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鹿島が生コンを全量チェック!荷下ろし中の動画からスランプ値を読む
コンクリート打設現場には、コンクリートミキサー車(アジテーター車)が次から次へと到着し、生コンを荷下ろししていきますが、中には硬すぎる生コンが混ざっていることもあります。こうした生コンは豆板や充てん不良などの欠陥が発生するリスクが高いので、鹿島の土木現場では5台~35台に1台の割合で抜き取り検査を行っていますが、検査されずに打設されてしまう可能性もあります。そこで鹿島は、アジテーター車から荷下ろしされるコンクリートの全量の品質を、作業を止めずにチェックできるシステムを開発しました。荷下ろし中の生コンを、ナ、ナ、ナ、ナント、動画で連続撮影し、分析することで、施工性の悪いコンクリートを自動的に検知・排除するものなのです。(鹿島のプレスリリースはこちら) アジテーター車から荷下ろしされる生コンクリートの動画を分析し、コンクリートの性状判定を行う画面(以下の写真、資料:鹿島) このシステムは、市販のビデオカメラと分析システムを搭載したパソコンのほか、パトランプやブザーなどの簡単な機器からなります。生コンを荷下ろしする現場にビデオカメラを取り付けておき、撮影した動画をパソコンに送信します。 現場に設置したビデオカメラでアジテーター車から荷下ろし中の生コンを全量撮影。連続RI水分計で水セメント比も計測する すると、AI(人工知能)が測定範囲を自動認識して、コンクリートの性状や状態から施工性のよしあしをリアルタイムに判定。施工性が悪いと判断したときは、パトランプやブザーに警告を発信するとともに、判定結果をクラウド上に記録します。そのため、施工中のコンクリートの状態を、タブレット端末などで現場最前線の施工管理者も確認することができます。 荷下ろし中の生コンを撮影し、施工性が悪い場合はパトランプに警告を発する 鹿島では、このシステムでリアルタイムに算出した「判定指標」と実測スランプ値を比較したところ、高い相関性が得られました。つまり、動画からシステムがスランプ値を“読む”ことにより、施工性の悪いコンクリートを見分けることができるようになったのです。また、以前からある連続RI水分計で推定した「水セメント比」と圧縮強度の相関性も確認でき、こちらは耐久性や強度の点で生コンをチェックできます。 動画から得た判定指標とスランプ値の相関(左)とRIで推定した水セメント比と圧縮強度の相関(右)。どちらも高い相関性が確認された まるで経験豊富なベテラン技術者が、生コンの荷下ろし現場に張り付いているようなチェックができそうですね。鹿島はコンクリート工事の生コン製造から打設、養生までのすべての工程をデータとして見える化するプラットフォーム「コンクリート・アイ」を構築しており、今回、開発したシステムは受け入れ検査の部分を担います。これまで人間が行ってきた品質管理や検査をAIなどで自動化することで、長年、低迷していたコンクリート工事の労働生産性が急速に上がっていきそうですね。 コンクリート工事のすべての工程をデータ化する「コンクリート・アイ」のイメージ図
2020/01/23 11:39 株式会社イエイリ・ラボ
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