1日で造形!シンガポールの南洋工大が3Dプリンターで“公衆トイレ”を建設

2019/05/2811:39配信

シンガポールの南洋工科大学(Nanyang Technological University)と言えば、シンガポール国立大学と並ぶ理系のエリート校です。

同大学では過去4年間、3Dプリンターを使った建設技術の研究に取り組んでいましたが、先日、輝かしい成果が出ました。

南洋工科大学のキャンパス

南洋工科大学のキャンパス(写真:家入龍太)

3Dプリンターを使って

ナ、ナ、ナ、ナント、



“公衆トイレ”のような



躯体を1日で作ってしまったのです。(南洋工科大学のプレスリリースはこちら

南洋工科大学が作成した“公衆トイレ”の外観

南洋工科大学が作成した“公衆トイレ”の外観(以下の写真:南洋工科大学)

内部にはピカピカの内装が施されている

内部にはピカピカの内装が施されている

この成果は、南洋工科大学のシンガポール3Dプリントセンターのタン・ミン・ジェン(Tan Ming Jen)准教授をリーダーとして、民間企業との共同研究チームが実現されました。

共同研究チームは2つの躯体を作りました。1つは縦1.5m×横1.62m×高さ2.8mのもので9時間で造形、もう1つは縦2m×横2.6m×高さ2.8mで12時間で造形しました。

造形がスムーズに行われたポイントは、造形時には流動性を持ち、ノズルから吐き出された後は急速に硬化する特殊な生コンクリートの開発にありました。

3Dプリンターによる施工。壁は二重構造になっており、この空洞には配管や鉄筋などを通せる

3Dプリンターによる施工。壁は二重構造になっており、この空洞には配管や鉄筋などを通せる

造形時には流動性があり、ノズルから出た後は急速に固まる生コンが開発された

造形時には流動性があり、ノズルから出た後は急速に固まる生コンが開発された

材料を供給する研究者たち

材料を供給する研究者たち

上部は別に造形し、フォークリフトで載せて完成

上部は別に造形し、フォークリフトで載せて完成

造形した躯体の内部には、便器やシャワー、洗面器などを設置し、床と壁はセラミックタイルで覆いました。これらの内装には約5日間かかるとのことです。

これにより、企業は、既存のPBUよりも約30%早く、30%軽量のプレハブバスルームユニット(PBU)を構築することができる可能性があります。

先に行われたより大型の建物をテストしたところ、



シンガポールの強度基準



である「SS492: 2001」を満たしているそうです。

これまでは現場で型枠を組んでコンクリートを打設してトイレを作っていましたが、3Dプリンターを現場に置いて“オンデマンド生産”することにより、現場では資材の仮置き場などが必要なくなり効率化が図れそうですね。

最終更新:2019/11/2018:08

株式会社イエイリ・ラボ