日野自動車 <取り組み紹介>自家用有償トータルサポートで目指す、持続可能な地域交通の実現
昨今の少子高齢化や人口減少により、特に地方部においては公共交通の維持が困難になるなど、人の移動を取り巻く環境は厳しいものになっています。これに伴い、市町村自治体やNPO団体などが運営主体となり、バスやタクシーなどが運行されていない地域において、自家用車を使用して有償で旅客運送できる制度である自家用有償旅客運送(以下、自家用有償)を導入するケースが増えています。しかし、運営主体においては交通事業に関するノウハウや後継者不足などといった課題に直面しています。
この課題解決に向け日野は、持続可能な地域公共交通を支える新たな取り組みとして、全国初※となる 自家用有償旅客運送向けの遠隔による運行管理受託サービスを2023年7月1日に開始するとともに、2024年7月1日より 本サービスの拡充に向けた実証実験も行っています。
今回は、自家用有償における働き方の改善や交通空白地の解消を目指し日野が提供する運行管理受託サービスの取り組みや、連携パートナーとの協業について紹介します。
※ 日野調べ
1.地域主体型交通の運行管理を一括マネジメント(鳥取県鳥取市)
――――運行主体の負荷軽減と持続性の向上を支援
鳥取県鳥取市は、各地区が地域の交通を維持するため、鳥取市の補助支援のもと地域の協議会やNPO団体が運営主体となる自家用有償(共助交通)の取り組みを行っています。
しかし、各地域の運行主体による運行管理は、高齢化や人手不足により、運用や体制の水準も異なっていました。また、鳥取市としても、実際の運行管理に対する状況の把握が十分とは言えず、各地域での運営の継続性に課題を抱えています。
その課題解決に向けた取り組みとして、日野は、鳥取市内の6つの運行主体による共助交通の運行管理を一括でマネジメントしています。一連の運行管理業務を一元化することで、各運行主体における運用や体制の水準を統一し、業務の効率化を図ります。
また、各運行主体との話し合いの中で「共助交通の合理化や効率化に関する助言」についても強く希望があり、日々の運行をもとに、共助交通をより安心・安全でご利用いただくためのドライバー講習や運営主体への助言といった支援も行います。
NPO法人 OMU 理事長 高橋様
ふるさとバスは2009年より運行を開始し、今年で15年目を迎えています。鳥取市内では初の住民共助型での交通として立ち上げ、ノウハウがない中で市職員の皆さんと苦労しながら運営を継続してきました。交通を運営するにあたっては、さまざまな法律や規則で定められた業務を行う必要がありましたが、市内に先例がない中、手探りで実施しています。このような状況で日野さんに運行管理を担っていただき、確実に法定業務を実施してくれ、日々の運営の相談相手になっていただけることは、運営する立場として大きな安心に繋がっています。6団体の運行管理を一括して請け負っていただくことで、他の団体の運営状況も今まで以上に共有でき、今後新しく市内で交通を立ち上げたい地域があれば、こうした取り組みはその一助になると思っています。
鳥取市 交通政策課 課長 宮谷様
市内複数の地区で、地域の交通を維持するため、NPO 団体やまちづくり協議会などの地域団体が運行主体となり、共助交通の運行が行われています。本市は、共助交通の運営サポートとして、運行経費の補助や運行にあたっての助言などを実施していますが、どの運行主体も高齢化や地域の担い手不足から、運転手確保や運行管理に関する事務負担が課題となっており、将来に渡りどう地域の交通を維持していくか検討する必要がありました。
このような状況の中、運行管理のノウハウを持ったプロの事業者が、6団体の運行管理を一括してマネジメントし、適切な運行にあたって助言をいただけることは、運行管理の水準を確保できるだけでなく、運行主体の負担軽減、安心にもつながっています。これからも地域・事業者・行政が連携して、地域に根差した共助交通の維持・充実に取り組んでいきたいと思います。
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最終更新:2024/09/2712:05