あのとき逃げておけば!土砂災害と人生をやり直せるVRコンテンツ
最近は「100年に一度」クラスの大雨や洪水による被害が増えたせいか、避難行動を促す「特別警報」も目にする機会が多くなりました。
その結果、自分が住んでいる地域に特別警報が出ても、「ああ、またか」といった具合に、自分のところだけは大丈夫と思う人も多いようです。
こうした判断の緩みによって、「あのとき、避難所に逃げておけば」と後悔しても遅すぎます。
そこで理経(本社:東京都新宿区)は、土砂災害を疑似体験・訓練用コンテンツの提供を開始しました。
平成30年(2018年)7月に発生した西日本豪雨災害を研究した東広島市消防局と広島大学防災・減殺研究センターの研究成果を活用し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
土砂災害をVR化
したものなのです。(理経のプレスリリースはこちら)
豪雨による土砂災害を対象とした、大学・自治体・民間企業の共同開発としては、日本初の災害体験VR(バーチャルリアリティー)システムとなります。
土砂災害を疑似体験できるVRコンテンツ(以下の資料:理経)
VR体験のサンプル映像を見ると、土砂災害はいつものように平穏な日常生活から始まります。
テレビを見ていたら午後7時40分ごろ、チャイム音とともに「ニュース速報」が流れ、大雨特別警報が追加されたことを報じます。
「大雨特別警報」を報じるテレビ画面
しかし、「おじいちゃんもいるしな」「もう夜だし」といった感じで、ついつい避難行動をとらないままでいると、なんと、雨水が床にあふれてくるではないですか。
避難しないでいると、リビングルームの床に雨水があふれてきた
「これはヤバい」ということで、ようやく避難所に向かおうとしますが、道は既に濁流が流れており、とても避難できる状況ではありません。
ようやく避難しようと外を見る道は濁流であふれ、もはや避難不能な事態に
そしてまた家に戻り、2階の部屋と思われるところにいると、今度は外から変なにおいがしてきます。
2階と思われる部屋。今度は外から変なにおいがしてきた
そうしてしばらくしているうちに、家は「ガシャーン」と土石流に飲み込まれ、真っ暗になってしまうシーンで終わります。
気がついたら、土石流に飲み込まれていた
この動画は、VRゴーグルを使用して実寸大・立体視で360°の臨場感あふれる映像で体験できます。体験シナリオの制作には、豪雨の被災者にも協力を仰ぎ、その
実体験に基づいた土砂災害
の発生状況を再現したそうです。
このVRの雰囲気からは、土砂災害はそれほど危険の切迫感がなく、平和で日常的な暮らしの中に突然やってくるものであることがうかがえます。
まるで“ゆでガエル”のように、気がつかないうちに避難不可能な状況に陥ってしまうというわけです。実際の人生ではやり直しは利きませんが、VRなら「あのときが避難可能な最終チャンスだった」と、その時に戻ることができるわけです。
滅多に体験することのない土砂災害をVRで事前に疑似体験しておくことは、大雨特別警報を甘く見ず、避難のタイミングを養うことに大きな効果を生みそうですね。
VR体験のイメージ
最終更新:2019/11/2018:08