日立建機 建設・鉱山現場を遠隔支援する耐久性を高めたXR対応のスマートグラスを開発

XR対応スマートグラスの使用イメージ
日立建機株式会社(執行役社長:先崎 正文/以下、日立建機)、HMS株式会社(代表取締役社長:胡 振程/以下、HMS)、Holo-Light GmbH(CEO:Florian Haspinger(フロリアン・ハスピンガー)/以下、ホロライト)は、建設・鉱山現場用に防水・防じん機能など耐久性を高めたXR*1対応のスマートグラスを開発しました。これまでXR対応のスマートグラスは屋内使用が一般的でしたが、耐久性を高め、建設・鉱山現場で建設機械のサービスに使用することを可能にしました。オフィスにいる熟練者がサービス員の業務を遠隔支援することで、迅速で品質の高いサービスを提供することをめざします。日立建機はこのスマートグラスを、4月7日から13日までドイツのミュンヘンで開催される国際建設機械見本市「bauma 2025」で展示します。
*1: 現実空間と仮想空間の組み合わせを可能にする技術
建設機械のメンテナンスを行うサービス員や鉱山会社のメカニックは人手不足が深刻化しており、点検・修理などサービスの効率化は喫緊の課題です。サービス員は、機械の稼働状態を知らせるレポートやサービスマニュアル、部品カタログなど複数のデータをスマートフォンやタブレットで閲覧しながらサービスを行っていますが、作業中は手がふさがるためモバイル端末の操作が難しい、複数データの同時閲覧ができない、オンライン通話だけでは熟練者と意思疎通が難しく支援を受けづらいなど、経験の浅いサービス員・メカニックが活躍するためには課題があります。
スマートグラスはこれらを解決する有効な手段ですが、これまでは主に屋内使用が一般的であり、建設・鉱山現場での使用には耐久性や、複数のデータ・アプリケーションを同時に利用するための動作安定性に課題がありました。これをふまえ、日立建機は建設現場や鉱山現場で使えるように開発要件を検討し、HMSがそれをベースにスマートグラスを開発しました。ホロライトはXRに必要な大容量のデータをスムーズに長時間安定して動作させるためのストリーミング技術を提供しました。
今回、3社が開発したスマートグラスは、保護等級IP65の防水・防じんへの耐久性を備えており、どんな天候の建設・鉱山現場でも使える頑丈な構造になっています。ヘルメットに装着でき、XRストリーミング技術で周囲の実空間に重ねて複数の画面を表示させ、スマートグラスにある物理ボタンと指の動きによる操作が可能です。また、サービス員が装着しているスマートグラスのカメラ映像をオフィスと共有し、熟練者からオンラインでアドバイスや資料、データの支援を得ることができます。
今後3社は、今回開発したスマートグラスを用いた遠隔支援機能などのソリューションを拡充し、実際の建設・鉱山現場への提供に向けて連携を強化していきます。
日立建機 執行役 部品・サービスビジネスユニット長 細川 博史のコメント
スマートグラスおよびストリーミング技術のトップランナーである2社と協業することができ嬉しく思います。当社の建設機械は世界中で稼働しており、我々はお客さまの機械の安定稼働を支えるための技術を開発し続けていく必要があります。日立建機はこれからもニューコンセプト「LANDCROS」に掲げた想いのもと、さまざまなパートナーとオープンに協業し、お客さまに新しい価値を提供していきます。
HMS 代表取締役社長 胡 振程のコメント
今回の2社との連携により、当社のAR技術とデバイス開発力を活かして、建設機械のメンテナンスにおいてDXを強力に推進できることを非常に嬉しく感じています。当社ARグラスにおける精度および使用感の高さに自負を持っておりますが、今回の建設・鉱山現場向けの開発により、スマートグラスとして実用性がより高まったと確信しています。AR・XRの実用性を3社でさらに高め、建設・鉱山現場向けのDXを大幅に加速してまいります。
ホロライト CEO フロリアン・ハスピンガーのコメント
当社独自のXRストリーミングソリューションを、今回協業した2社の技術と組み合わせることで、建設現場や鉱山現場におけるシームレスなデータアクセスと熟練者による遠隔支援ができる環境を実現しました。今回開発したスマートグラスは、サービス業務のデジタル化、効率の向上、作業員の教育などに貢献すると考えています。今回の取り組みを通じて、産業用XRの未来を形作る一翼を担えることを嬉しく思います。

開発したXR 対応のスマートグラス
最終更新:2025/03/1716:39