最近の機械貿易動向(11 月)~機械輸出額 13 ヶ月連続減少~

2020/01/2814:01配信

日本機械輸出組合 2020.1.27


2019 年 11 月の機械輸出額は 4 兆 556 億円、対前年同月比 8.8%減と、13 ヶ月連続で前年同月比減少し た。これは、① 韓国・台湾向け以外の 5 地域向けで前年同月比減少したこと、② 21 業種中 19 業種が 減少したことなどによる。為替・営業日要因が 6.9%の減少寄与要因だったことを考慮すると、実質的な伸 び率は 2.0%減となった。2019 年 12 月の為替・営業日要因は 2.9%の増加寄与要因となっているが、1 月 23 日発表の貿易統計速報による簡易計算では、12 月の機械輸出は 6.7%減であった。 


Ⅰ 要約

1. 全商品貿易動向(図表1) 

① 全商品輸出額:6 兆 3,790 億円(前年同月比 [以下同じ] 7.9%減、12 ヶ月連続減少) 

② 全商品輸入額:6 兆 4,642 億円(15.7%減、7 ヶ月連続減少) 

③ 貿易収支:852 億円の赤字


2. 機械貿易動向 

(1) 機械輸出入動向(図表2) 

 ① 機械輸出額:4 兆 556 億円(8.8%減、13 ヶ月連続減少) 為替・営業日要因を除いた実質的伸び率:2.0%減 (3 ヶ月連続減少) 

 ② 機械輸入額:2 兆 819 億円(16.0%減、2 ヶ月連続減少)

(2) 為替・営業日動向

 2019 年 11 月に 6.9%の減少要因、12 月に 2.9%の増加要因、2020 年 1 月に 8.9%の減少要因。 

(3) 地域別動向 

① 韓国・台湾向けを除き、5 地域向けで前年同月比減少(図表4、5) 

② 北米向け:13.2%減、4 ヶ月連続減少(図表4、5) 

③ 中国向け:3.8%減、9 ヶ月連続減少(図表4、5) 

④ ASEAN・南アジア向け:12.2%減、11 ヶ月連続減少(図表4、5、6、8、9) 

⑤ EU 向け:6.0%減、4 ヶ月連続減少(図表4、5) 

⑥ 韓国・台湾向け:3.6%増、22 ヶ月ぶり増加(図表4、5、6、7) 

⑦ その他地域向: 14.5%減、2 ヶ月連続減少(図表4、5、10) 

(4) 業種別動向(図表11) 

 上位 21 業種中 2 業種が増加。そのうち医療機械が二桁の伸び

(5) 機種別動向(図表12、13) 

① 医療機械(米国、中国、EU 向け中心)のみが二桁以上の増加 

② 鉄道車両、建設機械、産業車両等が大きく減少 

(6) 機械輸入動向(図表14) 

 機械輸入額上位 12 機種のうち、受信変換その他送受信機器のみが増加 


Ⅱ トピックス

1.【台湾】UMC が2カ月連続の増収。半導体市場の底入れへの期待が高まる 

 半導体受託生産で世界4位の台湾大手・聯華電子(UMC)の11月の販売は、前年同月比20%増の138億 9,000万台湾(NT)ドルとなった。10月に続いて2カ月連続の増加となった。UMC は、第4四半期のウエハー出 荷量が前四半期比で10%増えるとの見通しを示しており、半導体市場は底を打ったとの見方が広がっている。 2019年第3四半期における、UMC の半導体受託生産市場でのシェアは6.7%となった(TSMC、サムスン、グロ ーバルファウンドリーズに次ぐ、第4位)。 

 このほど、UMC による日本にある半導体工場の買収が完了した。スマホ・車載向け半導体ウエハーを生産 する。半導体微細化競争は激化しているが、巨額の開発費用がかかるため、UMC は最先端を狙わず、汎用 品分野に勝機を見出す。一方、業界トップの台湾 TSMC は次世代生産技術「EUV(極端紫外線)」を活用し、7 ナノ品の量産を行っている。シェア追い上げを図るサムスンは、今後10年間で130兆ウォンもの巨費を投じて、 EUV による生産体制の確立を目指す。また、サムスンは、このほど百度の AI 半導体の生産を受注した。 

 UMC や TSMC の業績が上向いており、また、サムスンが大型投資に動いていることもあって、半導体 市場は回復に向かうとの見方が強まっている。国際半導体製造装置材料協会は、半導体装置の世界販 売額が2020年からは再び成長に転じ、2021年には約670億ドルに達するとの見通しを発表した。 


2.【タイ】自動車の生産・販売が低迷。EV に注目が集まる

 東南アジア最大の自動車生産国であるタイの 2019 年 11 月の自動車生産台数は、前年同月比 22%減の 15 万 4,088 台となった。前年実績を 7 カ月連続で下回った。これにより、1~11 月累計の生産台数は、前年同 期比マイナス 6%の 187 万 9,502 台となった。バーツ高や国内市場の冷え込みが要因となった。自動車の業 界団体は、2019 年の自動車の年間生産台数の見通しを 215 万台から 200 万台に引き下げた。自動車生産の 落ち込みから、完成車メーカーに期間工を減らす動きが出始めている。

 一方、EV 生産には期待が集まっている。タイ政府は「EV アクションプラン」を発表し、2036 年までに EV を 120 万台普及させる計画である。また、EV 産業の振興に向けて、「国家自動車政策委員会」の設置を計画し ている。これに対し、欧州自動車メーカーの動きも加速している。独アウディは、EV「e-tron」をタイ市場に投入 する。ダイムラーは、約 200カ所に充電ステーションを設置する。アジア企業や地場企業も EV 市場に参入して いる。上海汽車と地場企業の合弁企業は、「MG」ブランドの EV 車販売を開始した。地場企業のエナジーアブ ソルートも初の国産 EV「マイン SPA1」を発表し、注目を集めた。 

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最終更新:2020/01/2815:22

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