックは、バッテリーを搭載しておらず、登り坂の走行時に架線から電力を取り込んで AC モータを駆動する方式で、架線設備が無い場所や下り坂などでは、充電は行わずエンジンで発電機を回して発電した電力で走行していました。 今回、両社が共同開発するフル電動ダンプトラックは、稼働に必要な電力を架線から取り込むと同時に、バッテリーへも充電する「トロリー充電式」を採用することで、ダンプトラックの電動化の課題を解決することに挑戦します。


*1 船舶や航空機、自動車などが、搭載した 1 回の充電によって航行を続けることのできる距離。走行状態により同じ充電量であっても距離は変わる。


■共同開発するフル電動ダンプトラックの特長 

1. 初期費用・ライフサイクルコストを抑制 

 稼働に必要な電力を架線から取り込むことで、バッテリーの搭載量を抑え、車体の初期費用を抑制します。また、架線を走行するたびに架線から電力を取り込み走行すると同時にバッテリーへも充電し、適切な充放電を繰り返すことで、バッテリーの負荷が低減され、長寿命化にもつながり、ライフサイクルコストの低減をめざします。

2. 車体重量を軽くして、積載量を最大化 

 バッテリーの搭載量を抑えることで、車体に占めるバッテリー重量が軽くなり、積載量を増やすことができます。フル電動ダンプトラックの中では、「トロリー充電式」が積載量を最大にすることができ、 鉱山現場の生産性向上に貢献します。

3. 充電のために停車する必要がなく、高稼働率を実現 

 架線から電力を取り込み走行すると同時に、バッテリーへも充電することで、充電のために停車する必要がありません。そのため、高稼働率を実現することができ、鉱山現場の生産性向上に貢献します。

トロリー充電式を採用したフル電動ダンプトラックの使用イメージ

 ABB社と日立建機は、鉱山設備の管理システム、送配電網などのマイニングプロセス全体に強みを持つ ABB 社と、トロリー受電式リジッドダンプトラックの開発の知見や豊富な納入実績を持つ日立建機の強みを生かして、鉱山機械からの温室効果ガス排出量の実質ゼロに貢献してまいります。

  • 1
  • 2

最終更新:2021/06/2317:47

日立建機日本株式会社