廃棄物、水使用量も把握!鹿島が全建築現場のCO2排出量を見える化
鹿島は、環境ビジョン「トリプルZero2050」を2018年5月に改訂し、「建設現場で発生するCO2排出量を2030年度の時点で2013年度比30%以上削減」を中期的な目標を掲げました。
そして、2050年には鹿島グループの温室効果ガス排出量を2013年度比で80%以上削減(Zero Carbon)、建設廃棄物の最終処分率0%(Zero
Waste)、建設事業における自然や生物への影響を抑制(Zero Impact)という、さらに高い長期的な目標を目指しています。
鹿島環境ビジョン「トリプルZero2050」のイメージ図(以下の資料:鹿島)
この目標を達成するためにはまず、各現場からどれだけのCO2が排出されているのかを把握する必要があります。
そこで同社は、環境データ評価システム「edesイーデス」を開発し、2019年6月から新規着工する建築現場から順次、本格導入を開始しました。
このシステムを各現場で活用することにより、
ナ、ナ、ナ、ナント、
施工CO2排出量
などの実績値を、月単位で把握することができるのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
「edes」の画面イメージ。延べ床面積あたりの施工CO2の総排出量を月単位で表示した例
現場ごとのCO2排出量の比較イメージ
支店ごとのCO2排出量比較も可能に
これまで鹿島では、現場をサンプル抽出し、その施工CO2排出量から施工高1億円あたりのCO2排出量原単位を求め、全社の年間施工CO2排出量を把握してきました。
しかし、この方法だとデータ収集に時間と手間がかかるほか、現場ごとに適切な対策をタイムリーに行うことが難しいという問題もありました。
そこで今回、edesを開発し、すべての現場のすべての工程で、CO2排出量を月単位で把握し、可視化できるようにしたのです。
施工CO2は、約7割が建設機械の燃料から発生し、残りの約3割が使用電力から発生します。
燃料分は現場で稼働する建機の種類、台数、稼働時間の情報から算出します。このデータは、既にすべての建築現場で運用している施工管理支援サービス「Buildeeビルディー」のデータを自動的に読み込むことで大幅な効率化を実現しました。
これに電力使用量や土砂や廃棄物の運搬車両の燃料分を加算することで、施工CO2を算出します。
edesによる施工CO2の算出手順と見える化のイメージ
このシステムによって、毎月の実績を見える化したほか、
建設廃棄物量や水使用量
についても月単位で集計し、現場ごとの環境データとして管理する体制を構築しました。
現場での資材や技能者などの動きだけでなく、目に見えないCO2まで見える化するとは。建設業のIoT(モノのインターネット)化がここまで深化してきたことに驚かされますね。
タグ
最終更新:2019/11/2018:08