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現場から・台風19号被災地の復旧・復興へ/災害廃棄物処理が急ピッチ/セメント産業が存在感示す

2019/11/2110:57配信

 各地に甚大な浸水被害をもたらした台風19号の被災地で災害廃棄物の受け入れ・処理が急ピッチで進んでいる。訪れたのは、栃木県佐野市にある住友大阪セメントの栃木工場。佐野市からの要請を受けて、いち早く浸水被害によって水没した畳など災害廃棄物の受け入れを開始した。既に相当量の処理を完了するなど、被災地の復旧・復興へ、セメント産業がその存在感を見せている。

 住友大阪セメント栃木工場は、同社における関東エリアの生産拠点。古くから廃棄物や副産物の再生利用を開始してきたこともあって、廃棄物などの使用量(セメント1tを製造するために使うリサイクル原燃料)も全国のセメント工場の平均値である約500㎏を大きく上回る679㎏(2017年度の実績値)と国内トップクラスの利用率を示す。
 09年4月に稼働を開始したバイオマス発電設備によって生み出したクリーンな電気でセメントの製造(工場の稼働)に必要な電力の全量を賄うなど、化石燃料の使用量を徹底的に抑えていることから、リサイクル事業を通じた循環型社会への貢献と、セメントの安定供給を高次元で両立する国内屈指のセメント工場として認知されているという。
 その栃木工場で受け入れているのは、台風19号によって発生した佐野市の災害廃棄物(水没した畳や家具など)。市内に設置された仮置き場から搬出した畳や家具といった災害廃棄物は、燃焼効率を上げるためにいったん同社グループの泉工業で細かく砕く「1次処理」を施す。破砕処理された廃棄物を栃木工場に持ち込んで有効利用する流れだ。
 既に水没した畳は336t、家具などの木くずは195tの処理を完了(19日現在)。畳はセメントの製造過程(焼成工程)における熱エネルギーとして、細かく砕いた家具は木質チップとしてバイオマス発電の燃料に用いるが、栃木工場に持ち込んだ後に2次破砕を行う必要がある畳は、その手間の多さから受け入れ・処理のスピードが追いついていないという現実もある。
 とはいえ、災害廃棄物の処理は被災地の早期の復旧・復興に欠かすことができないプロセスの1つ。今後、周辺自治体からの受け入れ要請も見込まれる中で、相当量の処理能力を持つセメント産業に寄せられる期待は大きい。
 特にセメントの製造(焼成工程)は、1450度にも達するキルン(回転窯)での高温焼成によって燃焼残渣もそのまま原料として取り込むことから、2次的な廃棄物が発生しない“完全なリサイクル”である点が特徴。単に受け入れを行うというだけでなく、資源を余すことなく有効利用している点も見逃せない。
 国土強靱化の重要性が叫ばれるいま、災害廃棄物を用いて次なるインフラ整備の材料となる「セメント」を生み出す“究極の環境産業”として、セメント産業が果たす役割は大きい。

最終更新:2019/11/2111:37

株式会社日刊建設通信新聞社

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