「最近の機械貿易動向(11 月)~機械輸出額 25 ヶ月連続対前年同月比減少~」
日本機械輸出組合 2020.1.25
・2020 年 11 月の機械輸出額は 3 兆 9,349 億円、対前年同月比 3.0%減と、25 ヶ月連続で対前年同月比減少し、リーマンショック以降で対前年同月を下回った最長期間を更新している。為替・営業日要因が 6.6%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は3.9%増となった。1 月 21 日発表の貿易統計速報による簡易計算では、2020 年 12 月の機械輸出は0.9%増であった。
・機械輸出の対前年同月比の減少幅であるが、6 月から継続して縮小していたが、11月に拡大に転じた。対前年同月比で増加した米国向け輸出も0.04%の微増にとどまり、他の5地域向けの輸出が対前年同月比で減少している。
Ⅰ 要約
1. 全商品貿易動向(図表1)
① 全商品輸出額:6 兆 1,137 億円(対前年同月比 [以下同じ] 4.2%減、24ヶ月連続対前年同月比減少、リーマンショック以降で対前年同月を下回った期間が最長)
② 全商品輸入額:5 兆 7,475 億円(11.1%減、19ヶ月連続対前年同月比減少)
③ 貿易収支:3,661 億円の黒字
2.機械貿易動向
(1)機械輸出入動向(図表2)
① 機械輸出額:3 兆 9,349 億円(3.0%減、25ヶ月連続対前年同月比減少、リーマンショック以降で対前年同月を下回った期間が最長)
為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:3.9%増
② 機械輸入額:2 兆 1,488 億円(3.1%増、14 ヶ月ぶりに対前年同月比増加)
(2)為替・営業日動向
2020 年 11 月に 6.6%の減少要因、12 月に 1.9%の減少要因、2021 年 1 月に 7.8%の増加要因。
(2021 年 1 月の為替要因は 1 月 22 日の東京市場のレートにより、仮計算)
(3) 地域別動向
① 北米向けを除く5地域向けで対前年同月比減少(図表4、5)
② 北米向け:0.04%増、3 ヶ月連続対前年同月比増加(図表4、5)
③ EU27 向け:3.9%減、14 ヶ月連続対前年同月比減少(図表4、5)
④ 中国向け:0.6%減、5 ヶ月ぶりに対前年同月比減少(図表4、5)
⑤ 韓国・台湾向け:2.2%減、3 ヶ月ぶり対前年同月比減少(図表4、5、6、7)
⑥ ASEAN・南アジア向け:11.2%減、23 ヶ月連続対前年同月比減少(図表4、5、6、8、9)
⑦ その他地域向: 2.6%減、10 ヶ月連続対前年同月比減少(図表4、5、10)
(4) 業種別動向(図表11)
上位 21 業種中自動車等 8 業種が対前年同月比増加。
(5) 機種別動向(図表12、13)
① 建設機械(北米、EU、その他地域向け中心)、産業用ロボット(中国、北米、EU向け中心)、原動力機械(北米、ASEAN・南アジア向け中心)、産業車両(その他地域、ASEAN・南アジア向け中心)、通信機械部分品(中国向け中心)、電動機(北米、中国向け中心、4 ヶ月連続上位) 等が大きく増加
② 鉄道車両、航空機部品、繊維機械、工作機械等が対前年同月比で大きく減少
(6)機械輸入動向(図表14)
機械輸入額上位 12 機種のうち、携帯電話、電子計算機、電子ディバイス等 9 機種が対前年同月比で増加
Ⅱ トピックス
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今年 1 月から 5 月にかけては、世界的なコンテナ貨物の荷動きが落ち込み、船会社も貨物便の本数を削減した。併せて、欧米各国の港湾における新型コロナウイルス感染症に起因する荷役労働者の不足から港湾・物流オペレーションが低下した。このことにより、コンテナの多くが欧米に滞留してアジアに戻されずに欧米‐アジア間の空コンテナ数量のバランスが崩れることとなり、アジア域内における輸出用空コンテナの数量不足を招く結果となった。
一方、6 月以降は、各国での日用品の需要が回復し、欧米の小売業等が在庫確保に動いたことと、3 月以降に新型コロナウイルスの感染を抑え込んだ中国での生産が回復したことを受け、アジア発欧米向け航路が中心となって徐々に荷動きが回復し始めた。
*上記実績で 2020 年 3 月のコンテナ輸出数量が大きく増加しているのは、中国における需要の回復による、中国向け輸出の急激な増加によるもの
このような状況下、一部外国船社は、高い割増料金を払う中国荷主の貨物に優先的にコンテナ及び船のスペースを割り当てたため、海上運賃(スポットレート)は通常運賃の2~3倍上昇している他、中国からの輸出用に日本の空コンテナを中国に回漕したことで、日本の荷主企業が船積みできないとの事態も発生しており、輸出にも影響が出ているものと思われる。
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最終更新:2021/01/2713:05