最近の機械貿易動向(2 月)~機械輸出額 16 ヶ月連続減少~
日本機械輸出組合 2020.4.15
2020 年 2 月の機械輸出額は 4 兆 227 億円、対前年同月比 1.0%減と、16 ヶ月連続で前年同月比減少した。これは、① 中国、韓国・台湾向け以外の 4 地域向けで前年同月比減少したこと、② 21 業種中 14業種が減少したことなどによる。為替・営業日要因が 3.3%の増加寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸び率は5.0%減となった。2020 年3 月の為替・営業日要因は3.1%の増加寄与要因となっているが、4 月 7 日発表の貿易統計速報によれば 3 月上中旬の全商品輸出は 5.9%減であった。
Ⅰ 要 約
1. 全商品貿易動向(図表1)
① 全商品輸出額:6 兆 3,213 億円(前年同月比 [以下同じ] 1.0%減、15 ヶ月連続減少)
② 全商品輸入額:5 兆 2,125 億円(13.9%減、10 ヶ月連続減少)
③ 貿易収支:1 兆 1,088 億円の黒字
2. 機械貿易動向
(1) 機械輸出入動向(図表2)
① 機械輸出額:4 兆 227 億円(1.8%減、16 ヶ月連続減少)
為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:5.0%減 (再び減少)
② 機械輸入額:1 兆 4,943 億円(19.3%減、5 ヶ月連続減少)
(2) 為替・営業日動向
2020 年 2 月に 3.3%の増加要因、3 月に 3.1%の増加要因、4 月に 2.9%の増加要因。(4 月の為替要因は 4 月 14 日の東京市場のレートにより、仮計算)
(3) 地域別動向
① 中国、韓国・台湾向けを除き、4 地域向けで前年同月比減少(図表4、5)
② 北米向け:3.6%減、7 ヶ月連続減少(図表4、5)
③ 中国向け:1.9%増、2 ヶ月ぶり増加(図表4、5)
④ ASEAN・南アジア向け:0.2%減、14 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9)
⑤ EU27 向け:10.2%減、5 ヶ月連続減少(図表4、5)
⑥ 韓国・台湾向け:8.4%増、4 ヶ月連続増加(図表4、5、6、7)
⑦ その他地域向: 3.1%減、2 ヶ月ぶり減少(図表4、5、10)
(4) 業種別動向(図表11)
上位 21 業種中 7 業種が増加。そのうち電子ディバイス、軽電気機械、農業機械が二桁の伸び
(5) 機種別動向(図表12、13)
① 電池(北米、中国向け中心)、電子ディバイス(中国、ASEAN・南アジア、韓国・台湾向け中心)、発電機(中国、ASEAN・南アジア、北米向け中心)等が大きくプラス
② 鉄道車両、携帯電話、工作機械、繊維機械等が大きく減少
(6) 機械輸入動向(図表14)
機械輸入額上位 12 機種のうち、電子ディバイスの 1 機種のみが増加
Ⅱ トピックス
1.【パキスタン】2018年後半から景気落ち込み
近年パキスタンでは「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」などにより5%を超える好景気が続いていたが、中国からの輸入が急増し、その結果巨額の貿易赤字が発生し、2018年より外貨準備高が減少してきた。そのためパキスタン政府は緊縮財政を取らざるを得ず、インフラ整備などに大きな遅れが出てきている。さらに、2019年後半からはIMF の支援(39カ月かけて60億ドルを融資)を受けているため、支援の条件である公共料金などの値上げ、国営企業の人員削減などの措置を取り、この結果、物価がさらに上昇し、失業率も増加し、国内景気が相当の落ち込みとなっており、日本からパキスタンへの輸出も大きく減少している。
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最終更新:2020/04/2515:47