建設キャリアアップシステム/地域建設業「避けて通れない」/必要性の認識一致も/理解不足で登録遅れ

2019/09/2409:57配信

 建設キャリアアップシステムへの登録促進が建設業界全体の共通認識となる中、そのかぎを握る地域建設業はさまざまな思惑を抱えている。同システムへの理解不足の解消を前提としつつも、他の建設業団体の取り組み姿勢や発注機関の登録支援策、最大の焦点である将来の実効性を含むメリットをにらみながら、着実に歩を進めなければならないからだ。一方で、登録遅れから生じるデメリットも懸念され、地域建設業の置かれる立場は揺れ動いている。全国建設業協会の近藤晴貞会長は先に開かれた協議員会終了後、「正直に言えば、建設キャリアアップシステムの登録に積極的に取り組んでいこうという、全建会員企業の機運はまだまだ希薄だ」と現状を明かした。そもそも、地域建設企業の多くは同システムに対する理解が十分とは言えない背景がある。システム自体の周知・徹底は喫緊の課題だが、登録促進には「技能者にとってのメリット、事業者にとってのメリットをきちんと構築(享受)することが不可欠だ」と強調する。
 利点を明確化した上で、地域性や企業規模などの事情を踏まえ「地域建設業に合った進め方」を模索し登録を加速させたい考えだが、スピード感によっては全建のほか、国土交通省、日本建設業連合会、建設産業専門団体連合会などで構成する「建設キャリアアップシステム運営協議会」が目指す、システム登録数と期限との板挟みが懸念される。
 山梨県建設業協会の浅野正一会長は、山梨県が全国の発注機関に先駆けて、建設キャリアアップシステムの登録事業者を総合評価落札方式で加点することを受け、「(他の地域の)モデルケースとなるように協会を上げて取り組んでいきたい」と話している。
 長野県では建設キャリアアップシステムの登録企業に対して、次期(2021・22年度)の入札参加資格付与に伴う新客観点数の加点措置と、総合評価落札方式で加点評価を講じる独自施策を検討している。
 自治体が登録支援に動き出したことで、登録促進が期待されるものの、経審は入札参加資格、総合評価は工事受注に寄与するため、インセンティブ(動機付け)の意味合いはそれぞれによって大きく異なる。登録促進の効果にも影響してくるとみられる。
 長野県建設業協会の木下修会長は「(長野県の施策の)方向性は評価する」としつつも、「(同システムに)登録して終わりではなく、一番肝心なのは実効性を持って運用されるかだろう。個人的には詰めなければならない要素がまだあると感じている」という。ある協会の幹部も「施工台帳の作成など実際の業務効率化につながらなければ、登録する意味はあまりない」ともらす。
 入札・契約制度上のインセンティブや現場での利点の明確化は登録促進の契機にはなり得る。運用後の実効性については引き続き議論し理解を深めなければならないが、地域建設業では「建設キャリアアップシステムの登録は地域建設業にとって避けては通れない」ことで、おおむね一致している。担い手対策の推進と建設業の健全な発展に向け、同システムを通じて技能者と事業者の処遇改善と経営安定化の実現を目指す。

最終更新:2019/09/2410:12

株式会社日刊建設通信新聞社

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