日立建機 バッテリー駆動式ショベルが稼働時の電力負荷を平準化できることを実証

2025/12/1511:28配信

お客さまとの協創により、カーボンニュートラルの実現をめざす

実証試験現場で稼働するバッテリー駆動式ショベルZE135(13tクラス)

 日立建機株式会社(執行役社長:先崎 正文/以下、日立建機)は11月10日から14日、産業廃棄物の中間処理を行う石坂産業株式会社(代表取締役:石坂 典子/以下、石坂産業)の協力を得て実施した実証試験において、バッテリー駆動式ショベルが稼働時の電力負荷を平準化できることを実証しました。これにより、電動建機の普及における課題の一つである電力インフラへの負荷を軽減し、施工現場のカーボンニュートラルの実現を推進してまいります。

 昨今、GX建機認定制度の開始など、日本国内でも電動建機の導入機運は高まりつつあります。電動建機は排出ガスを出さず静音性に優れる一方、充電や電力供給といった運用上の課題があります。有線式電動ショベル*1(以下、有線式)の場合は、常時給電が必要なため電力インフラへの負荷集中や、ケーブル接続による移動範囲の制約があります。石坂産業も有線式を採用しており、作業内容によって変動する電力負荷の平準化や運用の柔軟性向上への期待も高まっています。
*1:ディーゼルエンジンの代わりに電動モーターを搭載し、商用電源にケーブルで接続して駆動する油圧ショベル。バッテリーを持たないため、常時ケーブルを接続し、作業負荷に応じた電力を供給する必要がある。

■実証試験の結果
1. 理論上、有線式に比べてピーク電力を60%*2低減できることを見通し
 バッテリー駆動式ショベルを、商用電源とバッテリーを併用して稼働させた結果、電力供給を一定に保つことで、ピーク電力を抑制できることを確認しました。この結果を踏まえて、日立建機がバッテリー駆動式ショベルと有線式のピーク電力のデータを試算・比較したところ、理論上、有線式に比べてピーク電力を60%低減できる見通しが得られました。これにより、施工現場の環境負荷や電力インフラへの負荷軽減につながることが期待できます。
*2:2025年12月15日現在、日立建機調べ。

バッテリー駆動式ショベルと有線式を比較した電力負荷の推移

2. 移動を伴う作業の電動化
 敷地内のリサイクル資材の仕分けなど、従来ディーゼルエンジン式で行っていた移動を伴う仕分け作業において、バッテリー駆動式ショベルZE135がバッテリーのみで稼働することで、エンジン式と同等の作業が可能となり、現場での電動ショベル運用の幅を広げられることを確認できました。

ディーゼルエンジン式(左)とバッテリー駆動式ショベル(右)の比較イメージ

 日立建機は、今回の実証試験で得られたデータを活用し、これまで以上に実践的な電動機械の運用方法をお客さまにご説明できるよう、提案力を高めていきます。

■実証試験の概要

■石坂産業株式会社 取締役
 生産技術開発部 部長 北村 雄介氏コメント
 当社は、環境をデザインする会社として、環境負荷低減とエネルギー効率の向上を重要な経営指標のひとつに位置づけています。本試験は、当社にとっても、電動建機、中でもバッテリー駆動式を利用することで、安定した電力消費や環境負荷低減が実現できるなどの社会的価値を確認する機会となりました。今後も効率的に電動建機を活用しながら、循環型社会の実現に向けて取り組みを進めてまいります。

■日立建機株式会社 新事業創生ユニット
 ゼロエミッションビジネスモデル構築プロジェクト 部長 日比 克吉コメント
 本試験では、電動建機の効率的な運用方法を探る貴重な知見を得ることができました。電動建機の普及は、施工現場の環境負荷低減やエネルギーの有効利用に直結し、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠です。今後もオープンな取り組みを通じて、充電インフラや運用ソリューションの開発を進め、持続可能な社会づくりに貢献していきます。

■関連情報
・2025年11月20日 日立建機日本トピックス GX建機補助金制度 二次公募のお知らせ
・2025年9月18日 日立建機日本トピックス GX建機補助金制度対象製品のお知らせ
・2024年9月12日 日立建機ニュースリリース バッテリー駆動式ショベル3機種と可搬式充電設備を国内で販売開始

最終更新:2025/12/1511:39

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