メタボ建築の名作を点群で残そう!わずか2日で資金調達に成功
宮崎県都城市にある旧・都城市民会館は、メタボリズム建築の代表作として1966年、建築家・菊竹清訓氏の設計により完成しました。
2007年の閉館後も保存か解体かを巡って議論が続いてきましたが、2019年の夏にいよいよ解体が始まります。
この貴重な建物を、3Dレーザースキャナーを使って計測し、点群データとして残せないかと立ち上がったのが、建築や都市のデジタルアーカイブ化を推進するgluon(本社:東京都目黒区)と、測量会社KUMONOS(本社:大阪府箕面市)です。
両社は5月31日の夜、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」上で、「メタボリズムの名建築『旧都城市民会館』を3 次元スキャンで記録に残したい。」というプロジェクトを公開しました。
3D計測にかかる交通費や現地宿泊費、データ処理などの費用として、50万円を目標に資金援助を求めたのです。
gluonとKUMOMOSがクラウドファンディングサイトに公開したプロジェクト(以下の資料:CAMPFIREサイトより)
このプロジェクトが公開されるやいなや、gluonのツイッターには続々と支援に参加したとの書き込みが寄せられるなど、SNSで話題となり、
ナ、ナ、ナ、ナント、
2日後には目標をクリア
してしまったのです。
6月2日、午後5時ごろには、すでに目標額の50万円をクリアしていた
プロジェクト支援者に対する「リターン」ですが、「2000円」にはお礼メール、「3000円」には現地での3D計測や8月に開催予定のトークセッションの様子をまとめた活動記録集がメールで送られます。
また「5000円」に対しては、gluonのデザイン・プロダクト担当パートナー、豊田啓介氏や東京芸術大学美術学部建築科准教授の金田充弘氏が登壇するトークセッションへの参加券も送られます。
5000円の支援者は、8月に開催されるトークセッションに参加できる
そして、最高額の「5万円」に対しては、旧・都城市民会館の
超高解像度点群データ
が贈られるのです。
5万円の支援者には、高密度・超高解像度の点群データが贈られる
こんな貴重なデータが、5万円で手に入るとは、ビックリです。手元でメタボリズム建築の名作をデジタル保存しておけるのは、大きな魅力ですね。
本物の建物を保存しようとすると、年間数千万円もの費用がかかりそうですが、点群データなどのデジタルアーカイブとして残すのなら、数十万円で済むというのはとても魅力的です。
gluonとKUMONOSは2018年、東京・上野にある東京芸術大学のキャンパスを同大学建築家の金田研究室とともに丸ごと3D計測し、その点群データを公開して様々な作品に生かしてもらう「デジタル芸大」プロジェクトを行いました。
その成果は「点群VR『点描芸大』まとめ」サイトなどに公開されているほか、ツイッターでハッシュタグ「#デジタル芸大」で検索すると、いろいろな作品が発表されているのを見られます。
「デジタル芸大」プロジェクトで公開された点群データ
公開された点群で作られた様々な作品
今回、旧・都城市民会館のクラウドファンディングが成功したことは、解体の危機にある名建築をデジタルアーカイブとして保存する行動を加速することになりそうですね。
最終更新:2019/11/2018:09