建設×5G/NTTドコモ

2019/05/3111:00配信

【パートナーとユースケース作り上げる】
 総務省が4月に周波数帯を大手通信キャリアの4社に割り当てた5G(第5世代移動通信システム)。建設機械の遠隔操作や現場で3次元設計モデルの活用、センサーを使ったデータ取得など建設業界にも大きな影響を及ぼすとみられる。

建設×5G/NTTドコモ

NTTドコモでは、2018年2月から「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」で参加企業を募集して取り組みを開始した。「業界を絞らず、広く集まってもらい、5Gに関心の高いパートナーや親和性の高い技術を持っているパートナーと、5Gを使ったユースケースをともに作り上げる」(池田峻也5G・IoTソリューション推進室ソリューション営業推進担当主査)という。建設業における5Gの活用見通しや今後の展開を聞いた。◆使い勝手・性能向上のソリューション提供/建機操作の地理的距離をなくす

5Gの特徴を生かしたエリア構築に着工

5Gの特徴を生かしたエリア構築に着工

 NTTドコモでは、9月20日からプレサービスを開始し、20年の夏季東京五輪ころには本格的に商用化する予定だ。パートナープログラムは、453の企業・団体でスタートしたが、4月25日時点では2600社・団体超にまで増え、「不動産・建設分野の企業・団体が約10%弱」(同)を占める。まずは参加企業を幅広く募り、1つずつユースケースの開発を進めている。ただ、「5Gを使ったソリューションをともに開発するパートナーはごく一部で、できたサービスを使いたいというパートナーが大多数」(同)のため、「既にできたソリューションを実際に見る『5Gビジネスキャンプ』という見本市のようなイベントも開催している」(同)という。
 20年に商用サービスが始まればすぐに世界が変わるわけではなく、いまはすべての人がデジタルトランスフォーメーションの担い手になるという将来像に「段階的に達するイメージで進めている」(同)。サービス開始時は、現在のLTEや4Gが提供されているエリアの一部で5Gが使える形でスタートする見通し、「5Gでしか動かないソリューションではなく、LTE、4Gをベースに、5Gのサービス提供エリアではさらに使い勝手や性能がアップする形のソリューションサービスを提供する」(同)考え方で検討を進めている。実際にプレサービスが始まれば、「実際の商用に近いサービスを体験できる環境ができるので、より多くのパートナーによる検証がどんどん進むだろう」(同)と見通す。建設業界には「5Gのメリットや、5Gを使ったソリューションを提供できる。課題を積極的にぶつけていただき、一緒に議論したい」(同)と呼び掛ける。

阿部担当課長

池田主査

池田主査

 建設分野での具体的な取り組みの代表が、17年5月から実証実験を始めたコマツとの建設機械の遠隔制御システムの開発だ。建機に搭載した複数のカメラで撮影した高精細な映像と建機への制御信号を低遅延・高速通信で双方向にリアルタイム送信することにより、遠隔操作を実現する。「通常の伝送の場合は、ダウンリンクのデータが重くなるものの、建機の遠隔操作の場合、アップリンクが重くなるという特徴を示す」(阿部順一5Gイノベーション推進室5G無線技術研究グループ担当課長)ため、通常の通信では「レバーを操作してから数秒後に動く」(同)という。だからこそ「5Gの低遅延の特徴を生かしつつ、高精細な映像を大容量で伝送する5Gならではの特長を生かしたユースケースと判断している」(同)。
 いまではリアルタイムな遠隔操作はほぼ実現できている。「複数の地方の現場の建機を東京で遠隔操作できれば、午前中はある地方の現場、午後は別の地方の現場の建機を動かすといったことも、画面の切り替えだけでできるのではないか」(同)と考えており、建機オペレーターにとっての“地理的な距離”という概念を消し去る可能性がある。今後は、「商用化したネットワークで検証を重ねて課題を抽出することになるだろう」(同)と話す。
 BIMで作成した高精細な3Dモデルを現場の技術者と遠隔地の設計者や本社技術者が一緒に見ながら課題の解決策を検討するといったことも5Gでは期待されている。池田主査は、「実際にそうなるだろう」と見通す。パートナーにも「建設業界ではないが、全国にいるデザイナーがクラウド上のVR(仮想現実)空間で、ともに3Dモデルを設計するという検討を進めている企業もある」(同)と可能性は広がる。

最終更新:2019/08/0517:37

株式会社日刊建設通信新聞社

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