最近の機械貿易動向(9 月)~機械輸出額 11 ヶ月連続減少~

2019/11/2512:10配信

日本機械輸出組合 2019.11.21

 2019年9月の機械輸出額は 4 兆 580 億円、対前年同月比 6.4%減と、11 ヶ月連続で前年同月比減少した。これは、① その他地域向け以外の 5 地域向けで前年同月比減少したこと、② 21 業種中 17 業種が減少したことなどによる。為替・営業日要因が 2.8%の増加寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸 び率は9.0%減となった。2019 年 10 月の為替・営業日要因は 7.3%の減少寄与要因となっているが、11 月 20 日発表の貿易統計速報による簡易計算では、10 月の機械輸出は 9.5%減であった。 

Ⅰ 要約 

1. 全商品貿易動向(図表1) 

① 全商品輸出額:6 兆 3,683 億円(前年同月比 [以下同じ] 5.2%減、10 ヶ月連続減少) 

② 全商品輸入額:6 兆 4,931 億円(1.5%減、5 ヶ月連続減少) 

③ 貿易収支:1,248 億円の赤字

2. 機械貿易動向 

(1) 機械輸出入動向(図表2) 

① 機械輸出額:4 兆 580 億円(6.4%減、11 ヶ月連続減少) 為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:9.0%減 (再び減少) 

② 機械輸入額:2 兆 1,370 億円(3.2%増、2 ヶ月ぶり増加)

(2) 為替・営業日動向 2019 年 9 月に 2.8%の増加要因、10 月に 7.3%の減少要因、11 月に 7.1%の減少要因となる。 

(3) 地域別動向 

① その他地域向けを除き、5 地域向けで前年同月比減少(図表4、5) 

② 北米向け:10.6%減、2 ヶ月連続減少(図表4、5) 

③ 中国向け:10.3%減、7 ヶ月連続減少(図表4、5) 

④ ASEAN・南アジア向け:6.1%減、9 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9)

⑤ EU 向け:0.1%減、2 ヶ月連続減少(図表4、5) 

⑥ 韓国・台湾向け:5.4%減、20 ヶ月連続減少(図表4、5、6、7) 

⑦ その他地域向: 0.2%増、2 ヶ月ぶり増加(図表4、5、10)

(4) 業種別動向(図表11) 上位 21 業種中 4 業種が増加。そのうち船舶が二桁の伸び 

(5) 機種別動向(図表12、13) 

① 発電機(米国、中国向け中心)が大きく増加 

② 鉄道車両、通信機械部分品等が大きく減少

(6) 機械輸入動向(図表14) 

① 機械輸入額上位 12 機種のうち、8 機種が増加 

② そのうち 4 機種が二桁の増加 

Ⅱ トピックス 

1.【中国】CATL が車載電池をダイムラーに供給。中国国内の NEV 販売は低迷 

 車載用電池で世界大手の中国 CATL(寧徳時代新能源科技)は、2021年から独ダイムラーの商用車(「e アクトロス」、「e カスケディア」など)向けにリチウム電池を供給する(ダイムラーは電動化戦略を加速しており、電動化に 100 億ユーロ投資する)。 CATLはドイツ中部チューリンゲン州で 18 億ユーロにのぼる巨額投資を行い、同社初の海外工場を建設している。2021 年から生産を開始する。EV 市場が急速に立ち上がったために電池不足が予想されていることから、CATL製品の需要が高まっている。同社は VW、PSA や上海汽車、東風汽 車など中国の主要自動車メーカーにも供給を行う。 CATL は 2011 年に設立された新興電池メーカーであるが、「中国製造 2025」を掲げる政府の支援とEV普及を背景に急成長しており、2018 年には出荷量でパナソニックを抜いてトップに立った。 低コストに加え、技術力にも定評がある。その他、中国の有力電池メーカーとしては BYDや合肥国軒高科動力能源、天津力神電池などがある。しかし、足元の中国自動車市場は急減速しており、 9 月の新エネルギー車(NEV)販売は前年同月比 34.2%減の約 8 万台と 3 カ月連続でマイナスとな った。

 2.【ベトナム】第3四半期も好調な経済成長。中国からの生産移転の動きが強まる 

 ベトナムの2019年第 3 四半期(7-9 月期)の経済成長率は、前年同期比 7.31%増と高い伸びを示した。特に米国向けの輸出が成長エンジンとなった(対米輸出額は、1-9 月は前年同期比で 28% 増となった)。アジア開発銀行(ADB)は、ベトナムの経済成長率を2019年は6.8%、2020年は6.7%と予測する。米中貿易紛争が激化するなか、安価で豊富な労働力などへの期待感から、企業の生産移転が進んでいる。2019 年の 8 カ月間の直接投資は、前年同期比6.3%増の約120億ドルと好調である。ハノイの他、バクニン省やビンズオン省に投資が集中している。 国内消費も好調である。9 月のベトナムの自動車販売は、前年同期比4%増の 2 万 1,483 台とな った。(ちなみに、インドネシアは前年同期比12%減の 9 万 443 台、タイも 7%減の 8 万 838 台となった)。2019年の9カ月間の累計では18.4%増となった。 他方、ベトナム経済にはリスクも伴う。企業の進出が相次ぎ、地価・人件費が高騰している。 また、港湾など物流インフラの未整備や電力不足も指摘される。世界銀行のビジネス環境調査では69位と、中国(46 位)よりも評価は低い。さらに、中国製品の迂回輸出を警戒する米国の対応も懸念点となっている。米財務省は、今年5月にベトナムを為替監視対象国に加えた。7 月には耐食鋼材など鉄鋼製品の一部に対して関税を課した。

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最終更新:2019/11/2514:50

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