ヒューマンタッチ総研が独自分析 2021 年度の国土交通省予算案から見る建設市場の動向

2021/02/0213:38配信

2021 年 2 月 2 日  


 人材紹介事業を行うヒューマンタッチ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙本和幸、以下「ヒューマンタッチ」)が 運営するヒューマンタッチ総研は、2021 年度(令和 3 年度)の国土交通省予算案から見る建設市場の動向をまとめました。

【本件のポイント】

・2021年度の公共事業関係費の予算はコロナ禍の中でも堅調であり、前年度並みを確保

・防災・減災、国土強靭化及び将来を見据えたインフラ老朽化対策のために大きな予算を確保

・新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、民間の建設投資は大幅に減少することが危惧されるが、政府建設投資については前年度並みをキープできると考えられる


■2021 年度の公共事業関係費の予算はコロナ禍の中でも堅調であり、前年度並みを確保

 一般会計における国土交通省の公共事業関係費の予算額の推移をみると、2015 年度以降は横ばいであり、ほぼ前年度並み予算を確保しています(図表①)。また、臨時特別の措置による公共事業関係費、補正予算による公共事業関係費を加えた実質的な公共事業関係費をみても、2021 年度は第 3 次補正予算で 1 兆 9,342 億円が積み増され、総額で 7 兆 1,929 億円 となり、前年度よりも 695 億円増加しています(図表②)。公共事業関係費はコロナ禍でも落ち込むことなく堅調に推移していると言えます。

出典:国土交通省国土交通省「予算決定概要」(各年度版)より作成

出典:国土交通省国土交通省「予算決定概要」(各年度版)より作成

■第 3 次補正予算で防災・減災、国土強靭化及び将来を見据えたインフラ老朽化対策のために大きな予算を確保
 第 3 次補正予算で、防災・減災、国土強靭化等や将来を見据えたインフラ老朽化対策にどのくらいの予算が確保されたかについて見ると、あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」の推進に 3,826 億円、集中豪雨や火山噴火等に対応した総合的 な土砂災害対策の推進に 440 億円、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進に 1,485 億円、密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進に 19 億円、地域における総合的な防災・減災対策、 老朽化対策等に対する集中的支援に 4,246 億円、将来を見据えたインフラ老朽化対策の推進に 1,283 億円が投入されており、総額は 1 兆 1,299 億円になります(図表③)。

 予算概算要求では、公共事業に関連する「緊要な経費」に係る要望内容として、「激甚化・頻発化する自然災害等に鑑み、3 か年緊急対策として講じられてきたこれまでの実績を踏まえ、今後中長期的に達成すべき安全度の水準を見据えて、これまでの実 績を上回る必要かつ十分な規模となるよう、予算編成過程で検討する」とされていましたが、その方針通りに第 3 次補正予算によって防災・減災、国土強靭化等やインフラ老朽化対策に大きな予算が確保されていることがわかります。

出典:国土交通省「2021 年度予算概算要求概要」、「2021 年度予算決定概要」より作成

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最終更新:2021/02/0213:50

ヒューマンタッチ総研