時速60kmで道路下をBIM/CIM化?!日立と応用地質が地下埋設物情報サービス
工事で道路を掘り返すときに欠かせないのが調査です。まず道路管理者や埋設管を管理する上下水道・ガス・電気・通信などの事業者が持つ台帳をチェックして、どんな埋設物がありそうなのかを調べます。
しかし、台帳だけだと道路に対する位置がずれていることもあるので、現場では「試掘調査」が欠かせません。
日立製作所と応用地質は、こうした手間ひまを、大幅に解消してくれそうな「地下埋設物情報提供サービス」を2020年以降に開始するべく、このほど覚書を締結しました。
地中レーダーを搭載した埋設物探査車で道路を走行することにより、
ナ、ナ、ナ、ナント、
埋設管や空洞を見える化
してくれるのです。(日立製作所、応用地質のプレスリリースはこちら)
地下埋設物情報提供サービスの概要(以下の資料:応用地質)
地中レーダーで埋設物などを検知する埋設物探査車のイメージ
応用地質が保有する埋設物探査車に、地中レーダー装置、GNSS(全地球測位システム)、カメラ(位置検出用)などを搭載し、最大時速60kmで道路を走行します。
探査車で得られたレーダー映像や各種画像、位置情報は、日立製作所のデジタルイノベーション基盤「Lumada(ルマーダ)」が持つAI(人工知能)などの画像解析技術によって分析し、埋設管や構造物、地質境界などを自動判別します。
台帳による情報は、実際の位置からずれている心配もありますが、実際の埋設物をリアルにレーダーで調査したデータだとその心配はありません。そこが圧倒的な安心感を与えてくれますね。
応用地質が保有する埋設物探査車の外観
車両後部の地中レーダー装置。400MHzのアンテナが付いている
地中レーダー映像をAIで分析し、路面下の空洞などを自動抽出したイメージ
得られたデータは「地下埋設物情報プラットフォーム」に格納されるとともに、応用地質の「地盤情報ICTプラットフォーム」や、 日立製作所の「社会インフラ保守プラットフォーム」とも連携します。
今後は、埋設物の補修管理情報や更新計画、強靱化設計支援の機能拡張のほか、
BIM/CIMとの連携
も視野に入れた機能拡張を検討していくとのことです。
道路下の見える化は、大きな課題となっています。時速60kmで道路を走れば、地下のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)のモデルが出来上がってくるシステムの実現も、そう遠くはなさそうですね。
両社の“道路下イノベーション”による、道路工事の大幅な生産性向上に期待したいです。
最終更新:2019/11/2018:09