次世代への技能伝承のため、溶接作業を定量的なデータで見える化

2020/04/2011:03配信

2020年4月20日

2020年度より訓練システム開発に向けた実証実験を開始

日立建機株式会社(本社:東京都台東区、執行役社長:平野 耕太郎/以下、日立建機)は、溶接作業における熟練技能者の技能を、若手技能者に効果的に伝承するため、複雑な作業を定量的なデータで見える化する計測技術を開発しました。今年度より、計測技術を活用し、溶接技能教育のための訓練システム開発に向けた実証実験を開始します。

若手技能者の溶接作業を計測している様子

建設機械の主要部品は、鉄同士を溶接した製缶構造物の比率が高く、品質の安定化と生産性向上の観点から、溶接ロボットによる自動化が積極的に進められてきました。一方で、構造物の用途や負荷条件を踏まえた溶接方法の検討や、強度を保つための仕上げ・補修などの工程では、目視での判断を含め、人の手による高度な技術が必要です。また、建設機械を含む製造業では、熟練技能者の高齢化や人手不足などから、若手技能者への技能伝承が課題となっています。

現在、日立建機グループにおける技能教育では、若手技能者は教官である熟練技能者の模範作業を実際に見て真似ることからはじまり、訓練を積み重ねて溶接技能を習得しています。教官は、若手技能者が作業した溶接部を見て口頭によるアドバイスを行います。溶接作業には複雑で繊細な動作も多く、作業者の経験や感覚に左右されることも多いため、習得する技能には個人差が生じやすくなります。そこで、株式会社日立製作所 研究開発グループの協力の下、溶接作業の過程を定量的なデータで見える化する計測技術を開発しました。2020年度より、若手技能者と熟練技能者の技能を比較しながら、より効果的な技能教育を行うための訓練システムの開発を進めるための実証実験を行います。


溶接の複雑な動作を見える化する計測技術を開発


土浦工場と常陸那珂臨港工場の熟練技能者と、国内拠点の若手技能者(約20名)を対象に、溶接作業中の視線、溶接トーチを動かす速度や電流・電圧などの諸条件および溶接部の状態を、複数のカメラやモーションキャプチャを用いて測定し、定量的なデータで見える化する計測技術を開発しました。

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最終更新:2020/04/2111:21

日立建機日本株式会社