思わぬミスも発見!3DモデルをVR化する「SYMMETRY」の実寸大効果

2019/05/2111:39配信

建物や構造物の3次元モデルを、バーチャルリアリティー(VR)で実物大、立体視するためのソフトが進化してきました。

シンメトリー・ディメンジョンズ(SYMMETRY Dimensions。本社:米国デラウエア州)が開発・販売する「SYMMETRY」というソフトもその一つ。ワンクリックで3DモデルをVR用のデータに変換できます。

2019年5月20日にリリースした、「SYMMETRY製品版」のバージョン1.2では、複数の人がVR空間内に集まり、デザインなどを検討する機能が充実しました。

複数人がVR空間に集まり、デザイン検討などを行う機能が充実した「SYMMETRY製品版バージョン1.2」の画面イメージ(以下の資料:特記以外はSYMMETRY Dimensions)

複数人がVR空間に集まり、デザイン検討などを行う機能が充実した「SYMMETRY製品版バージョン1.2」の画面イメージ(以下の資料:特記以外はSYMMETRY Dimensions)

例えば、VR空間内の1カ所に全員が集まる「集合機能」や、リーダーについて歩く「追従機能」、VR空間内での「レーザーポインター機能」が追加されました。

VR空間内の1カ所に全員が集まる「集合機能」のイメージ

VR空間内の1カ所に全員が集まる「集合機能」のイメージ

リーダーについて歩く「追従機能」のイメージ

リーダーについて歩く「追従機能」のイメージ

そして、言葉が異なる人々の間でコミュニケーションしやすいように、

ナ、ナ、ナ、ナント、



翻訳機能も追加



されたのです。

VR空間内に音声メモで残した修正指示を、他の言語への翻訳することもできます。

翻訳機能の例。音声メモによる指示を日本語から英語に変換することができる

翻訳機能の例。音声メモによる指示を日本語から英語に変換することができる

このほか、SketchUp 2019へ対応や、視認性向上、ユーザーインターフェイスの改良などが行われました。

このソフトを体験し、「これは使える」と導入したのが、静岡県伊豆の国市に本社を置く正治組です。

同社では、1つのVRモデルに複数人が同時に入れる「オンライン・コラボレーション機能」を使って、現場の3Dモデルを事前に確認したり、VR空間内で打ち合わせをしたりすることで、“移動のムダ”を省いています。

VRゴーグルを付けて現場のイメージを共有している様子(以下の写真、資料:正治組)

VRゴーグルを付けて現場のイメージを共有している様子(以下の写真、資料:正治組)

先日、ある橋梁の橋台にアンカーを打って耐震補強を行う工事がありました。当初は、橋が建設された当時の2次元図面を見ながら工事を計画していました。

念のため、SYMMETRYを使って現場の点群データとSketchUpで作った橋の3Dモデルを重ね合わせて、実寸大で確認してみました。

SYMMETRYで点群データとSketchUpデータを重ね合わせ、現場シミュレーションを行った例

SYMMETRYで点群データとSketchUpデータを重ね合わせ、現場シミュレーションを行った例

当初は特に問題ないと思っていた現場でしたが、土砂崩れ防止のために打設する



矢板と橋台が干渉



していたことが発見されたのです。

橋台わきに打設する予定の矢板が、橋台と干渉することを未然に発見

橋台わきに打設する予定の矢板が、橋台と干渉することを未然に発見

もし、この干渉に気づいていなかったら、矢板の打設工事は途中でストップし、重機のレンタル費や人件費など、大きな損失が生まれるところでした。

上の図を見ると、ほんのちょっとだけ、矢板が橋台に食い込んでいるのがわかりますね。3Dモデルを実寸大でみることで、縮尺による“情報の省略”がなくなるので、こうした不具合も発見しやすいのでしょう。

SYMMETRYで見た重機配置シミュレーション

SYMMETRYで見た重機配置シミュレーション

実際の現場。狭い桁下空間に重機が計画通り入っている

実際の現場。狭い桁下空間に重機が計画通り入っている

最終更新:2019/11/2018:08

株式会社イエイリ・ラボ