日野自動車 <取り組み紹介>自家用有償トータルサポートで目指す、持続可能な地域交通の実現
2. デマンド型乗合交通の運行協力体制を構築(兵庫県朝来市)
――――タクシー事業との共存・共栄をサポート
兵庫県朝来市では、コミュニティバスである「アコバス※1」を運行していましたが、利用者の減少や運行時間の不便さといった理由から、市内の各地域においてデマンド型乗合交通「あさGO※2」の試験運行を経て本格運行へ移行する流れとなっています。
移行に先駆けて、生野地区では2024年10月から開始される本格運行に向け、同年4月から試験運行を実施しており、運営主体である朝来市より運行の委託を受けているのが生野タクシーです。
生野タクシーは、1名でタクシー事業を担っており、今回の移行に伴い自家用有償専任の住民ドライバーを雇用しています。しかし、タクシー事業と同時にデマンド型乗合交通の運行管理を1名で行うことは、リソースの不足だけではなく、住民ドライバーに対するオペレーションに課題を抱えていました。
そこで、生野タクシーのデマンド型乗合交通における運行管理を日野が行うことで、タクシー事業とデマンド型乗合交通の運行を両立できるようサポートしています。また、日野が相談相手となることで不安を軽減し、より安心・安全な運行に寄与するとともに、継続的な運行支援により地域の交通サービスを強化していきます。
※1 朝来市で運行されているコミュニティバスのサービス名称
※2 自宅から朝来市内にあらかじめ設定された地点への運行を行う
朝来市 総合政策課 副課長 足立様
2024年4月より、デマンド型乗合交通「あさGO」を市内全域に順次導入します。生野エリアの運行開始にあたっては、住民ドライバーが参画することで地域のタクシー事業者様に所属しながらリソースを確保する方針でした。一方で、「タクシー事業者様がタクシー事業と住民ドライバーの両方を管理することはリソース不足にならないだろうか?」との不安もあり、タクシー事業者様の本業と自家用有償によるデマンド型乗合交通のバランスをどのようにとるかといった課題がありました。日野さんに運行管理を支援いただくことで双方の事業を成り立たせることができました。
3. 大臣認定講習における登録講師の出張対応(トライアル提供中)
――――自家用有償への従事を後押し
自家用有償は、普通自動車第二種運転免許を所持していること、または普通自動車第一種運転免許の所持および国土交通大臣が認定する講習を修了していることでドライバーとして従事することが可能です。
しかし、大臣認定講習は全国の教習所等で実施されているものの、予約枠が限られていることや近隣に受講場所が少ないこと、日程が合わないといった理由から講習自体を受けられず、ドライバーとしての従事が遅れてしまうことがあります。 このような状況に対し、日野は、NPO法人全国移動サービスネットワークと連携し、登録講師が出張して各地域のニーズに合わせた認定講習をトライアルとして実施しています。講習は座学と実技(接遇・運転)を行い、その後、修了証を授与します。日野の講師は運行管理サービスの実務を経験した人財も担当しており、点呼業務やドライバー様からのご要望など、得られたノウハウを本講習で活かすよう努めています。
2024年4月には石川県小松市、同年9月には岡山県総社市で認定講習を実施しました。「自家用有償旅客運送トータルサポート」は、運行管理業務だけではなく自家用有償の運行導入前後に必要な支援も行っています。
NPO法人全国移動サービスネットワーク 理事 山本様
全国で交通空白地有償運送向けの認定講習の実施機関は約80カ所程度ありますが、近隣に受講場所が無いといった相談を当法人にいただくこともあり、その数は十分とは言えない状況です。日野様は運行管理を通じて自家用有償運行の現場に精通しており、新たにドライバーとして従事する方々に実態に即した講習を提供していただけるものと期待しております。
4. 交通空白解消に向けた新たな連携
――――自家用有償トータルサポートでより多くの地域のサポートを目指す
これまで、利用しやすい自家用有償を目指し、制度の一部改善や改正等が行われてきました。そうした中、2024年7月17日には、国土交通省「交通空白」解消本部が設立されました。これは、全国各地でタクシー、乗合タクシー、日本版ライドシェアや公共ライドシェア(自家用有償)等を地域住民や来訪者が利用できない「交通空白」の解消を支援するものです。
2024年9月4日には、国土交通省「交通空白」解消本部のもと、自治体・交通事業者等とさまざまな技術・サービスを持つ企業群と幅広い連携を図る「交通空白解消・官民連携プラットフォーム(仮称)」( 国土交通省)を年内のできるだけ早い時期に設置することを発表し、課題×技術のマッチングや地域課題解決・パイロットプロジェクト(仮称)、空白解消に向けた意見交換の実施などが予定されています。
これを受けて、日野は、2024年9月30日より全国の自治体向けのウェビナーを実施する予定です。ここでは、自家用有償の制度から日野の自家用有償トータルサポートまで詳しく説明します。
今後も、自家用有償においては、日野が主体的に提供する運行管理サービスだけでなく、連携パートナーとの協業によるワンストップ提供を目指し、地域の皆様と実証実験等を行いながら、地域公共交通を支える持続可能なソリューションを検討していきます。
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最終更新:2024/09/2712:05