3D建築確認申請の次にくるものは?建築BIM推進会議にみる国交省の本気度
“日本のBIM元年”といわれた2009年から10周年を迎える今年、国土交通省が土木分野中心だった「i-Construction」の一環として、建築分野のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用にも本格的に乗り出しました。
というのも、同省は昨日(2019年6月13日)、産学官からの代表者からなる「第1回 建築BIM推進会議」(委員長:松村秀一 東京大学大学院特任教授)を大々的に開催し、BIMを活用した建築生産プロセスの革新に乗り出したからです。
建築BIM推進会議(建築分野における検討WG)の位置づけ(以下の資料:国土交通省)
推進会議のメンバー。産学官のBIMプレーヤーが一堂に会した
現在は、発注者や設計者、施工者などがバラバラにBIMを活用しているのが現状ですが、まずは建築生産プロセスで
一貫したBIMモデル活用
が行えるようになることを目指します。(国土交通省のプレスリリースはこちら)
BIM活用の将来構想。STEP1~3でBIM活用を高度化していく戦略がある
国交省は2019年度のBIM/CIM活用として、「大規模構造物の詳細設計業務」や「BIM/CIM成果品のある工事」については、BIM/CIMを原則適用するほか、今後3年程度をかけて適用を順次拡大していく方針を示しています。
2019年度(令和元年度)のBIM/CIM活用の実施方針
また、同省の官庁営繕部は、i-Constructionの建築分野へのさらなる拡大として、(1)BIMを用いた基本設計図書の作成や納品と整備局などのBIM審査環境の整備、施工BIMの改修工事への拡大、(2)クラウドシステムによる情報共有の本格化、電子小黒板の原則活用、(3)プレキャスト化やプレハブ化、配管などのユニット化、自動化施工、(4)ICT建築土工の試行など、より詳しい方針を掲げています。
2019年度官庁営繕部のBIM活用方針
同会議では、早くも7月23日に第2回を開催することになっており、委員には早速、“宿題”が出されました。
その内容は、各ステップで実現すべきBIMの利用形態や、検討を行う主体、各関係者や発注者にとってのメリットなどをシートに記入して提出するというものです。
産官学のそうそうたるBIMプレーヤーが集結した会議だけに、どんな将来構想が飛び出すのかが、注目されますね。
その画期的な将来構想を感じさせるものが、シートの「記入例」にありました。「BIMを活用した確認申請」という課題の例ですが、STEP1では「建築確認の補助としてのBIM利用」、STEP2では「3Dモデルによる建築確認申請」と続き、STEP3では
ナ、ナ、ナ、ナント、
「AIによる事前審査」
と、書かれていたのです。
これまでは「人間にとってわかりやすいBIM」という使い方が多かったですが、将来はそれを超えてAI(人工知能)に仕事をさせられるようなBIM活用を目指しているというのが、なんとなく感じられますね。
「BIMを活用した確認審査」と題した記入例。将来のBIM活用の方向性はここにも感じられた
土木分野の3D活用は以前、建築分野の後塵(こうじん)を拝していましたが、i-Constructionの推進によって建築をしのぐ勢いで普及が進んでいます。
建築のBIMも、この会議の設置がきっかけとなって一気に普及が加速しそうですね。今後の展開にわくわくしてきます。
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最終更新:2019/11/2018:08