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西松建設がフォークリフトで床版交換! 高精度の“床版作業ロボット”を開発しスピードもアップ
高速道路の老朽化がこのまま進むと、2030年には開通から30年以上経過した道路が約8割になると言われています。(日本高速道路保有・債務返済機構:パンフレット「高速道路機構の概要2021」より)老朽化対策としては、クルマの重量を橋桁に伝える「床版」を取り換える工事があります。これまでは既存の床版を取り外し、新たな床版を設置する作業には、一般的にクレーンが使われてきました。 床版交換工事のイメージ。クレーンを使って作業するのが一般的だ(資料:日本高速道路保有・債務返済機構) しかし、上や横に障害物などがある現場では、クレーンが使えなかったり、作業時間が制限されたりする場合もあります。そこで西松建設は、短時間で精度よく、新設床版の運搬や設置を行う工法を検討し、このほど実証実験に成功しました。クレーンの代わりに使ったマシンは、ナ、ナ、ナ、ナント、大型フォークリフトだったのです。(西松建設のプレスリリースはこちら) 大型フォークリフトと床版作業用治具によって、実物大の床版を運搬する状況(以下の写真:西松建設) 新設床版の設置作業は、床版間の継ぎ手金物の連結があるため、数ミリメートルの精度が求められる場合があります。フォークリフトの前後進やステアリングでこれだけの精度を出すのは不可能です。そこで同社は、床版位置をリモコン操作で微修正できる「床版作業用治具」を新たに開発しました。その可動域は回転調整が±4.8°、前後調整が±100mmです。また、床版の上げ下げのために、リモコン操作できる油圧ジャッキ(ストローク長850mm)を8本装備しています。 床版作業用治具の全景(左)とリモコン画面(右) 同社は2023年10月に、実工事を想定して横幅12.4mの実物大床版を製造し、24t級の大型フォークリフトにその治具を取り付けて、実験を行いました。カーブ区間を想定して、運搬路にも約3°のカントを付けました。床版間継ぎ手金物があることを想定し、設置精度の許容値は床版間距離が20mm±2mm、橋軸直角方向は±5mmを目指しました。10回行った実験の結果、設置精度の許容範囲内での床版設置時間は平均で2分25秒(最速1分36秒)で、クレーンと同等以上のスピードであることを確認したのです。 24t級の大型フォークリフトを使った床版設置の実大実験 ちなみに、クレーンでも6回の実験を行い、平均時間は2分39秒でした。西松建設では「治具」と呼んでいますが、リモコン操作でこれだけの重量物でミリ単位の位置決めを行えるのですから、もはや「ロボット」と呼んでも過言ではありませんね。同社では今後も装置を改良し、安全、高速に床版取り換え工事が行えるように技術開発を進めていくとのことです。
2023/11/08 14:34 株式会社イエイリ・ラボ
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